神崎はシャーロックホームズがお好き。
お久しぶりです。まだ、誰も読んでないかもしれないけれど、頑張りますんでよろしくおねがいします。
龍生の言葉に神崎は理解を示さない「……意味わからないわよ」
彼が頭の後ろで手を組んで、神崎はハリセンを両手に首をかしげていた。
「知ってるか? 大阪人は、手を銃の形にして『ばん!』って言うと撃たれた真似をしてくれるし、日本刀を持ったふりして斬りつけると『うぎゃぁ!』つって斬られてくれるんだよ」
龍生の話は慧見も聞いたことがあったのだが、それでも突如現れたこのハリセンを理解するに至らなかった。
「それがどうしたの?」
「いいか? 大阪人はその天丼ネタに飽きてしまったんだよ。するとどうなる? 大阪には新たに面白いものが必要になった」
「それがこのハリセン?」
「まあ聞け。その時だ、とある大阪人がまたいつものように刀に斬られたリアクションをとっていた。すると、周りの人間が自分のリアクションを見てウケていないことに気がつく。瞬間、命がけで笑いを取ろうともがいたその大阪人は、斬られた真似で見事に血しぶきをあげたんだよ。それが『リ・アクション』の始まりだ」
「いや、わかんないわ」
二人の間に沈黙が訪れる。
互いにニヤリと笑うと、龍生が生意気そうな大阪弁で、
「簡単に言うとな、『リ・アクション』は大阪人が笑いを取るためにボケやらツッコミやらを想像から現実に具現化してしまう能力やって。ちなみにこの能力は、この魔都関西でしか使われへんからな。東京からきた人間がこの特殊能力を知らんのも無理ないわ」
急に龍生が方言を喋ったことで、神崎にここは大阪だという自覚が目覚めた。
しかし現実離れした内容に声を荒げる。
「そんなのありえないわよ! だいたい、そんなことがあるならすぐにテレビで放送されてるわよ! 私があなたを殴りたいからハリセンが具現化したとでもいうの? ありえないわよ!」
「違うな、ツッコミを入れたいからだ」
「だからわからないわよ!」
龍生は何度も頷きながら、
「そうそう、それはわかる。でもな、テレビでは『リ・アクション』は使わへんのがプロのルールらしいねん。それがなんでか知らんけど、その能力は門外不出らしいねんや。本来なら東京人が使える代物ではないねんけどな」
訳がわからない神崎はとりあえず現実を受け入れ、ハリセンを肩で背負った。
「じゃあ分かったわよ。もう知らない」
「よろしい」
二人の間にまた沈黙が訪れる。
よかった、本当に良かった。
新たな友達ができて俺は嬉しいです。
君たちにはこれからいろんな事件に取り組んでもらわないといけないからね。
仲良くするんだよ。
龍生が俺の声を聞いて静まり返る。
しかし、それは慣れっこだと無視を決め込んだ。
紹介しよう龍生君。
彼女は神崎慧見、アクエリアスの湖で魂が泳いでいるのを捕まえたんだよ。
それを粘土の人形に入れてこの世に降臨させました。
神崎は戸惑い、龍生は頭を軽く掻いていた。
「ま、よろしくな。そういうことだ」
「ちょ、待ってよ。相変わらず意味がわかないわ」
すると、龍生はまた立ち止まった。
「なあ、神崎」
「え?」神崎は初めて名前を呼ばれて少し戸惑う「どうしたの?」
龍生は苦笑いして、
「なあ、もしかしてやけど。探偵やりたいから大阪来たとか言わんよな?」
可憐な少女は少し押し黙ると考えた。
これまでの龍生の言動、行動、何か見透かすような彼の言葉が私の思いを言い当てた事実。
嘘をついても仕方がない。そう判断する。
「ええ、そうよ? 何か問題でもある?」
瞬間、龍生がものすごく悪い事態が起きたような顔をして表情をうろうろとさせる。
「それは大変だぞ、お前」龍生から大阪弁が消えた。
神崎は首を傾げている。
しかし、それどころではないと龍生が彼女の両肩を持って押し迫って、
「なんでよりにもよって魔都関西の大阪を選んじまったんだよ! 他にももっといい場所があっただろ!」
「なんでよ! そんなの私の勝手でしょ?」
「いいやわかっちゃいない! お前はこれから学校生活で違世界を体験することになるんだぞ? 見ただろ、一時間目の有様を!」
やはり神崎には理解ができていないようだ。
その時、チャイムが鳴り響く。
神崎はあたりを見渡して、
「どうして? まだ時間はあるはずよ?」
すると、龍生が彼女の手を引いて走り始めた。
「いいか? これは予鈴だ。二分前になると鳴り響く。そしてだ、絶対に次のミーケ先生の授業には遅れてはいけない!」
「なんでよ!」
「死者が出るからだ……!」
二人はそのまま教室へと戻っていった。
大変! 家庭科の授業に遅れちゃうわ! 転校早々授業に遅れるなんて絶対に嫌!
え? なになに? 他にも遅れちゃいけない理由がある?
龍生は遅れたものがいると死者が出ると言って私を連れて走ったわ。でもそんなのありえない。絶対に。
次回「滝松、死す」デュエルスタンバイ!




