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昼休みは名探偵コ◯ンくんと共に

 コ◯ンくん好きな人ごめんなさい。ちょっと無茶をします。

 場所は変わり、一年五組。

 教室は他クラスの生徒たちも混じって絶え間ない喧騒が覆っていた。

 そこに放送室からスピーカーで音楽が流されており、まるで喫茶店か何かだ。

 龍生と神崎は少し遅めの昼ご飯を食べていた。


「龍生、なんであんなこと聞いたの?」

「いさらぎ先生に通勤経路聞いた話か?」

「ええ、何かあるのかと思って」


 龍生は疑問そうな神崎を見ると少し考えて、

「う〜ん、これは推理でもなんでもないんだが、いさらぎ先生は朝の痴漢事件の時、あの場所に居たんだよ」

「嘘でしょ?」

「見たからな、多分人違いじゃないし」


 神崎は箸を置く。

「なんで嘘を?」

「たぶん桃城に冤罪を仕向けたんだろうな。それはなんとなくわかる。だって、桃城は外が騒がしいから確認しに来たんだ。それはなぜか? 話を聞かれたくないからだ。そこまで自意識過剰になるのはやましい話をしていた証拠、だと思うんだけどねぇ」

「じゃあ、先生が冤罪の教唆を?」


 龍生は頷く。

「ああ、犯人は現場に現れるらしいしな」

 神崎はそれを聞いて考え始める。

「ならその悪事を暴かないと。次の冤罪につながっちゃう」

 すると龍生はまたしても呆れて、

「お前なぁ? まだ後二回授業があって、まだ昼休みも終わってない。先にそっちをかたずけないといけないぞ?」



 しかし、神崎は聞く様子もなく「あなたならどうするの?」

「ま、それは後で考えればいい」龍生が弁当の卵焼きを食べて少し首をかしげる。


——ぶりゅ——

 龍生はマヨネーズを取り出し、卵焼きにかける。


——ぶりゅ——

 ウインナーにかけて。


——ぶりゅ——

 炊き込みご飯にかける。

「ちょっと待って、不快なんだけど」

 神崎が龍生のマヨネーズを持つ左手を掴み止める。



「離せ」

「台無しになってるからやめて」

「素材を活かしているんだぞ?」

「それ以上やったらぶっ飛ばすから」

 仕方なく龍生はマヨネーズを終う。



 その時。スピーカーから男性の声が聞こえる。

『皆様! どうでしたか今日の音楽『ラブステップハリケーン』は? 最近一押しの曲で、これを流したのには訳があります』

 すると女性の声で、

『私たち、放送部副部長と部長は、結婚します!』



「はぁ?」神崎が思わぬ事態に声が出た。

 すると放送室ないで拍手が起こっているのが聞こえた。

 同時に、スピーカーに教室中がブーイングを浴びせる。


 杉浦もスピーカーに空き缶を投げて、

「幸せになりヤガレェ!」

 男性の声で『みなさんはクリスマスとか寂しいでしょうが楽しい学園生活を一緒に送りましょう』

「今の言葉返せ!」

 杉浦をよそに放送は締めに入った。

 男性の声が続ける『修学旅行をハネムーンとして計画しておりますので、その時には僕たちのデートを生中継したいと思いま〜す。それではまたあした〜』

 放送が終わってもしばらくブーイングが続いたが、それに飽きると日常へと戻っていく。



 神崎はたこさんウインナーをほうばって、

「この学校は馬鹿ばっかりねほんと」



 龍生はそれが聞き捨てならなかった。

「馬鹿と言うなよ、ここは関西だ。アホの方が適切な使い方だ」

「あなたも馬鹿なのよ? わかっているの?」

「違うんだよ、バカじゃなくてアホと言わないと『バカ』一言につき『1Tポイント』が溜まって、20ポイントたまると『打ち首獄門の刑』に処される」

「やっぱり意味わかんないわ」



 その時、廊下から駆ける音が。音はどんどん近づき、そのまま神崎の隣にある教室の小窓にぶつかった。

 そのまま窓を突き破り、河合が入ってくる。


「大変だ〜! 殺人事件だ〜!」


 言葉を残して床に叩きつけられる。

 その姿はガラス片を受け血だらけだ。

龍生は神崎を連れて、

「行くぞ!」

「行くの?」



 そこには高杉、蓮能寺、花園崎の姿が。

 高杉が声をあげた。


「山田! いったい誰にやられたんや?」

 一年五組の教室とその隣の一年六組の教室の間。


 綺麗に清掃された廊下の上で山田は頭から血を流し、気を失っていた。

 高杉が周りに指示を出す「そこ動くな! 犯人がいるかもしれねぇ!」

 杉浦も駆けつけ山田を起こそうとする。


 しかし、とある甲高い声がそれを止める。

『マッテ! 殺人現場をアラシチャいけないよ!』


「誰や!」高杉がうろたえる。

 その頃には河合も駆けつけていた。


『ココだよ! 窓の方だよ!』


 一同が注目。

 窓の外には滝松の白塗りされた顔があった。

 首からは体をかたどった人形がぶら下がっており、その見た目は滝松の顔の人形が窓枠に立っているかのようだ。



 滝松は甲高い声で続けた。

『初めまして。見た目は子供、頭脳は大人の名探偵だよ!』


 神崎が驚いて「ここは三階よ? どうやって」


 その時、中庭を挟んで向かい側の窓から外を眺めていた女子生徒が悲鳴とともに逃げていった。


 杉浦が驚嘆して「まさか! 指の力だけで窓枠にぶら下がっているというのか? しかも裸で」


 滝松は続けた。

『早速だけど。推理を始めるね。今回の容疑者は三人。高杉くんと蓮能寺さん。それと花園崎さんだよ』

 高杉はそれを否定する。

「お前! 俺たちは第一発見者や! 犯人なわけないやろ!」


『それは違うよ! このうちの三人が殺した後に悠長に現れて第一発見者に紛れ込んだんだ。そこで、犯人がどうやって山田くんを殺したか考えるよ』


 滝松は続けた。

『彼は後頭部を鈍器か何かで一撃。ということは背後を許す気の知れた相手。そして彼の手元を見てわかる。そこには鹿せんべいだ』



 その通り、山田の手元には食いかけの鹿せんべいが残されていた。

 高杉がひらめいて。

「そうか! 思わず鹿せんべいに夢中になっているところを殴られたんや!」



 滝松は続けた。

『それはどうかな、山田くんは人間だよ? 鹿せんべいは鹿の餌にするものだから山田くんが好きなわけないよね?』


 滝松は続ける。。

『それは一見奈良県の名物に見えるけど、それは違う。見てみて、不思議な模様が書いてあるよね。それはシカシカの実なのさ!』

 まさかの悪魔の実である。



 高杉が唖然として「ま、まさか!」

 滝松は続けた。

『奈良県にはなぜあんなに鹿が多いのか、それはそのシカシカの実のせいなんだよ。そして、鹿になることは県民の誇り。山田くんは逃れられなかった。その瞬間を殴られた』



 杉浦が山田に駆けつけ、

「でも、まだ生きているかもしれないし助けなきゃ!」

『無駄だよ! さっき息止めたからね』

「お前が犯人かよ!」


 河合が高杉に尋ねる。

「あいつをどうする?」

「波動砲ヨォい!」

「よしきた!」


 龍生がマヨネーズをパスする「受け取れ、俺の魂!」

 瞬間。河合が四つん這いに、背中にはマヨネーズ、杉浦がジャンプした。

 そのまま杉浦はマヨネーズにニードロップ。

 衝突の瞬間、マヨネーズが蓋を押しのけて滝松の顔面に向かった。

『ちょ』

 命中。

 そのまま中庭へと落ちていった。




 裸で中庭に倒れる滝松や、膝を抑えて呻く杉浦、背中を抑えてもがく河合。

 彼らの元にタンカーが運ばれてきて、保健室に連れて行った頃には少し日常に戻りつつあった。


「……奈良県民が鹿になるわけないやろ! あと、シカシカの実ってなんやねん! あれ? 俺はいったい?」

 時間差ノリツッコミである。山田が目を覚ましたようだ。


 神崎が山田の後頭部を見つめて、

「かなりの勢いで殴られているわね。いったい誰がこんなことを」

 すると花園崎がおしとやかに、

「言った誰でしょうね?」後ろに回した手には金棒。



 蓮能寺が口を抑えて、

「まさか、自分が犯人でここまで全て予想してたんか? なんて恐ろしい子!」


 神崎はため息をついて「その言葉が恐ろしいわよ」

 その時。中途半端なチャイムが鳴った。

次回『ヌヘコボッテる、とは?』

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