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絶対的なピンポンダッシュ作戦!

この世界で最も陰湿なイタズラ、ピンポンダッシュです。

ミーケ先生ご乱心。乞うご期待。

 神崎が龍生の後を追いかけて校舎南の三階。ロの字側の校舎だ。


「ちょっとどこに行くのよ?」

「3階、会議室だ」


 階段を上がってちょうど右の教室に二人はたどり着いた。

「ここで何を?」

 神崎の疑問に龍生が一言、

「捜索だ」


 扉を開ける。

 すると中には五六人ほどの人だかりが見えた。


 彼らは皆タンクトップ姿で、何かに一心に視線を送っている。

 その一同がこちらに振り返ると、一瞬で興味を無くしてまた何かに視線を集め始めた。

 すると、その人だかりの向こうにもいるタンクトップの男子生徒が、読書をやめてこちらを見る。

 彼の日本人離れした鼻筋が彫刻物を思い描かせた。

 ふとつぶやく。


「龍生か、お前また花園崎さんと一緒にいただろ? いつか俺にも紹介しろと言っているのに」

くるま、お前たちの力が必要だ」


 しかし、俥は要望に返事を返さない。

 なので龍生は仕方なくポケットから幾つかの写真を取り出した。

「よし、俥、花園崎さん盗撮カード五枚でどうだ?」

「乗った」


 瞬間、人だかりたちの目が変わる。

 一同が龍生たちを向いて花園崎の盗撮カードを食い入るように見つめていた。


 神崎が龍生に詰め寄ると、

「あんた! 彼女のこと盗撮なんかしていたの? 犯罪よそれは」


 しかし龍生は気にすることなく、

「今、桃城というこの学校の女子中学生を探している。どこにいるかわからないが、桃城はこの昼休みで早退するらしいんだ。その他はいじめられているということくらいしかわかっていない。できれば今日中に話を聞いておきたいんだ。探し出せるか?」


 俥が不敵に笑って、

「当たり前だろ」

「じゃ、頼むぜ」


 龍生の言葉をきっかけに、自体が進む。

 俥が大声で、

「お前ら! 校内に散らばれ!」


 たむろしていたタンクトップの男子たちが会議室からものすごい勢いで飛び出していった。

 彼らがいた場所には大きなパソコンが備え付けられている。

「これは?」神崎が近づいてモニターを確認すると、そこには校舎中の監視カメラの映像が映し出されている。


 それも全てが花園崎を映し出す。

「これも盗撮じゃない! あなたたち正気?」

 神崎が龍生と俥の顔を交互に見ていると、そこに通信が入った。


『キャプテン! 部隊全員、配置につきました!』


 俥が頷いて「よし、そのまま待機!」続いてパソコンを操作し始めた。


 神崎が龍生に問う。

「これは一体なんなの?」

「こいつらはラグビー部だ。兼、花園崎親衛隊」

「親衛隊?」



 俥が操作を終えると、

「龍生、お前がここに来た理由がわかったよ。確かに、これは俺たちじゃないと果たせない任務だな」

「だろ?」龍生が目配せを送る。


 神崎が戸惑って「一体なんのこと?」


 俥が再び操作を始めながら、

「桃城ってやつはいじめられているんだろ? だから教室にいない。そこでだ、全教室の監視カメラで確認した生徒たちの顔と学校のデータベースにある生徒の顔をスキャンした。でも、桃城ってやつはどの教室にもいないな」


 神崎は今の発言を受け入れられない。

「スキャン? データベースってハッキングでもしたの?」


 龍生はそれを無視して、

「他も探してくれ」

「わかった」俥がパソコンの操作を続ける「教室以外の部屋にもいそうにないな」


 神崎が一言「一体なんのための技術なのよこれは」


 龍生は頷くと、

「やっぱりか、じゃあここに来て正解だったな」

「そのようだな」


 神崎は勝手に話を進める二人に尋ねた。

「なんでラグビー部じゃないと果たせない任務になるの? よくよく考えれば校内放送で呼び出せばよかったんじゃないの?」

 その時、龍生と俥が「「あっ」」と声を漏らした。

 しかし次の瞬間、首を横に振って邪念を取り払う。


「ちょっと待って! 今の図星よね?」神崎を放って俥が力を込めた発言。

「作戦準備!」

『はい!』

「初め!」



 すると通信機からは足跡と悲鳴が聞こえ始めた。



「一体何をさせているの?」神崎が尋ねるので龍生が、

「いじめられている人間は一人で飯を食っているところを見られたくないという理由から便所で飯を食うらしい」

 俥も続く。

「そこで。便所で飯を食っているなら引きずりだそうと思ってだな。今ここにいた部員達に女子トイレに突入させて全個室をノックさせているんだ」


「それはやりすぎでしょ!」

 神崎が喚いている間にもラグビー部員から通信がある。

『キャプテン! 一回目、終了しました!』

「よし、次のトイレに移動しろ!」

『了解!』


 神崎は「もうやめてよ!」と制止しようとしたが、アホな男子は止まらない。

 俥が叫ぶ「第二波、開始!」

 またしても通信機から足音と悲鳴が聞こえ始めた。

『完了しました!』

「よし、次のトイレに移れ!」



 その時、モニターにとある人物が映り込む。

 同時に通信機から部員達の悲鳴が聞こえてきた。俥が応答する。

『ぎゃー!』

「どうした?」

『ミーケ先生です!』

「なんだと!」

 通信機からミーケの声が聞こえてくる『お前ら、なにしくさっとんじゃぁ!』

 チョークの発砲音が続いた。



 龍生が冷静に「どうやら、先生がトイレに入っていたみたいだな」

 神崎は恐ろしげに、

「あの先生を怒らせたらどうなってしまうのかしら」


『キャプテン! 指示を!』

「退却!」


 しかし、悲鳴が途切れて部員の声が聞こえなくなった。

「やられたか」

 一言つぶやいて俥が近くの椅子に座る。


 その時、龍生がモニターを指差した。

「成果はあったようだな」

 モニターには桃城が騒ぎで慌てて飛び出してきた姿が映る。

 どうやら教師の休憩室から出てきているようだ。

「トイレじゃないわよ?」

「……」


 返事のない龍生に神崎が鋭いチョップを入れた。


次回!『顎がずれる!』

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