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正義感、もしかして事件?

 この小説は三日に一回くらいのスピードで投稿します。

 でも、感想をくれるたびに少しだけ頑張ります。あと評価もください、もうちょっと頑張ります。

 もし遅れれば、活動報告を見ていただけるとなんとなくわかるように心がけます。

 アホばっかりやるストーリーなので、飽きない程度に皆様を楽しませることができるならば、嬉しい限りです。

 もし、誤字脱字があればご報告していただけると幸いです。では、お楽しみに。

 

 日常にゴロゴロ転がる謎の事件。

 皆さんは知っているだろうか?

 この世界には奇怪なことがたくさん起こっているのです。


 それはある時は強盗。

 ある時は誘拐。

 ある時は殺人。


 身も毛もよだつ怪事件が起こるこの世界では、いびつな形の生気が生まれ、いびつな形の悪が生まれた。

 人はそれを日常と呼んでいる。


 しかし、とある少女は違う。

 幼い頃から本を読みふけり、正しい形の正義を育て、正しい正すべき悪を認識した。

 そんな少女が16の頃。電車に乗っているわけで。




 がたんごとん。がたんごとん。

 最近になって車両と線路に揺れが抑えられるような技術を得たとはいえ、満員電車で揺られるのはいい気分ではない。


 通勤ラッシュのサラリーマンや、学生が入り乱れるこの小さな箱は、事故という一文字に衝突なりさえすればいともたやすく命を奪えるのだろう。

 しかし、ありえない可能性を考えるよりも、今は目標の達成に向けて意識を巡らせるべきだ。


『次は、谷町四丁目。お降りの際は足元にお気をつけください』


 最近知った駅名。

 ようやくたどり着いた。なにせ、大阪までくるのには時間がかかる。東京から移住してようやくたどり着いた目的地。東京とは違い、小汚いホームが車窓から窺える。



 今、少女は次元上昇を目指している。

 彼女の正義感は強く、正しく、優しい。それが育まれるまでには幾年もかかった。

 恥ずかしがり屋で友達のできなかった小学生の時。

 一冊の本に出会い。彼女は読書家になっていた。それはどんどん深まり、その読んでいる本が推理小説だと知る頃には、軽く100冊を超えていたのを記憶のどこかにしまっている。


 そんな時に芽生えた思い。

 要するに、ひとりの高校生からひとりの探偵に次元上昇をしたいのだ。




 希望を胸に秘めた彼女は余念なくあたりに注意を張り巡らせる。

 靴、指、カバン、ネクタイ、眉毛、人相、髪の毛、手のスマホ。

 瞬く間に情報を拾い集め、彼女は推理をしていた。


 例えば、隣の男性はメガネにネクタイ。細身で運動不足。

 これは事務職の特徴だ。強いて言うならいま手にしているスマホの画面が汚れているのに気がつかないで熱心に触る姿は、その特徴と合わせるとエンジニアを思い浮かばせる。


 一方、ドア際の男性は太った体型で茶色のスーツ。おそらく団塊世代であろう。ふてぶてしい顔つきを見ると、社員に威張る姿が思い描かれる。

 そんな彼はおそらく管理職。

 ネクタイがやけに緩んでいるのを見るとそれほど仕事にストレスを感じてはいないようだ。ほどよく配下を持つ人間に見られる特徴。

 極め付けには会社のロゴが入ったペンが胸元に刺さっている。推理するまでもなくそれは車会社のものであった。



 ちなみに、取引でもらったものではないと判断できるのは、それが一本だからだ。

 もし、物持ちがいい人間ならば、二本から三本程度は刺さっているはず。

 一緒に手帳が入っていないのも必要としていないから。だからこそ、メモする必要がない経験の豊富な団塊の世代だとわかる。




 すると。彼女は一人の女の子に目が止まった。

 綺麗な顔立ちは着てきる学生服に際立たされ、幼さが浮かんでいた。そんな女の子の瞳はプルプルと震えている。

 顔がすごく怯えているのだ。


 これはまさか。そう思うとすぐさま近づきたかったのだが、満員電車ではそうはいかなかった。

 そのまま駅にたどり着き、乗客が解き放たれる。


「ま、待って! 待ちなさい!」


 彼女は持ち前の正義感を武器に、必死で追いかけていった。


次回、『少女はスイリヤを見る』

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