エピローグ02
時計のメモリーカードを取り替えると、強く目を瞑る。
スクリーンに映し出される誰もが目を潤ませ、在りしの青く光り輝く僕らの星を見詰めていた。
僕らが生きている意味など分からないけど、きっと意味はあるはず。
地球に残ってもなお、希望を捨てずに生きている人がいる。僕が生きている意味があるとしたら、そんな人たちを忘れないことだと思う。
管制塔では有志による交信がし続けられている。
特殊能力を持ち合わせていない彼らは、飛び立つ家族のため友人のため恋人のため笑顔で手を振って見せていた。
最期の瞬間まで、それは続けられる。生きている証しとして。
感情などないはずの僕は、目から落ちるものが何か分からずぼんやりとそれを手に取り見つめる。
苗代の背中を押し戻したのは、優奈。
「私とママが離れられないように、あなたたちも離れてはいけないわ」
「早くしないと」
優奈が苗代の手から水沢を奪い取り、その場に崩れる。
「私は大丈夫。イチニノサンで二人を飛ばすわよ」
優奈が集中を高め、僕の思念波を上乗せさせていく。
荒く飛ばされた僕たちは、崩れ落ちるように船体に戻る。
呆然とする苗代と僕は、乗務員に抱きかかえられ、キャビンへ坐らさせられ、自動的に宇宙服が装着させられる。
「たまにいるんだよな。やっぱ嫌だって言い出す奴。そいう奴の為に開発させたんだ」
そう説明した本人が適用されるなんて、間抜けな話だ。
苦笑する苗代に、僕はありったけの笑顔を見せる。
それが優奈たちへの礼儀だと思ったから。
僕は苗代が眠っているカプセルを開け、掌を口の前で翳す。微かに感じられる苗代の息に、ホッとしながらその場に膝を抱えて座る。
「だから深入りするなって言ったんだ」
「僕ちゃん、愛に生きたい人なんだよね~」
「そう言って笑っていたじゃないですか。人には命の線引きをしろなんて言っておきながら、自分がこの様はないでしょ? 何が心が癒えるまで寝かせてくれですよ。僕、また一人きりじゃないですか」
空にはたくさんの星が瞬いています。
やっと、この星が消滅してしまうこと、気が付いたみたい。
嘘のように静かな夜。
波の音に掻き消されながら聞こえて来るその声を、僕は愛おしい思いで聞いていた。
泣きたい気持ちはあるけど、涙が出てないの。管制塔の人たちも家族と過ごすため、家に帰りました。今では誰もいません。真っ暗になっています。強奪や暴動にテロ。様々な事件は終着して、愛する者と肩を寄せ合って私と同じように、その瞬間を待っているの。今は、自然の光だけが世界を覆い尽くしているわ。
それが優奈との差後の交信となった。
優奈から貰った傘をさしてみる。
土砂降りの中、招き入れられた部屋の暖かさや、暖炉の火を見てホッとなったことを思い出していた。
画像が乱れ、地球が歪みを見せている。
深い眠りに就く前、苗代は癒しの部屋で、美しく光り輝く地球を見つめていた。
優奈の頬に、一滴の伝う。




