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第1話「婚活法の施行」

新作を書く事になりました。

婚活が義務になった世界線の東京が舞台です。

所々に社会の闇がありますのでご注意ください。

三人称視点の小説であり1話あたりの話が短めかつゆる気で書いております。

脳内再生補助のため声優をあてておりますがここは無視しても構いません。

『婚活法』が施行されてから3日の時が過ぎた。


 国内はこの婚活法の事で連日話題になっている。


 20歳から49歳までの未婚者はこの『結婚活動基本法』、通称婚活法により毎週一度は政府指定の婚活運営会社が主催する婚活イベントに参加しなければならず、企業は婚活休暇を社員に与えなければならなくなった。


 全国民が結婚の有無や婚活イベントの参加頻度などがIDで管理され、違反者は罰金を払わされる。改善の余地なしと見なされた場合は逮捕されてしまうのだ。


 賛成多数で可決されたこの法律だが若者を中心とした反発の声は大きく、可決直後は全国中で警察沙汰となってしまうほどであった。


 ――しかし既婚者や結婚願望のある者が多数派であるこの国では、既婚者の大半がこれを他人事のように思っていた。


『黒杉財閥』の影響もあり自由を求める若者たちの反発を押し切って可決されてしまったのだ。


 これはそんな時代を生きた家族の物語である――。


 午前8時、快晴の朝の事だった。


「まことー、急がないと婚活イベントに遅刻するよー!」

「わっ、分かってるよー!」

「今日が初めての婚活だけど、ホントに大丈夫なのー?」

「大丈夫じゃないと思う」

「――そんなんじゃ女にモテないよ」

「もっ、モテなくて良いもん!」


 黒髪のおかっぱに近いショートヘアーでふんわりとした雰囲気を醸し出している可愛い顔をしたこの男、八武崎真(やぶさきまこと)は25歳の個人事業主である。


 身長168センチ、痩せ型で貧弱である。コンプレックスは背の低さと年収だ。


 彼は在宅勤務の自営業であり、アフィリエイトが主な仕事である。


 理由は就職したくないからという消極的なものだった。


 どこか精神的に未熟で幼いところがあり自立していない。


 彼は対人関係が苦手であり気弱で大人しい性格であるためか、出会った人からは下に見られあれこれと頼まれ事をされる機会が多いのだが、それが祟って無理をしすぎたのかほとんど外出をしなくなったのである。


 いわゆる『引きこもり』のインドア系社会人だ。


 彼の家はごく普通な2階建ての一軒家であり彼の部屋は2階にある。


 彼の部屋にはゲーム、マンガ、パソコンなどがある。


 その隣には姉の部屋があり、内容は真の部屋とあまり大差ない。


 下にはリビング、キッチン、ソファー、テレビなどがある。その1階から大声で真を急かしているのはキッチンで調理をしている真の姉である。


 茶髪の姫カットが特徴的な八武崎奏(やぶさきかなで)は中小企業に勤める30歳の会社員である。


 身長164センチ、痩せ型で貧乳である。コンプレックスは胸と年齢だ。


 しっかり者のアウトドア系社会人であり、真の憧れでもある。


 真は奏に急かされながら外出の準備を急ぐ――。


 理由は他でもない。


 今日は真にとって初となる『婚活イベント』の日なのだ。


 真が階段から1階に降りると、奏が2人分の定食を完成させており、彼女は彼を待つ事なく既に定食を食べ始めている。


 米、味噌汁、焼き魚、野菜の漬物、卵焼き、ひじき豆といったメニューだ。


「はぁ~、何でこんな事になっちゃったんだろ?」

「そんなの全部黒杉財閥のせいに決まってるだろ」

「黒杉財閥?」

「は? あんた知らないのか? 世界中に居酒屋チェーン店を構える超有名な財閥だよ」

「名前だけは知ってるけど、その黒杉財閥がどうかしたの?」

「どうかしたも何も、そこの創業者が総理大臣になってから本格的な国力増強政策を始めちゃったせいで、あたしたち若者が割を食うような法律ばっかり可決されてるんだよ」

「――知らなかった」

「あんたはもうちょっと社会勉強した方が良いよ」


 真は奏に注意されるも勉強する気などはなっからない。


 彼は勉強も運動も苦手だからだ。


 世間知らずなのか家の外の事はあまり知らない。


 黒杉財閥は影響力が非常に強い――創業者が政界入りする前から政府を手駒にしているほどだ。


 逆らった者は個人から企業まで徹底的に踏み潰される。そのためか命知らず以外は誰も黒杉財閥には逆らえず、彼らによる『事実上の独裁』となっていた。


「どうしても行かなきゃ駄目かな~?」

「駄目に決まってるだろ! やる気がないって思われたら逮捕されるんだからな!」

「はぁ~」

「さっきからずっとため息ばかりだな」

「だってそんな理不尽な法律守りたくないんだもん」

「そりゃあたしだってそうだけど、今は従うしかないよ」

「「はぁ~」」


 真も奏も手早く食事を終えると、真は婚活イベントへ、奏は会社へ出かける。真は私服姿で持ち物は財布とスマホのみ、奏はスーツ姿でカバンを持っている。真は久しぶりに自分の靴を履くとそのまま扉を開けて外に出る。


「うわっ、眩しっ!」

「太陽が出てるんだから当たり前だろ! あんたずっと引きこもってたもんなー。たまには外へ出た方が良いんじゃないか?」

「姉さんは婚活イベント行かないの?」

「あたしは明日だから良いんだよ。そんじゃ、あたしこっちだから」

「うん、じゃあまたね」


 奏は真の声に応えるように後ろ向きのまま手を振ると、真は彼女の反対方向へと出発する。


 真は不安そうな顔をしながら下を向き、トボトボ歩いていくのであった。

もし気に入っていただければブクマや評価をお願いします。

好評であればモチベーションが上がるかもです。

八武崎真(CV:代永翼)

八武崎奏(CV:小清水亜美)

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