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推理デとらぶる

 この回にはフェイクが含まれています

 間違いではありません

 ごじだつじではありません

 龍生は一層だるそうだ。





ようやくいさらぎ先生について話してくれるようになったというのに、彼はそれどころではないらしいほどだるそうにしている。

 はたから見るとそんな感じではあるが、彼の目つきは少し大きくなり、動揺していた。




 それもこれも、瑛琳がデタラメな推理力をさらけ出した瞬間だ。



 もし、目の前で同じ能力を生業とした人間がいたとして、その人間が己と同じ能力で圧倒的に勝っていたとするならば? 超えてみたくならないか? まさしく、龍生にはその現象が起こっていた。





 一方、神崎は困惑している。しかし、集中せねば、龍生の手の甲を強くつねって松崎に集中した。

「あたっ!」龍生の顔はそれでも目の前の瑛琳に必死だ。





 松崎は気づかぬまま話を始めた。

「彼女の言った通り、いさらぎとは10年来の付き合いでした。私が高校生の時、彼と同じクラスになったのがその始まりです。その時、まだこの大阪は魔都と呼ばれるほど治安も悪くなく、私の知るほど恐ろしくもなかったんですよ。それは、あなたたちならご存知ですよね」



 神崎はそのコトをよくわからない。だが、龍生と瑛琳には理解できた。それはこの関西に住んでいるからである。






 この大阪がなぜ魔都と呼ばれるのか? それは簡単だ、5年ほどで犯罪件数が飛躍的に上昇したのだ。

 それだけではない、日本の関西全域において小さな交通違反も含めると明らだが、難解事件が急増している。ただの交通事故が、犯人の工作により密室殺人事件や誘拐殺人事件に変貌するという事態が起きている。

 それに加え、悪の結社、テロ組織、サイバー集団など、明らかにこの日本の関西を中心に重大な組織が編成され、活動をしているらしい。

 さらに、世界を驚かした事実があった。

 大阪を中心とした、変異や異変、と呼べるほどの異常な知能発達。その地区に住む住人は他の場所に住む人間よりも知能が発達していることが判明した。

 その異常なまでの知能発達が、難事件を発生させるに至っていると政府は考えている。

 結果的に、最も犯罪の多い大阪がいつしか魔都と呼ばれるようになったのだ。



 そして、それが起こり始めたのが約7年前。

 さらに、実情として公にされないコトになっていた。





 そのコトを一連話して、松崎はそのことを思い出すと身震いすると、

「私たちは同じ大学に入り、謎の知能発達について調べていました。しかし、私たちの研究チームは途中で解散されることとなり、それ以来いさらぎ先生とは会っていませんでした……」




 そこまで聞くと、ことの顛末は見えてくる。


 瑛琳が断言した。

「どうやら、そのことといさらぎが死んだことと関係があるようだな」





 松崎は目線をそらしてやるせなさそうに、

「私がここに来た理由は、いさらぎを殺した寺井が何かをこの部屋の机に隠していると確信していたからです。それがなぜだかわかりますか?」


 神崎は龍生の顔を見て『わかるのか?』と聞きたげだが、彼の表情はだるさから燃え尽きた人間のようにも感じる。何が彼をそこまで失念させているのかわからなかったが、瑛琳はそのの様子を見ると単独で話を進めた。




「はぁ、寺井の犯行は私の推理した通り『諮問犯罪者』によるものだと思うのだがね。ということは、寺井は誰かに犯行計画を持ちかけられていたはず。机に何かを隠して意味があるとすればそれを見つけた誰か、要はメッセージだ。ならばそれを知る君は彼と何か関わっていたことになる。では、結論からいうとなんなのだね? それくらいは君の口から言わせてあげようじゃないか」




 妖精にしては横柄な態度、しかし美しく明確な推理だ。




 松崎は龍生や神崎にはそれほど信頼を置けてはいないのかもしれないが、瑛琳にはなぜか話しても問題ないと判断していた。

 それは、見た目以上に松崎が彼女から逃れられないという諦めからきているのかもしれない。




 松崎は周囲を振り返り、誰も己を狙っていないことを確認すると、こう言った。


「おそらく、寺井はこの学校の指示でいさらぎを殺したんだと思います」




 ふぅむぅ、瑛琳がその言葉を元に考え込み始める。


 神崎は予想だにしなかった言葉に仰天して、

「そんな! それってつまり……私の伯父が指示したってこと……?」

 それなら、寺井の連絡方法を知っていてもなんら不思議はない。




 瑛琳が松崎に手を伸ばした。

「見せたまえ。君が持っていてもどうせ探偵を雇うのが関の山だ。私たちなら金をかけずに解決してやれる」


 彼女は拒もうとしたが言われたことはその通りだった。

 目の前でこうも実力を見せ付けられたのならば、頼るほかない。

「わかり……ました……」

 ポケットに手を突っ込む手がかじかんだように震えているように感じた。目の前の妖精があまりにもこう当節物なためか、それとも別の何かからの恐怖か定かではない。

 ゆっくりと取り出して、瑛琳に手渡した。




 手元のそれはボイスレコーダーだ。


 受け取った彼女は鼻で笑うと、

「ふふふ、こんな古典的な手で情報のやり取りを行うとは、君の勤めるこの学校は90年代のスパイ組織か何かかね?」




 しかし、松崎から帰ってきたのは返事ではなく……血液だ。




 途端に、瑛琳の美しすぎる精密な顔に赤い斑点をつけて松崎は倒れた。

 瑛琳は困惑している。




 神崎は叫んだ。

「松崎さん! 大丈夫ですか!」駆け寄って揺さぶるが意識がない「龍生! 早く蛍雪読んで!」

 しかし、彼は燃え尽きたような表情から喪失した表情雨に変わり、膝をついて地面に崩れ落ちた。




「一体何が!」神崎は二人を何度も見比べたがついには松崎を抱えて廊下へと飛び出した「瑛琳さん! 龍生をお願いします!」





 瑛琳は視線をあちこちに動かしながら冷静を保つと、

「まちたまえ、神崎伝説よ。慌てる必要もない、今彼女からした香りは青酸系の毒物だ。もう手遅れというものだよ」

「そんなわけにいかないでしょうがぁ!」

 そう言い残して神崎は保健室へと走って行った。






 

 瑛琳は龍生にトボトボと近づくと安らかな顔で、

「すまなかった龍生。君の弱点を忘れていたようだ」

 彼の頭をトントンと指で叩くと、


「では、情報いまのぎじゅつのインストールを始めようか」



ありがとうございましたー

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