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レッドアイ  作者: kikuna
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第五章 撹拌05

 苗代はその後も六大陸の主要都市を回り、最後は、僕ちゃんオーロラが見たいの一言で、アラスカで幻想的な風景を目に焼き付けてから、帰国するとkと付けて僕を送り出した。

 僕は両脇を大柄の男に固められ、プライベートジェット機に乗せられ、薬を与えられる。

 目を覚ますと、僕は自室のベッドに寝かされていた。

 僕はシャワーを浴び、ミネラルウォーターを飲みながら、ベランダに出る。

 見下ろす風景が旅立った時と同じもので、あれから一年がったった気がしない。 

 徐につけたテレビから、宇宙船が大きく映し出されていた。

 特番らしい。

 考えてみるとスペースシャトルが打ち上げられるのも、もうそろそろだった。昨今頻繁に話題に上っている宇宙開発計画を受けて、この映画製作が打ち立てられた。宇宙ブームはとどまることを知らず、宇宙旅行を企画しているらしい。

 「僕ちゃん、宇宙に今度、出掛けようと思っているんだ」

 と言う苗代を呆れるように見る僕に、君も一緒だからと言う。本気にはしてはいないが、一瞬、苗代の瞳に映る無数の星が見え、息を飲んだ。

 この旅行の収穫は、人は環境になれるということだった。外国語など全く話せなかった僕でも、帰る頃には、簡単な会話ぐらいは聞き取れるようになっていた。映画監督と、握手を交わしながら、苗代は監督にも似たような話をしていた。その会話に気が付き、僕が目を向けると、二人もこちらを見ていた。

 上手く行くといいのだが。鍵を握るのは彼かい。イエス。出発は早い方が良い。準備の方は順調に行っています。そんな具合の会話だったが、鍵を握るのがなぜ僕なのか分からないが、おそらくジョークの一貫だろうと僕は思った。


 銀杏の葉が落ちた道を犬を散歩させている人が見え、こちらをじっと見ている人を見つけた僕は、目を見開く。

 河北千穂がなぜ?

 僕は身を乗り出して、確認する。

 河北は、すぐに踵を返し走って来たタクシーを捕まえ行ってしまった。

 僕の胸がざわつく。

 何かを思い出せそうで、それを思い出そうとすると、妙に頭が痛くなってしまう。タイミングよく、苗代からの電話だった。

 簡単な明日のスケジュールの確認と、何故か変わったことはなかったかと聞かれる。

 「ある訳ないでしょ。帰って来たばかりで、家は埃臭いし、ダイレクトメールの山も片付けなくちゃいけないですよ。それにもうクタクタで何かあっても、今の僕じゃ何も分からない」

 僕にしては喋りすぎだ。

 そう思いながらも不安がそうさせていた。

 「それなら良いが、明日は10時遅刻すんなよ」

 「て苗代さん、今どこに居るんです?」

 「仕事を早々に片付けて、今は自宅のソファーで酒を飲んでいる」

 僕は絶句してしまっていた。

 電話を切って、僕はソファーに腰を落とし、ハッとなる。

 背後に人の気配がした。念のため僕は一通り家の中を確認しながら歩き回る。最後にもう一度、ベランダに出て外を眺める。

 カフェの前、河北が立っていた辺りをじっと見る。

 

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