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こびり付いた錆  作者: 荒希 夢
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大切にしてきたものが音をたてて壊れたあの夜・・・

取り繕ってふるまっても頭がついてきていない事が分かった。コンビニに行くと言い外の空気を吸いに出たら、なかなか戻れなくなった。

何をどう考えたらいいか分からず、ただただ星を眺めて泣いていた。


こうなる前から夫婦仲が上手くいっていない実感はあった。

ディズニーのペア耳とペア傘を通勤用の車で見つけたり・・・ランドマーク宿泊の領収書・・・会社の人とのスノーボード旅行・・・以前は興味がなかったアメリカンバイクを買ったと思ったら急に乗らなくなり、今度は車を買い替えて・・・

問い詰めた事もあった。その都度うまく言い訳され仕事の都合と信じた馬鹿な妻。

家族のために頑張ってるから休みはほとんど全くない。なにも文句言わないできた訳ではないが出来る限り納得しようと努めて仕事の応援をしていたつもりだった。


その日は珍しく夫は家い居て「夕方から仕事行かなきゃいけないかもしれない」と言いつつも出る気配なく久しぶりの家族楽しい時間を穏やかに過ごしていた。数時間後には地獄に突き落される事も知らず「嵐の前ぶれ」と感知出来ずに平穏な時間だと勘違いしていた。


そして夜、女が突然来た。夫に「出てきて」と玄関先で言い放って連れ出したして、外で声を荒げる女の声がケンカしてる感じで聞こえた。しばらくすると、きっと「ここではマズイ」と場所を変えたのだろう。不安と静けさが尾を引いた。

私はスルー出来る事ではないと直ぐに感じたが3歳の娘と10歳の息子を先ずは寝かせた。今思えば寝かせ付けながらどうするべきか考えていたのかもしれない。または、戦闘モードのスイッチを入れていたのかもしれない。


夫はきっと突然家まで来られて慌てたのだと思う。その証拠に携帯が置きっぱなしだった。普通ならば相手の携帯を見るのは躊躇する事だし、その行為はタブーでルール違反とされる事だろうが、その時の私はそんな事この期に及んでは考えもせず躊躇の欠片もなかった。

その携帯には「家の前に着いた」などとメールが入っていたから家に来たのがこの女だという事は直ぐに分かった。そして私は深く深く深ぁーく深呼吸してから電話発信した。

その時の私にどこまでの覚悟が有ったのだろうか。いや、きっと覚悟なんてこれっぱっちも準備してなかった。ただ何か分からない物に突き動かされていた。「このままではいけない」って事だけは確かだった。


「今、主人と一緒ですか?」私

「はい。」女

「どういった ご用件ですか?」私

「子供のことです」女

「主人が何か関係あるんですか?」私

「子供の父親ですから」女

・・・身震いがした。頭の中が真っ白になりそうになった自分を心の中で引っ叩いて

「うちで話ましょう。来て下さい」私

と言った。本当はそんなのうちでやりたくない。

でも、子供を置き去りにして外には出れなかった。

子供たちは2階で熟睡してくれていると信じて1階のリビングテーブルを片付けて

パジャマから家着に着替えた。あえて着替えて気合いを入れてる様に見られたく無かったし、かといってパジャマで修羅場はアホらしい気がしたからだ。


まもなくして女は自身の母と一緒に来た。「どうぞ」とか「どうも」とか言った覚えはなく、「おじゃまします」とかそんなんでもなく、上がって・・そして座った。

まさしく乗り込んで来たという感じだった。今思えばアチラも「乗り込んでいく」覚悟で来たのだと思う。

先に口を開いたのは女の母で「あなたの旦那さんが何をしでかしたか知ってるます?」だった。私は気善と振舞おうと必死で、もう思考回路はずっと前の時間に置いてきぼりになっていた。だから、ものすごい勢いに押されまくっていた。さも私が悪いことをしてしまったかのように錯覚さえしていた。


やっとの思いで「いいえ」と答えると、説明をされた。

妻と別れることを前提に付き合いだして3年経ち、昨年「そろそろ子供が欲しいね」とお互い話し、子供をつくった。子供が出来た時には女の母(母子家庭)に会って「今ならまだ取り返しつくけれど、どうするのかと言われた時「妻子とは別れるから産もう」と、うちの夫が・・そう言ったそうだ。

そして産まれた子供の名前も夫が命名したそうだ。

「たった今も外で話をしていた時に、おたくの旦那は「家族とは別れる」と言っていた」と・・・


肝心なその旦那は駐車場に車を止めに行っていた。私は体の震えが止まらなかった。恐怖?怒り?絶望感?・・・分らない。分らない・・・もう何をどう考えたらいいのか、さっぱり分らない。この話、結論とか結末とか何らかの形にどう納めるのか想像が付かなかった。対して、夫はきっとどう納めるのかだけを考え巡らせながら重い足を家に向かせているのだろう。





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