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レッドアイ  作者: kikuna
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エピローグ03

 自分の出生の秘密を知ってしまった日。

 落胆してみた景色。

 水沢がやってきて、弟のために協力して欲しいと言われ、初めて見る弟に心を躍らせている自分がいた。

 顔がにやけてしまったこと。それを怜美に冷やかされ、初めて感情を顕わにして怒鳴った。

 数々の記憶。


 僕の目の奥で、幾度なく繰り返されたその瞬間が、スクリーンいっぱいに映し出される。


 青かった星が赤くなって行く。

 

 「これが私の願い」

 強く握りしめられた優奈のカプセルから読み取れる記憶。

 「世界中全部の、精子と卵子は集められなかったけど、これで私たちの希望を継ぐ人たちを、育てて欲しい」

 采沢の研究は、優奈たちの手によって僕たちに委ねられていた。

 

 ――そして、

 僕らの美しかった地球は、宇宙から消滅をして行った。

 

 届くはずのない君へ。

 僕は深く息を吸い、流れ落ちる星屑に目をやりながら思いを馳せる。

 どうしても優奈、君に聞いて欲しい話があるんだ。

 果てしなく続く闇に、ぼんやりと優奈の笑顔が浮かぶ。

 口元を少し上げた僕が、それに重なる。


 優奈、奇跡がこの船で起こりつつあるんだ。。

 18年もの間、目を開けようとしなかった苗代が、ようやく生きる気力を取り戻したみたい。

 最初に目覚めて言った言葉は何だったと思う?

 まるで何もなかった様に、おはようだって、笑っちゃうよね。

 今までサボっていた分、彼には頑張ってもらうつもり。


 「とうとう童貞のまま、父親になりやがった」

 その声に、僕は振り返る。

 苗代が憎々しげに、そんな僕を見て笑っていた。

 この子は君と僕の子だよ。

 これが君へしてあげられる、唯一のことだと思ったから。

 「こういうの近親相姦っていうんだぞ」

 僕の申し入れに、医師と苗代が顔を顰めた。

 それでも僕は君の子が欲しかった。

 おそらくなんらかの障害はあると思う。そんなものはお手の物。僕には確信があった。君そっくりな女の子が生まれて来るってね。

 きみは怒るだろうか。試験管の中で弱すぎて育たなかった僕らの子を代理ママになってくれた日本女性が、今、妻として僕の隣にいる。

 僕らのこんがらがってしまった運命の糸は、いつ解けるのやら。と苦笑する苗代に、そのままでいいんじゃない。と僕は平然と言ってのけた。

 僕は、この子とこの景色を君に送り続けたい。

 僕らが住めそうな星が見つかりそうなんだ。僕も数回、探索に出かけた。空気は少し浄化する必要はあるけど、大丈夫、僕らは生きていける。

 「ボス。至急司令室へお戻りください」

 苗代そっくりな好青年が、僕に直接話し掛けてくる。

 どうやら苗代にも聞こえたようだ。

 苦笑の上、僕の手から幼子を引き受けてくれる。

 一向に目を覚まそうとしない苗代へ、僕からの報復だった。

 協力してくれたのは、あの秘書を務めていた女性だ。

 僕が黙って寝かせているはずがない。

 僕の計画を知ったジョアンナは、その役目は自分がすべきだと言って、自らの手で精子を採取されたことは、流石に本人には言えずにいる。

 君にも見せたかった。

 行き成り父親にさせられていた苗代のあの時の顔を。

 ふと足を止めた僕は、瞬きをして景色を変える。

 青く美しく光る星を見て、優里奈がキャッキャと喜ぶ。

 「これが優里奈、おまえのふるさとだ」

 苗代が優里奈の手を取り、そう呟く僕へ手を振らせる。

 

 時間が巡り僕らの心を癒し、次世代が育ち、僕は童貞を捨て三人の子供を持つ親になった。

 運命の河が流れて行く。

 それを受け入れながら、様々な問題を抱え、それでも僕らは再び美しかったあの星を再現するために、生きて行く。


 ――それが残された僕らの使命だから。



              <FIN>

少し前、一文字だけ消えた看板を見つけ、ああこんな養成所、ひょっとしてあったりしてと思いついたのがこの話でした。

拙い文面のお付き合いくだったうえ、評価までして下さった方々には、感謝感謝でいっぱいです。

また新たな物語を始める旅へ出ようと思います。

まずはサイトにてお会いできることを楽しみにしております。


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