表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レッドアイ  作者: kikuna
35/65

第四章 記憶04

 「緊急手術の末、私だけがママのお腹に残り、姉の瑠羅が取り出された」

 優奈の言葉に、僕は黙って頷く。

 「やっぱりそうだったの」

 どうしてそんなことが僕に分かるのか、自分でも皆目見当がつかず、揺らめく炎に目をやる。

 「私が知りたかったのはそのことだった」

 寂しそうに片言で言う優奈の頭が、僕の肩に乗せられる。

 人が苦手で、滅多に触れ合うことがない僕にとって、優奈は特別だった。煩わしいものが一切感じられない世界。居心地がよく、ずっとこのまま、この世界に包まっていたいとさえ思った。がしかし、現実はそう甘くない。そんなことは百も承知。どす黒く塗り固まった現実が、僕の目を覆い尽くして行く。

 揺らめく炎と、優奈が抱くイメージが僕の心を支配して行く。

 「協力をして欲しい」

 「何を?」

 「あなたには、何も隠せない」

 驚く僕を見て、でしょ? と優奈が首を傾げてみせる。

 触れたものが持つすべてを、僕は感じてしまう。いつでもそのことに怯えていた。僕と母さんとの秘密。

 「きみは誰?」

 僕の視界には、真っ白な世界が広がっていた。

 「私たちはいつもこの世界に閉じ込められている。あなたも同じ」

 「止してくれ」

 優奈の瞳がゆらゆらと揺れ、僕はそれを断ち切るようにあの家を飛び出した。


 「……ちゃん。しっかり前を見て生きるのよ」

 僕の記憶はいつも曖昧で、時々、自分が誰なのかさえ分からなくなる時がある。怜美に触れた時、優奈と同じものを感じた。僕らはいったい何者なんだ? 僕の中に芽生えた不協和音は、全ての物を歪ませ、その先にはいつも苗代の顔がチラついていた。

 僕は夢中で現実から逃れるように、もがき続けている気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=670037458&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ