初めまして
(__)
「んっ……?」
これからどうすんだ、あの人達、私を固定したとか言ってなかったか。耳をそばだててみても水音も聞こえないし、湿気が多いところ独特の重ったるい匂いもしない。よって、水が確保できない。このことより、私は三日以内には絶対死ぬことが証明された。QED とかいうことになる。
身体は赤ん坊だからもっと短時間で黄泉の国に旅立つことになるだろうし、赤ん坊の身体で固定されたこの状態から脱する方法があるわけでもない。
とつらつらと文章を並び立てていると、声が聞こえた。声からして、さっきの二人が戻ってきたということではなさそうだ。
「あれ……?俺、木の板打ち付けといたはずなんだが……?」
声が、する。
さっきの男女じゃなくて、他の人の。
「あ、やっぱり。ちゃんと跡がある。誰かが入って来たか。廃墟みたいだし、間違える人も多そうだなぁ。」
違う。
それだけじゃない。
この人は特別。
一等、大切。
「もうそろそろ、家を改築するべきか?でも、この感じが好きだし…。」
そうだ。
この人は、古めかしいものが好きなんだ。
よく、変な壺を買ってきて、俺が怒っていた。
「いっそのこと、場所を変えるかぁ…。西のほうに、確か立地の良いところがあったよな。」
何してるの、早く俺を見つけて。
探し出して。
だって、俺はずっと。ずっと待ってたんだよ、探してたんだよ。
のんびり屋のあんたが遅れても仕方ないけど少しくらい、ちょっとでいいから、さ。早く、早く。
「まぁ、後で考えるか。できることならソファは持って帰りたいが…………ん?」
ギイッッッッ
さっきの人たちが開け閉めしたのと同じ音。でも、俺には違って聞こえた。
俺の愛しい、愛しい、レナード。俺の、ご主人。
失礼致しました。
途中で一人称が変わっているのは、一応わざとです。
前世では柔和になるよう、私、を用いていました。