密室の本意
インフルエンザはすごいねぇ。二回目でもぜーんぜん容赦しないな。
すみません、焦って投稿したためにお話が変になってました。密室の謎も解けてません。修正しましたのでよろしくお願いします。
龍生は視聴覚室をぶらぶらしながら、
「それは簡単です。開いてたんですよ、それ以外ありません」
警部補が少しイラつきながら、
「室内に入った方法はどうでもいいんだ! 要はどうやって密室を作ったかだろ!」
ごんっ!
その声に龍生が意見を突き立てる。そばの机を強く叩いた。それは瑛琳の姿に似ている。
そして冷静に、
「では、犯人の目線に立って考えてみましょう。犯人は桃城さんといさらぎ先生が面談をしている時に、どうやって桃城さんを殺さずにいさらぎ先生を殺したのでしょうか?」
警部補は龍生が行う質問形式の推理ショーに苛立つ。
大阪弁が前に出て、
「そんなん、その女子生徒だけを見逃せばいい話やろ!」
しかし警部補自身、その言葉通りには行かないことに気がついた。
「まさか……女子生徒があえて生かされたというのか?」
鋭い勘の警部補に感服の意を示し、龍生が改めて話す。
「いいですか? 桃城さんが犯人の顔を見ていれば確実に殺されます。しかし殺されなかった。つまり、桃城さんは犯人の顔を見ていない。ということになります」
神崎が待ったをかける。
「でも! 発砲音があったのは28分。面談の様子が映っていたのは15分まで。その間に面談を終えて、射殺されたって事かもしれないじゃない! それなら桃城さんは関係ないわ。 どうして面談中に殺されたって話になるのよ?」
すると和美が少し青ざめて、
「いいや、そういうことやない。被害者は女子生徒との面談中に殺されたんとちゃうって言いたいんや。そして、それは『あえて』。犯人には女子し生徒を殺そうと思えば殺せた。しかし、殺さずあえて時間をずらした」
龍生が話がわかる和美に満足そうに、
「そうです、桃城さんはあえて生かされました。罪をかぶってもらうためです。それに考えてみると周到なまでの桃城犯人フラグが立ちすぎている。『通気口』『面談』『彼女の生存』そして『弾丸の軌道』。もしかすると、皆さんは面談中に殺されたと考えていたのではないですか?」
神崎にはわからない。
「どうして? 面談中に殺されたとは限らないじゃない。どうしてそう思うのよ?」
和美は冷静に「弾丸の軌道が上から過ぎたんや。そんなに上からの軌道は、被害者がソファーに猫背で座って、その正面から射撃したことを意味している。やから、どんなけ否定的な推測をしても、面談相手の女子生徒に容疑がかかってた」
「と、いうわけです」龍生が一旦間をとると、続けた。
「まぁ、この際はっきりさせておかなくてはなりません。桃城さんは白です。彼女は犯人じゃない」
警部補が断言した龍生に尋ねる。
「しかし、お前の言った通りなら、女子生徒との面談を終えて被害者が被疑者の前に猫背で座っていたということになるぞ? だが、この容疑者二人は被害者のいさらぎ先生に面識はないと言っている」
すると和美が、
「アホか板垣。そんなん、どっちかが嘘ついてるに決まってるやん」
「アホとはなんだ!」
警部補が怒っていると、容疑者の英語教師も叫ぶように、
「だからって僕は嘘を付いていません!」
寺井も腕組みをして頷いた「私もです」
龍生はふと気がついたようにこう提案する。
「結論から言いましょう」
すると人差し指を立てて、
「桃城さんはおそらく犯人に仕立てられている。では、真犯人はどうやっていさらぎ先生を殺したか? それは簡単、『射殺』です。では、なぜ密室ができたのでしょうか? あの時間帯は高校の三年生のおかげで犯行現場の前の廊下を使用していたため人はおらず。発砲音があったのにも関わらず、それが聞こえたという証言がないほど殺人にはもってこいの環境でした。殺した後に細工をして密室をいちいち作っていては、逆に見つかってしまいます」
すると英語教師が手を上げて、
「私! 聞こえましたよ! おっきな音がしていました! その時私は会議室の2個隣のパソコン室にいました! でも、それだけです! それは資料を作るために利用していただけで、それ以外は何もしていません! 事件があったなんて知りませんでした!」
警部補が寺井に尋ねる。
「あなたは何か聞きませんでしたか?」
「いいえ、私はそれより前に通ったと思うので聞いてません」
和美はニヤリと笑った。
だが神崎はそことは別のところに気がついて、
「そういえば、その二人も松崎さんも三年生が使用している廊下をあえて使用したのよね? 英語教師さんはその廊下に面したパソコン室を使うためにその廊下を使うしかなかったのはわかるけど、コンサルタントさんはどうして他の廊下を使わなかったの?」
寺井は丁寧に、
「私は最近コンサルタントにつかせてもらったので、学校の構図をあまり知らないもので。だから、来た道を戻ることでしか東出口に帰れなかったんです。生徒と生徒の間に体をねじ込んで進んだので、大変でした」
松崎は自分のことを話す。
「私は自分の時計を見て25分には会議室の隣の準備室を出て、道沿いの空き教室に机を運んでいました。その時、どこからか音が聞こえた気はしましたが、学校ではよくあることと思い、詳しく調べないまま30分頃、また机を取りに準備室に戻って、隣から会議室を確認した時には誰もいませんでした。その時、会議室の中に鍵を発見したので、会議室に入ろうとしましたが鍵がかかっていて入れませんでした」
龍生は情報を集めながら推測していた。
自分のわかる限りの推測を披露しながらそれを続ける。
「では、いさらぎ先生が15分にはいて、28分に発砲音、30分には誰もおらず、45分には遺体があった、ということは一旦置いておいて。なぜ密室になったのか。誰かわかる人はいませんか? 密室にする必要のない部屋が密室になった理由を知っている人は?」
警部補が呆れて、
「おいおい、お前が犯人を知っていると言ったんだんだろ? なら密室の原因も知っているはずだ」
龍生はそれを聞き頷いて、
「わかりました。では、お聞きください。密室の原因は、犯人によるものではないと考えています」
彼の言葉を聞き、一同が騒然とした。
だが、和美だけは平然としている。
龍生は続けた。
「いいですか? 発砲音が聞こえていたとしても、学校では珍しいことではないと誰も気にしないんです。それなら、いさらぎ先生がソファーに猫背で座ったところを撃ち殺し、その場から逃げればいいだけの話ですよね? 場は整っていました。その時間の会議室前は人通りが極端に少なかったのですから。監視カメも修正せれている。なら、犯人がそうしたんでしょう。では、密室は誰が作ったか? 簡単です、それはいさらぎ先生だ」
警部補は怒って、
「そんなわけない! 撃たれて密室を作れるなら、大声で助けを呼んでいるはずだ!」
龍生は落ち着いて、
「ま、落ち着いてください。それに納得が行かなければ、証拠で犯人がわかる。警部さん、被疑者の硝煙反応の検査と手荷物の検査をしましたか?」
硝煙反応とは銃を発砲した人間に付着する火薬を検出する検査のことだ。
「ああ、当たり前だろ。二人とも硝煙反応は出なかったし、身体調査で拳銃なんざ出てこなかったぞ」
「そりゃそうです。では、その中にウェットティッシュを持っている人はいませんでしたか?」
尋ねられた警部補はすぐさま容疑者二人のカバンを探り始る。
すると、英語教師のカバンの中から見つけた。
「これだ! こいつのカバンからウェットティッシュが出てきたぞ! これがあれば、水に溶ける硝煙を拭き取り硝煙反応を隠すことができる!」
「そ、そんなぁ!」英語教師は大声をあげる。
龍生はすかさず首を振って、
「いいえ待ってください。まだ証拠にはなりません。硝煙を拭き取った証拠はどこにも提示されていませんし、もし学校のゴミ箱から硝煙のついたウェットティッシュが見つかったとしても、そこからその人の指紋が検出されるとは限りません」
警部補は荒ぶって「ならどうしろと!」
龍生は冷静に答えた。
「ビニール袋を探してください。そこに答えはあるはずです」
警部補は理解を示さない。龍生に尋ねた。
「袋? なぜ袋なんだ? 事件と何一つ関係ないじゃないか」
「いいえ、犯人は硝煙を拭き取る手間を大きく省くために、袋を使ったんです。大きめの袋を底側から手で貫き、袋の中で『トカレフ』を発砲することにより、硝煙が袋の中で止まります。慎重に処理すれば、手首から先だけを拭うだけで硝煙反応の処理は完了です」
警部補はハッとした。
龍生が締めに入る。
「そして、それには指紋がついているはずです。なぜなら、手袋をはめて銃を放つと硝煙が手袋に付着し、処理が大変だから。絶対に指紋が残っているはず。今すぐ捜査を」
すると和美が待ったをかけた。
「いいや、もう捜させてる!」
その時、タイミングよく視聴覚室の扉が開いた。警官が現れる。
「板垣警部補! 指示通りビニール製の袋をくまなく探しました!」
「なにぃ? 俺はそんな指示出してないぞ!」
和美が笑って「私が出しておいた」
「余計なことを……」
警部補が顔をしかめていると、警官が報告を始めた。
「袋は計3個見つかり、一つから硝煙反応が確認されました」
警部補は目の前の机に乗り出し、尋ねた。
「指紋は出たか?」
すると警官は、
「……いいえ、出ませんでした。硝煙反応だけです」
その瞬間、警部補の顔から見事に期待が失墜した。
時間だけが流れる。
龍生の困った顔。
そして、ギリギリまで犯人を追い詰めた推理。
和美はわかっていた。彼はまだ全ての推理を話していないと。
こう尋ねる。
「龍生君、どうしていさらぎ先生は密室を作ることになったの?」
和美にも仕掛けはわかってたが、彼の実力が見たかったのだ。
龍生は頷く。
「そうですね。まだ、話してませんでしたもんね」
神崎はそれを見つめているしかなかった。
投稿が少し遅れるかもしれませんが、どうかお許しください。




