クラスメイトは個性的。
今日は三回連続で投稿いたします。是非お付き合いください。
時間は過ぎ、休み時間。
神崎はクラスメートたちを前にして立ち上がり、大きく叫んでいた。
「どうしてぇ! 一体どうしてこうなるのぉ! 授業してぇ! 授業してヨォ! 私の知ってる授業じゃないのヨォ!」
すると廊下の個人ロッカーから体操服を取り出して帰ってきた龍生が、途方も無いような顔で、
「仕方ないよ、これが俺の学校に通ってる理由だから」
「そんな悟った顔しないでぇ!」慧見がまるで絶望を目の前にしているかのように、
「ここは地獄ですかぁ!」
「いいえ、大阪です」
龍生が頷く「いい傾向だ。性別を思わせないツッコミ。会得しているな」
「誰が得をするのよ……」
「俺」
神崎がうなだれる。
龍生が冷静に答えると、次にクラスメートを眺める「こいつらの紹介をしようか、する暇がなかったからな」
彼らは神崎のお披露目から今に至るまでの変わりように軽い悲壮感を漂わせていた。
龍生が神崎に横並びになったクラスメートの数人を自己紹介する。
「左から、男、男、男、男、女、女、男だ」
「ふざけないで」
「すまん。左から、滝松、高杉、杉浦、河合、蓮能寺、花園崎、あとは鹿だ」
すると一番右端の男が、
「山田だよ! 奈良県民だからって鹿言うなよ!」
龍生が一言「しかしこいつはもういない」
「いるよぉ!」
山田を無視して滝松が上半身裸のまま、
「おっす、俺は滝松。歳は17だ」
留年である。
「勉強しろっ」高杉が滝松の頭を叩く。
杉浦と河合が腕を組んで、
「大変だったな、慣れるまで時間がかかりそうだ」
「無駄に叫んでたぞさっきの授業」
河合の指摘に慧見は口元を隠す。
しかし、男たちに挟まれる女子生徒二人は周りの色に染まることもなく、可憐な立ち姿を崩すこともなかった。
蓮能寺はショートヘアのすっきりとしたボーイッシュな顔立ちで、視線があまりにもまっすぐだ。身の周りには軽い気迫が見て取れるほどに威勢が良い。
一方、花園崎は蓮能寺を攻撃と表すなら明らかに防御。それでいて彼女の周りには気品という砦が立ち並ぶ。
彼女のロングヘアーからは優雅さが立ち込め、反対にしたたかで頭の先から足の先まで目の前の神崎を取り込んでやろうと窺っているようにも見えた。
慧見は花園崎という名前に心当たりがあった。
「花園崎って、もしかして元財閥の花園崎家? 大阪が本家とは知っていたけど……」
「いえいえ、私の名前などさほど重要ではありませんよ」花園崎の言葉がえらくおしとやかだ。
「でも、この学校になんでそんな人が?」
「知りたいですか?」
「……いえ」
神崎の言葉におしとやかな声が一瞬で大きな牙を見せたかのようだった。
花園崎の隣では蓮能寺がまたかと呆れると、
「神崎さん。あんたも神崎伝説言うくらいのおもろい家系やん。聞きたいことあんねんやったら先自分のこと言わなあかんわ。美優はたまにエグい時あるねんから」
花園崎は口に手を当てて「人聞きの悪い……」
すると山田がにこやかに手を振って、
「神崎さんこんにちは」
「龍生、次の授業は何?」
「無視っすか?」
龍生は神崎が山田の扱い方を理解したことに感心しつつ、
「体育だ。他の奴らも紹介したかったが、その準備で忙しそうだな」
そこへ蓮能寺が神崎に近づいてきた。
「神崎さん、初めまして蓮能寺ゆみかって言います。クラスに慣れるんは大変やろうけど、無理せんでいいからな」
「ありがとう、私も善処するわ」
その時、教室の端っこで大きな音が。その拍子に二人にシャーペンやら鉛筆が飛んできた。
しかし、蓮能寺は見もせずに全てを掴み取る。
「ちなみに、私は格闘系の部活全般やってるから、気が向いたら声かけてな」
「格闘家だからってなんでもありにはならないわよ?」
「あちゃ〜、手厳しぃなぁ」
すると予鈴が鳴り響く。
蓮能寺が神崎の手を掴んで、
「あかん、遅れたらまた誰か殺されるで! 次はミーケ先生が担当や!」
神崎は戸惑って、
「ちょ、待って! 私体操服持ってないわよ!」
「とりあえず間に合ったらええから!」
言われるまま慧見は蓮能寺に教室から連れ出されていった。
ありがとうございました。まだ続きます。
次回『デストロイ方式で授業します』




