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第零話 創造神オウグ:転生者送ったからなんとかしといて

「はい、こちらナーロッバ転生者コールセンター、担当のカノンです」

 念話(ねんわ)のコールが鳴ったので、1コール以内に素早く受信を開始しました。

 先日、地球世界からナーロッバ世界に転属されたばかりの優秀な天使の私にとって、初めて受けるコールです。一体どのような転生者様からの、どんなご相談なんでしょうか。

 少しの緊張と共に、好奇心が刺激されます。

 さあ、初仕事です。頑張ってお仕事しましょう!


「あ~、ワレじゃ、ワレ」

 念話と言いつつ、最近地球で流行のZ○○mのように、通話者の周囲の映像も一緒に送られてきます。

 その画面には、白いローブを着た白髭のお爺ちゃんが映っていました。

「……ワレさんですか? お爺ちゃん、ここは転生者専用のコールセンターですよ。寿命延長のご相談でしたら、別の窓口です」


「我はナーロッバ創造神のオウグじゃ! いくら転属されたばかりの天使とは言え、上司の顔を見忘れるとは、どういうことじゃ!」

「冗談ですよ。ですがナーロッバ創造神のオウグ様、このコールセンターは、転生者の為の窓口なんですが」

 転生者様じゃないとか、とんだ肩透かしです。

 私のハイブロウなジョークも理解できなかったようですし、創造神様はボケたのでしょうか?

「相談じゃなくて、業務連絡じゃよ。ほれ、この世界は、テンプレ世界設定を元に魔法やモンスターといったファンタジー要素を足して、適当に作った中世ヨーロッパ風の世界じゃろ?」

「前任者からは、そう聞いております」

 いわゆる中世ヨーロッパ風のなろう小説的世界、即ちナーロッパ(pa)的な世界として、このナーロッバ(ba)は作られたと聞いています。

「それがじゃな、最近、世界全体が停滞しておって、上手く発展しないのじゃよ。ちょっと適当に創りすぎたかのう」

 創造神が自分の世界を適当に創ったとか言っても良いのでしょうか?

「そこで、また転生者を放り込んで、世界を活性化しようかと思ってな」

「それは結構なことですね。それで今回は、どの世界からの優秀な魂なんですか?」

「あ~ほれ、『世界テンプレをそのまま使って、適当に放置してたらいつの間にか凄まじく発展した』という異世界じゃ。そこから魂を融通してもらうことにしたんじゃよ」

「……もしかして、私の前任地の『地球』世界ですか?」

「そうじゃ。知ってのとおり地球は、魔法がない代わりに科学技術が異様に発達した世界でな。前にも何人か来てもらった事が有るが、地球人のおかげで、この世界も大分発展したのう」

 地球ですか。古巣(地球)からの魂なら、相談を受けてもやりやすそうです。

「地球から優秀な魂を買ってきたんですか。ですが、よく地球産なんて高い魂を買って来れましたね?」

「いや、地球神が投げ売りしてた、在庫処分のまとめ売り魂セットを買って来たんじゃ」

「……は?」

「しかも、オマケ付きじゃったもんで、思わず衝動買いしてしまったんじゃよ」

「子供じゃないんですから、そんな理由で買って来ないでください!」

 このナーロッバの創造神、大丈夫なのでしょうか?

「つまり、これから転生者を増やすから、コールセンターも対応してくれという業務連絡じゃ」

 このボケ老神は一体何をして下さりやがったのでしょうか? これまでこの世界に来た転生者たちは、創造神が先進的な世界からスカウトしてきた優秀な魂ばかりで、頻度も百年に一人程度であったと、前任者から聞いています。

 百年に一度、適当に働けばいいだけの楽な部署だと聞いたから異動願いを出したのに!

 それなのに、安売りの適当な魂を一度に大量にばらまくなんて……、どんな厄介なことが起きるのか想像もつきません。

 とは言え、ここで仕事を拒否して、異動した途端にクビになっては困ります。

「……分かりました。それが私の仕事とあれば、できる限りのことはさせていただきます」

「うむ。魂には適当なチート能力を与えて、適当な場所と時間軸に放り込んどくから、あとはよろしく頼むのじゃ」

 これからどんな無理難題が舞い込むのでしょうか。

 今から頭痛が痛いです。


 地球から来た在庫処分の魂たちが、異世界ナーロッバに撒かれました。オマケつきで。

 そういえば、コールセンター担当の天使カノンも、先日地球から転属になったばかりらしいですね……。

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