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パーティー


『テレレレッ!』


 アイルの介抱とオーク狩り、どちらが大変かわからないような生活を続けることしばし。

 ようやく俺のレベルアップを告げるファンファーレが鳴り響いた。



ステータス


チェンバー レベル5


HP 67/67

MP 1/1

攻撃 21

防御 25

素早さ 12


魔法

ライト


 ステータスを見ると、こんな感じだ。 

 相変わらずMPの伸びは悪いみたいだけど、それ以外が上がっているし問題はない。


 さて、次の問題はこの後に必要な経験値がどれくらいになるか、だな……。

 できれば倍は嫌だなぁと思っていた俺の脳内に、耳なじみのない天声が聞こえてくる。



『チェンバーはパーティー編成を覚えた!』



 ……パーティー編成?

 俺とアイルは既にパーティーを組んでいるから今更な気もするな。

 いや、ただ一緒に組んでいるだけだから別にパーティーってわけじゃない……的な意味か?


 というか覚えたって言われても、別に何かを暗記したわけではないんだが……。


 『レベルアップ』スキルにはまだまだ謎が多い。

 何かの意味があるかもしれないし、とりあえずトライはした方がいいか。


「パーティー編成――うおっ!?」


 ステータスの描き出されている光の板のすぐ隣に、ステータスの表記と同じカクカクとした字体でまた新たな光が現れる。


 思わず目を押さえていた手を外すと、そこにはまたヘンテコな文字が浮かんでいた。


パーティー


加入状況 1/4


メンバー

チェンバー


加入可能メンバー

→アイル



 アイルの横に書かれている矢印が、ピコピコと点滅している。

 切れかけの灯りみたいに弱々しい光を放っていた。


 他の文字と違って、この矢印だけ光ってるってことは……とりあえず触ってみるか。


 →を触ってみても、変化はなかった。

 それならとアイルと書かれた文字を触ると、変化が現れる。

 ドンピシャだったらしい。


『アイルをパーティーに入れますか?  はい/いいえ』


 いやだから、アイルはパーティーに入ってるだろ。

 心の中でツッコミながら、はいを押そうとして、触れる寸前でその指を止める。


 勝手に入れちゃうのは、よくないよな。

 さすがに本人に確認は取らないと。


「なあアイル」


「はい、なんでしょうチェンバーさん」


「俺とパーティー組まないか?」


「ええっ!?」


 そんなに驚かれると思っていなかった。


 ……なんだよ、その気だったのはもしかして俺だけか?

 なんか少し寂しいんだが。


「いえ――いえ違います、そうじゃなくって! 私、なんにもお役に立ててません! チェンバーさんの擦り傷や打撲を癒やしてあげるくらいならできますけど……自分で言いたくはないですが、ポーションで代わりの利くくらいの魔法しか使えませんし」


「いや、そんなことはないと思うが……」


 最初は戦闘能力的な意味で、一人で限界を感じていた。

 けれど今は、ぶっちゃけオークならば相手にしても遅れを取ることはない。

 たしかにアイルは戦闘では全然役に立ってはいない。


 レベルが上がったおかげで、俺はどんどん強くなることができている。

 ただ日銭を稼ぐためにオーク討伐をすることも、さほど難しくはない。


 でも俺の目指すところは、毎日の安定した収入なんかじゃない。

 そんなものが欲しいなら、さっさとカタギの仕事についてる。


 俺は月並みな言い方だけど……もっと強くなりたいのだ。

 冒険者の頂である、Sランク。


 かつてジェイン達『暁』と見ていた夢を、俺は今でも諦めていない。

 俺は往生際の悪い男だからな。


「アイルの『神託』スキルは、外れスキルなんかじゃない。少なくとも俺と一緒にいれば、君のそのスキルは有用だ……あくまで、俺にとってだけっていうのがちょっとあれだけど」


 そしてその夢を見続けるためには、希望が必要だ。

 あとどれくらい頑張ればいいのか、その道しるべになってくれるアイルの『神託』スキルが、今の俺には必要なのだ。


 ただ彼女を利用するだけなら、別に一緒にパーティーを組む必要はない。

 神託の降りてない時に、彼女と一緒に朝まで飲んでいればいいだけだからな。


 でも、あれだよ。

 利用し利用される関係なんて……息が詰まるだろ。


「多分俺はこのスキルでもっと強くなるために、色んな場所を巡ることになると思う。強い魔物達とも戦うことになるだろうし、普通のパーティーと比べたら何倍も危険なはずだ」


 俺もアイルも追放されたもの同士だ。


 そして彼女も冒険者としてやっていきたいと思っている。


 なら他に、理由が必要だろうか?


 実力だけでパーティーを組むと、ロクなことにならない。

 俺はそれを、身を以て知っている。

 だったら組みたいやつと組んだ方が、精神衛生上いい。


 なぁに、アイル一人くらい俺が守ってやるさ。

 その間に戦闘に参加して、回復魔法の練度を上げていけばいいだろ。


「ちぇ、チェンバーさん……」

「答えは?」

「――YESですっ! ご迷惑にならない限りで、ご一緒させていただければと思います!」


 彼女の承諾を得たところで、俺は『はい』を選択する。


 するとこう変わった。



パーティー


加入状況 2/4


メンバー

チェンバー

アイル


加入可能メンバー

なし



 よし、これでアイルが名実共に仲間になったぞ。

 改めて……これからもよろしくな。


「はいっ、こちらこそ。――ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」





 心機一転、改めて二人で頑張っていこうと握手を交わしてからすぐのことだった。


 俺が手慣れた手つきでオークを倒し、アイルと一緒に魔石を採ろうとしていた時、急に天声が聞こえてきたのだ。


 いつもより少し遅い、倒してから少しして聞こえてくる声。

 このラグに、俺は妙に覚えがあった。


(ああ、なるほど。パーティー編成は――そういう能力だってことか)


 納得して俺がうんうんと頷くと、横にいるアイルが明らかに挙動不審な様子になっている。


 その理由は――今の彼女に、天声が聞こえているからだろう。


『レベルアップ! アイルのHP、MPが全回復した! アイルのレベルが2に上がった! 攻撃が+0、防御が+2、素早さが+0、HPが+2、MPが+4された!』


 このパーティー編成は……パーティーメンバーをレベルアップさせることのできる力ってわけだ――。


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