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悠刻のエンデュミオール

Character's Profile for 悠刻のエンデュミオール Part.8

作者: タオ・タシ

【『あおぞら』関係者】


神谷隼人<かみや はやと>……

 本作の主人公。浅間大学人文学部史学科4年。ボランティア組織『あおぞら』所属のボランティア。21歳。180cm、73kg。“女の子がピンチになると体が勝>手に動く”という難儀な特質の持ち主。また、『他人の彼女に用は無い』、そして『俺や俺の仲間を裏切る奴は絶対に許さない』も彼の中では重要な掟である。

 複雑な家庭生活の末、大学進学を機に独り暮らし開始。学業とバイトに勤しむ生活を送っていたが、3年生の春にエンデュミオール・ルージュの戦いを見たこと、そして理佐と出会ったことで、彼の人生は変貌を遂げていく。

 紆余曲折の末ようやく付き合い始めた2人だったが、理佐の束縛癖に隼人が付き合いきれず、最終的に理佐が大爆発。その際、彼女が上記の掟に触れてしまったことにより破局する。その傷の痛みを乗り越えて、レーヌの正体を看破するのだが、それはその変身者の死を招くのだった。

 そして始まった伯爵家の攻勢に苦戦する仲間を守るため、会長から“愚者の石”を借り受けて戦う。それは強大な力と引き換えに、隼人の心身に過大な負担を強いるものであった。その惨憺たる姿は仲間たちの――特に優菜の哀願により、使用を控える約束をさせられるほどであったが、同時に戦力の低下を招き、見かねた会長の決断で鷹取家への援軍要請へと至るのであった。

 今作は、相変わらず主人公として、かつ、ニューカマーたちにとっての先輩キャラ役も振ってあります。ただでさえ忙しいのに。


島崎理佐<しまざき りさ>……

 本作の前メインヒロイン。浅間大学人文学部英文学科4年。ボランティア組織『あおぞら』所属のボランティア。21歳。175cm、57kg。

 ヤキモチ焼きの束縛大好きっ娘。

 シリーズ中一番の器量良しであり、当代のミス・キャンパス。だが、部屋を片付けられないなどその外貌とミスマッチな部分が多数見受けられ、ゼミでは“残念系クール・ビューティー”と呼ばれているほか、ミキマキからは“残念ねーやん”、圭からは“サイコちゃん”など、惨憺たる別名をいただいている。全て彼女の身から出た錆なのだが、実はこの評価は彼女の心に複雑な影を落としており、この物語の行く末に影響を与える要素となる。

 『Part.5』でようやく隼人と付き合い始めた彼女であったが、早くも束縛癖を発揮し、隼人だけでなく周囲にも迷惑をかける有様。あげくの果てに彼と大喧嘩の末、彼を突き飛ばしてしまう。これは隼人の『禁忌』に触れる行為であり、破局となってしまった。

 でも、あきらめません。それがどれほど罪のない他人を巻き込む迷惑であったとしても。だから、サイコちゃんなのです。

 今作では出番控え目。彼女も当面の目標である教員採用試験合格に向けて、何かと忙しいのです。


田所優菜<たどころ ゆうな>……

 本作のヒロイン。浅間大学人文学部経済学科4年。『あおぞら』所属のボランティア。21歳。164cm、61kg。

 肩を組んで酒が飲めるナイスガイであり、西東京支部のフロントスタッフのまとめ役。その意外とふくよかな外装と背骨が乙女なのは偶然の産物。

 現在フリーの彼女ですが、隼人との仲はどうにも微妙。愚者の石を使って苦しむ彼を思いやる彼女の涙が、結果として事態の解決への大きな布石になったことは否めないのだが、その後はその想いを率直に伝えかねている模様。


光明寺るい<こうみょうじ るい>……

 本作のヒロイン。浅間大学人文学部経済学科4年で、優菜と同じゼミ在籍。『あおぞら』所属のボランティアで『ちっぱい団』団長。22歳。166cm、59kg。

 我が道をゆく酒飲み天邪鬼。ボーイッシュなおでこちゃんで、男切れの悪い女として彼女のゼミやボランティアでは有名。隠れミリオタとして、隼人の同志的存在。

 今作では出番少なめ。彼女の場合、オトコ関係で忙しいんですが。

 

唐沢美紀<からさわ みき>……

 本作のヒロイン。浅間大学人文学部史学科4年で、隼人のゼミ仲間。21歳。『あおぞら』所属のボランティアにして『ちっぱい団』団員。155cm、46kg。

 155センチと低めの身長にマッチする童顔と幼児体型の持ち主で、双子の姉とともに他人を動揺させるべく“ユニゾン”に日々精進する、自称“謎の双子”。

 男出入りの激しい姉を気遣う一面を見せるも、その体験談を赤面しながら記憶に刻む耳年増。

 隼人が始めたボランティアの秘密を知ってしまったゆえに、彼との接点を求めて白水晶を探した末、謎の女性(会長)から白水晶(姉とペアで6,000円)を購入して『あおぞら』に加入した。しかし、ダブルデートで告白するも受け入れてもらえず、美紀の気持ちを聞いた上で改めて交際を申し出た篠木と付き合うことにする。篠木との交際は順調の様子。

 前作のIntermissionにて彼女が見せた優しさは、隼人の独善からくる暴走を制止し、西東京支部のフロントスタッフの心にできていたささくれを修復し、空中分解を防いだ。その意味では、彼女がこの国の平和を守ったのだと言えるだろう。

 だが、その優しさは同時に、7年後に起こる動乱へのうずみ火を生み出してしまったのだ……


唐沢真紀<からさわ まき>……

 本作のヒロイン。浅間大学人文学部史学科3年で、隼人のゼミ仲間。20歳。『あおぞら』所属のボランティアにして『ちっぱい団』団員。155cm、46kg。

 美紀の双子の姉。155センチと低めの身長にマッチする童顔と幼児体型の持ち主で、妹とともに他人を動揺させるべく“ユニゾン”に日々精進する、自称“謎の双子”。

 やや生真面目(当社比)な妹を心配する心優しき面も持つ。その妹の白水晶捜しを手助けした結果、彼女もエンデュミオールとなることに。どことなく楽しそうなのは、騒動屋の血が騒ぐからか。妹ともどもすっかり支部に溶け込んで、なんやかやと楽しくやっている様子。


佐藤可奈<さとう かな>……

 ボランティア組織『あおぞら』西東京支部の支部長。45歳。166cm、65kg。

 “伯爵”との22年前の戦いに参加しているお方。

 家族(夫、一男一女)にはこの仕事を理解してもらっているらしい。なお、子供にはエンデュミオールの才能はない様子。

 伯爵家の攻勢の中で、指揮能力が高いとは言えない彼女は苦労のしずめであったが、アクアに現場指揮を任せて後方からのサポートに徹することで乗り切った。現在は指揮に関しては鷹取家参謀部がやってくれるので、支部の業務に専念できているようだ。

 今作、地味ですが重要な役目があります。


横田<よこた>……

 『あおぞら』西東京支部の正規職員で、サポートスタッフのチーフ。29歳。170cm、60kg。

 支部にある食堂の元賄いさんと結婚して一女有。なお、たずなからの誘惑にはなんとか耐えた模様。


永田絵里<ながた えり>…

 『あおぞら』西東京支部の正規職員で、サポートスタッフとして横田を補佐する立場にいる豪快なおねえさん。25歳。168cm、64kg。

 高校卒業後OLをしていたが、ある日オーガに襲われて彼氏は死亡、自身はエンデュミオール・ブランシュに助けられたものの流産してしまう。この事件がきっかけで『あおぞら』に入職。普段は見せないが、バルディオールの討滅には執心がある様子。

 そんな中で伯弟ニコラの魔手を逃れてきたアンヌ主従に対するふるまいが、結果として彼女たちの決心を促すことに一役買った。そして同僚の伊藤とのあいだに子どもができていたことが判明。産休による収入減に頭を悩ませていたが、アンヌがそんな状況を見過ごすはずがなく、「生まれくる子の名付け親(予定)として当然の責務を果たす」と断言してくれているようだ。


伊藤尚吾……西東京支部のサポートスタッフ。19歳のフリーター。176cm、65kg。

 隼人の数多いバイト先の後輩だったのだが、エンデュミオール・ブラックの戦闘を偶然見てしまい、そのまま『あおぞら』にボランティアとして加入した。その後当然のことながらブラックの正体を知り、唖然茫然となるも意外と立ち直りが早く、現在に至る。隼人の年下の友人として、貴少な男性キャラとして、頑張っていただきたい。子どももできたことだし。

 今作では意外に大事な役目があります。


長谷川明美<はせがわ あけみ>……

 『あおぞら』西東京支部の元ボランティア。故人。23歳(当時)。159cm、51kg。

 サポートスタッフの中では古株だが、怠惰でむらっ気があり、横田や長谷川はそのフォローに追われることもある。

 隼人に続いて双子も白水晶を手に入れたことで、彼女は激しく気落ちしてしまい、ボランティア(とバイト)を休業して旅に出た。その後『Part.5』で復帰を果たし、すっかり働き者になったと思われたが、それはまやかしであった。

 その正体はバルディオール・レーヌ。自分をフロントスタッフに取り立ててくれなかった会長や、自分を疎外した(と勝手に思い込んだ)西東京支部のスタッフたちに復讐するために日本に舞い戻ったのだ。日本各地に出没して各支部に決戦を挑み、損害を与えて去るという戦術で『あおぞら』を恐慌状態に陥らせるが、徐々に対抗手段を取られて戦果を挙げられなくなる。

 そうこうしているうちに、レーヌ(と長谷川)の断片的な情報を蓄積した隼人が、推理によって真実に到達。彼に仕掛けられた罠に嵌り、殺された。最期までひねくれ、友人たちを嘲り笑いながら死んでいったのであった。

 バルディオール・レーヌの項も参照。


会長……

 『あおぞら』の会長。電柱の天辺に立てたり、人外の力を封じる抑縛呪が使えたり、22年前と同じ相貌だったり。白水晶の供給を一手に握っていることもあり、謎の人物であったが、前作においてついに正体が判明。それは隼人がバイト講師を務める塾での教え子、沙良であった。

 鷹取沙良の項を参照。


河端千早<かわばた ちはや>と黒岩圭<くろいわ けい>……

『あおぞら』横浜支部所属のフロントスタッフ。桜里大学4年。

 2人とも隼人とは保育園以来の幼馴染で、特に千早は中・高通じて3回付き合った“ズブズブの腐れ縁”。

 今作はほんのちょっぴりの出番。


祖父江祐希<そぶえ ゆうき>……

 本作のヒロイン。『あおぞら』旧北東京支部所属のフロントスタッフ。女子大学2年生。19歳。

 支部の先輩である楓と違い、男性慣れしていないところがあり、イジられていた。レーヌとの戦闘において支部長を含む5名を失い、気力が大幅に減退する。それも真紀と美紀からの叱咤で持ち直し、西東京支部に吸収された旧北東京支部組の一人として――そして隼人へのネガティブなツッコミ役として――最終決戦を迎えることになる。

 いずれ再建される予定の北東京支部に、旧スタッフ共々戻ることが決まっている。

 今作では、多忙になった4年生組に代わって、万梨亜や京子とともにニューカマーの先輩役になります。


小森桃香<こもり ももか>……

 『あおぞら』旧北東京支部所属のフロントスタッフ。大学4年生。男っぽい顔立ちと性格ゆえ、“桃香”という可愛らしい名前にコンプレックスがあり、周囲には名字で呼ぶよう常々指導している。実は海原商事常務取締役のご令嬢で、許婚と近々結婚予定である。

 今作の出番でオールアップ、かな?


大西レオポルディナ万梨亜<おおにし れおぽるでぃな まりあ>……

 『あおぞら』旧北東京支部所属のフロントスタッフ。女子大学(祐希と同じ大学)3年生。20歳。

 エスパニヨル語圏出身者を父に持つハーフで、童顔ながら派手目のかわいい子。素直が取柄で、それゆえ祐希の隼人に対するひねくれ方には先輩として勝手に心を痛めている様子。


会川京子<あいかわ きょうこ>……

 『あおぞら』旧北東京支部所属のフロントスタッフ。フリーター。20歳。

 本人曰く『いつもなんとなく平穏無事』という、ある意味最強の素質持ち。だがそれもレーヌの戦闘では発揮されず、大損害を受けた北東京支部は西東京支部に吸収の憂き目に遭ってしまった。

 今作では万梨亜や祐希と一緒に、がんばっていただきます。


エンデュミオール・ルージュ……

 田所優菜が変身する炎系エンデュミオール。炎系というエンデュミオールではレアな系統ゆえか、はたまたそれなりの適格者が炎系となるのかはわからないが、リーダー的存在として西東京支部の変身者を束ねている。その数も自身を含めて6名+3名となったが、彼女は存外楽しそうである。

 拳に炎をまとわせての接近戦も行うが、どちらかというと投射系スキルのほうが得手。

 

エンデュミオール・ブランシュ……

 島崎理佐が変身する氷雪系エンデュミオール。コードネームは理佐が変身者となった時、同じ支部にすでに『ホワイト』がいたため、フランク語から採った。

 中学1年から続けているため、結構な経験を有している。氷の槍を作り出しての近接戦闘を好む。第2次倉庫街戦闘において、彼女はこだわりを捨て、小刻みにかつ執拗に相手を削っていくスタイルに変更した。


エンデュミオール・アクア……

 光明寺るいが変身する水系エンデュミオール。

 キックボクシングの技を生かした正面切っての攻撃スキルだけでなく、防御スキル、治癒などのサポートスキル、全体攻撃スキルなど幅広い(悪く言えば八方美人な)スキル持ち。倉庫街の戦闘では指揮とサポートに徹し、また開戦前にバルディオール・エペを精神的に揺さぶるなど、その勝利に貢献した。

 その後は現場指揮官として、整っているとはいえない戦力に苦労しながらも、伯爵家の攻勢をしのいで鷹取家の参戦まで持ちこたえた。


エンデュミオール・ブラック……

 神谷隼人が変身する光線系エンデュミオール。

 光線系はかなりレアな系統であるため師匠役がおらず(隼人の場合はそれ以前の問題もあったが)、結局"エストレシリーズ"の各種光線技をコピーすることで戦力としている。

 基本的には強力な投射系スキルを使用する中・長距離攻撃がメインだが、隼人の持つ難儀な特質により、接近戦用のスキルも無理やり実装している。鳥人間との戦闘でスキルの再考を迫られたこと、“女の子がピンチになると体が勝手に動く”彼の特質を戦力に変える必要ができたこと、以上の理由で光剣と光盾によるガチ白兵戦仕様に変更している。


エンデュミオール・イエロー……

 唐沢美紀が変身する電撃系エンデュミオール。

 読んで字のごとく、電撃を駆使して闘う中長距離メインのエンデュミオール。近接戦闘を挑んできた敵に電撃をかまして返り討ちにもできる。ただし、そのためにはなにがしかの方法で敵に触れねばならないため(もちろん電流が流れる部分を)、そこは一工夫が必要なのだが。

 急速に戦力として成長している模様。トゥオーノとの差は、やはり才能と覚悟なのか。


エンデュミオール・グリーン……

 唐沢真紀が変身する質量操作系エンデュミオール。

 この実に胡散臭げな系統、投射系のスキルが全く作れないガチ近接戦闘要員で、実は結構出現率が高い。変身者に武道経験者や喧嘩慣れしている者が多いのがその原因の一つであろう。……真紀は、一体何の経験者なんでしょうね。ふっふっふっふっ。

 彼女もまた、親交を結んだ千早や圭にアドバイスを乞いつつ、急速に戦力として成長している。


エンデュミオール・ヴェルデ……

 イエローとグリーンがスキル“アネクゼーション・ドライブ”で融合変身したエンデュミオール。パーソナルカラーは黄緑で、系統名は理佐の命名により電凸系となった。

 グリーンの質量変化系をベースに、イエローの電撃が同時使用できる。これは本人たち曰く「質量変化はグリーンが、電撃はイエローが行っている」つまり意識や思考まで融合しているわけではなく、2人を白水晶の力で体力を使って無理やり1人にしていることになる。それで戦闘ができるのは普段からのユニゾンの成果であろうが、当然のことながら体力切れ寸前までの時間制限が存在する。倉庫街での戦闘後にそのことを2人が話さなかったのは、内通者対策である。

 最後に、このことを聞いた会長のつぶやきを。「系統以外のスキルなんて作れないはずなんだけど……」

 今作は大ボス討伐に活躍してもらいます。出番は一瞬ですが。


エンデュミオール・トゥオーノ……

 祖父江祐希が変身する、旧北東京支部所属の電撃系エンデュミオール。隼人ヤミキマキよりも経験の少ないエンデュミオールであるため、実力はまだまだながら、着実にかつ堅実に経験を積みつつある。


エンデュミオール・アスール……

 大西レオポルディナ万梨亜が変身する、旧北東京支部所属の水系エンデュミオール。『あおぞら』では珍しい、エスパニヨル語由来のコードネームとスキル名なのは、彼女がエスパニヨル語圏出身者を父に持つハーフだから。同じ水系でもどこかの天邪鬼と違って、押し流したり叩き付けたりと範囲攻撃的な投射系スキル、近接系スキルの水の鞭など、わりとオールラウンドに戦える。北東京支部の対レーヌ戦は、所定のフォーメーションを捨てて彼女とロートを援護役に下げるべきだったと戦後に分析されている。

 今作では新スキル実装です。


エンデュミオール・アンバー……

 会川京子が変身する、旧北東京支部所属の電撃系エンデュミオール。能力的には並み。

 今作では新たに実装したスキルで、意外な大活躍をします。



【鷹取家の人々】


鷹取沙耶<たかとり さや>……

 本作のヒロイン。鷹取家総領候補者。玲瓏舎大学文学部英文学科の非常勤講師にして、修士課程1年(蟄居解除に伴い復学)。25歳。鷹取家の女性特有のふっくらとした容姿の持ち主。168cm、61kg。

 鷹取家1200年の歴史の中でも十指に入ると推察される強力な巫女で、18歳の時164年ぶりに“御剣鬼みつるぎの巫女”の名を襲った。3年前に引き起こした、とある未遂事件の咎を受けて蟄居していたが、親族寄合の全会一致での採決により赦免となった。その代償として御剣鬼の巫女の銘を剥奪されたが、彼女自身にとっても鷹取家にとっても、些細なことでしかないだろう。

 伯爵家の攻勢に対する迎撃においてはバックアップに徹し、要所々々でその実力を披露している。といっても、彼女の戦闘に関する信条は『挑んできた相手を煽って激高させ、実力以上の力を出させた上でひねり潰す』という性質の悪いもの。つまり、彼女に戦いを挑まなければいいだけなのだが、攻め寄せている時点で伯爵家は『挑んで』いるわけで、会長が鷹取家に救援要請をした時点で侵攻は手詰まりだったと言える。

 今作では、いよいよ“あれ”と再戦です。日常パートではじっとりじとじと、時々笑顔、所により、浮かれ。


海原琴音<うなばら ことね>……

 本作のヒロイン。海原家当主予定者。玲瓏舎大学社会学部心理学科3年。20歳。

海原家の女性らしい細身の美人。166cm、57kg。

 沙耶には遠く及ばないが、一般的な基準からすれば十分強大な“鬼の血力”を持ち、また冷晰な頭脳と明るく社交的な性格で宗家を――特に、人懐こい性格とは言い難い沙耶を――支えていくものと期待されている。趣味はオカルト探索と“黄色い革の手帳”へのメモ書き。

 今作は戦闘もがっつりやってもらいます。


蔵之浦鈴香<くらのうら すずか>……

 本作のヒロイン。蔵之浦家当主。玲瓏舎大学工学部化学科3年。20歳。隼人曰く“健康的な体格の地味目美人”で木之葉の義妹。166cm、61kg。

 琴音とは中学校以来の親友。一般家庭の生まれであるが、17歳の夏に鷹取の血を引くことが判明。このため、高校卒業をもって、海原の分家扱いで立家された蔵之浦家の初代当主となった。この立家にはさまざまな事情――友情、憐憫、監視など――が絡んでいる。

 今作では、今まで少しずつほのめかされてきた、彼女の正体について明らかになります。『分家のなれの果て』とは違う、彼女の現実が。


鷹取優羽<たかとり ゆう>……

 仙台鷹取家の長女。浅間大学人文学部法学科1年。18歳。164cm、58kg。

 舌っ足らずな口調が特徴の、無邪気(7割は計算)な巨乳ちゃん。ふわふわした言動と自分を可愛く見せる所作に長けているため、言い寄る男は引きも切らない反面、一族以外の女子には人気が無い。

 彼女には、どちらかというとお行儀のよかったボランティアメンツと違う動きをしてもらいます。


海原瞳魅<うなばら ひとみ>……

 仙台海原家の次女。浅間大学人文学部英文学科1年。18歳。170cm、57kg。

 近接格闘を好む戦闘スタイルの巫女(投射系を使用しないという意味ではない)。それゆえかキビキビした言動で優羽と好対照となっている。優羽のフリーダムさとも対照的であるため常識人と見られがちだが、彼女もしょせん海原家。いろいろとずれている。

 優羽のカウンターパート役。それが相方というものです。今作では、そういうエピソードもあります。


鷹取沙良<たかとり さら>……

 隼人がバイト講師をしている進学塾『東堂塾』の卒業生。154cm、46kg。

 隼人に想いを寄せる高校生・坂本沙良として(そして振り向いてもらえないかわいそうな子として)日々を過ごしていたが、その正体は隼人の所属する『あおぞら』の会長にして、800歳を超える鷹取家の伝説の巫女だった。

 14歳の時、病に伏せる婚約者とともに不老の呪いを享受して、結婚という鷹取一族として最大の難関を乗り越えようとした。だが、儀式は失敗に終わり、婚約者は死去。その魂と怨念が対価となって、沙良には不老を越えた、不老不死となる呪いがかかってしまった。

 このことを咎められて鷹取家を追放となり、諸国を流浪する。明治の開国後は外国へと渡り、フランクにて前伯爵アルマンと知遇を得た。恋愛関係にあったかどうかは明言されていないが、それに近い関係だったと思われる。しかし、愚者の石に魅せられたアルマンが沙良からそれを奪取。彼が黒水晶を作り出して日本への侵略を開始したことを知った沙良は、自らも白水晶を作り出し、仲間に与えてそれを迎え撃つのだった。

 現在は鷹取家に戻り(約100年前、疫病神顕現を予見した当時の総領によって赦免されていたが、通知が届かなかった)、総領の相談役として活動している。『あおぞら』の会長ももちろん兼務して。念願だった大学生にもなり、充実した人生を送り始めたところである。

 今作では、彼女の過去の一端が描かれます。戦闘でもコメディーパートでも働いてもらいます。



鷹取美玖<たかとり みく>……

 鷹取家総領候補者。小学3年生。8歳。おませな健康優良児。130cm、27kg。

 沙耶の兄の子、つまり姪にあたる。彼女と沙耶が“候補者”で、琴音が“予定者”なのは理由がある。鷹取(海原)の総領(当主)は候補者もしくは予定者が結婚した時点でその職をその者に譲るというしきたりになっており、鷹取宗家の未婚女性は現在沙耶と美玖の2人であるため、候補者との呼称になっている。一方、海原本家は琴音の姉・満瑠がヴァイオリンの修行のため跡取りから除外されている。このため跡取りは琴音1人となり、予定者と呼称されている。

 今作は霧乃とともに、序盤にのみ出番。


海原霧乃<うなばら きりの>……

 千葉海原家の分家継承予定者。小学3年生。やっぱりおませな美玖の相方。129cm、22kg。


仙道たずな<せんどう たずな>……

 鷹取家参謀部主任参謀。28歳。169cm、62kg。

 誰もが認める豊かな胸と色香を持ち、それに引き寄せられる男の人生が終わる(本人曰く『そんなつもりはないのに』)、いわゆる“運命の女”。弓子の姉。

 『 Final Resolution!!』にも登場しますね。そう、格上の副参謀長として。ということは、そこ至るまでのゴジャゴジャが描かれるわけで。ああ面倒くさい。

 今作でも、控え目ですが、出番がしっかりあります。


鷹取美弥<たかとり みや>……

 鷹取家第61代総領。53歳。沙耶の母。総領として鷹取家の諸儀式を取り仕切り、かつ財閥の総帥である息子の補佐として多忙な毎日を送りながらも、家族や一族への思いやりは忘れない女性。

 自らが平凡な巫女であったことから、幼少時より才能の片鱗を見せた沙耶に多大な修練を課し、“御剣鬼の巫女”を襲名できるほどに育て上げた。だがその結果、人付き合い、殊に異性との関係構築に難のあった沙耶を学友たちから遠ざけ、ますます不器用な性格へと追いやることになってしまった。そのことが3年前の事件の遠因とも言えるため、彼女の心のしこりとなっている。

 今作でも総領としてお仕事をしていただきます。


【写真に写る人々】

 沙耶の友人たち。仙道たずなは【鷹取家の人々】に記載。


向井木乃葉<むかい このは>……

 沙耶の親友。25歳。163cm、53kg。荒い口調ながら、はすっぱなねーちゃんというわけではなく、細やかな気遣いもできる人。鈴香の兄・蒼也と結婚して1女有り。実家の『居酒屋 むかい』を手伝っている。

 沙耶とは高校以来の付き合いで、同じ大学に進学したが、そのことが彼女たちの運命を荒波に投げ込むことになる。

 今作では、ちょっぴり出番があります。


仙道弓子<せんどう ゆみこ>……

 沙耶の親友。25歳。160cm、55kg。たずなの妹。姉同様にナイスバディを十全に生かした男性遍歴を持つ。だが姉とは違い、常に複数をキープして『楽しく切れ目無く、かつ割り切った』関係を構築している。

 情報処理系の学部卒。大学1年次に合コンで知り合った木之葉を介して沙耶とも交友を結ぶ。現在は鷹取財閥傘下のソフトウェアベンダー、タカソフの主力社員。

 『Final Resolution!!』にはマッドSEこと仙道主任として登場する彼女は、姉ともども鷹取家親族寄合で認められた存在、すなわち『友人知人を参加企業に雇わない』という信条の例外措置を受けている身である。

 今作では、木之葉たちとセットで出番。彼女たちとの友情が、沙耶をまだこちら側に繋ぎ止めているのです。


岩政夏姫<いわまさ なつき>……

 沙耶の親友。26歳。171cm、58kg。わりと豪快な姉御肌の人。

 仙道姉妹とは幼馴染で、弓子経由で沙耶と知り合う。鷹取家に勤務する庭師の岩政五郎と、お見合いという名のドツキ合いをして負け、学生結婚する。1男有り。

 今作では、木之葉たちとセットで出番。


【伯爵家】


“伯爵”<はくしゃく>……

 本名アルマン・ド・ヴァイユー。前伯爵。

 フランク共和国在住の貴族で、バルディオールたちを使って『あおぞら』の会長こと鷹取沙良が所持する愚者の石を奪取し、同時にその身柄を抑えることを企んだ。

 その野望は、かつて交流のあった沙良から愚者の石の片割れを奪ったことに端を欲する。彼はその石から見分けの術式を行って黒水晶を作り出し、配下に与えてバルディオールに変身させていたのだ。

 23年前に密かに日本に侵略に来て、現在の西東京支部長たちと交戦。重傷を負わされて逃げ帰り、最近ようやく本復しつつあった。が、自室に籠もることが多くなり、実は寿命が尽きかけているのではないかと囁かれており、実際耄碌した隙を弟ニコラに突かれ、全権を委任する摂政位を弟に与える書類にサインしてしまった。

 現在は家督を次女のミレーヌに譲り、穏やかに、主の御許へ旅立つ日を待っているらしい。


アンヌ・ド・ヴァイユー……

 前伯爵の長女にして、現伯爵の姉。170cm、63kg。

 伯爵家が代々行っている“ディアーブル”討伐の先頭に立つ、剣の使い手。進捗の見えぬ日本侵略と、エンデュミオール・ブラックの登場による脅威の増大に対処するため、総司令官代理・ニコラの命により、日本に送り込まれる。本国でのディアーブルの大攻勢は辛くも奮戦により撃退したものの、少なからざる家臣を失い、彼女自身は日本にとんぼ返りせざるを得なかった。

 その後、それなりに日本生活を満喫しつつ西東京支部への雪辱を果たすべく鍛錬をしていたが、叔父ニコラの画策によって拘禁される。執事ベルゾーイの知略によって脱出を果たしたが、それは『あおぞら』への退避に結びつき、反逆者として追求される身となってしまった。そのニコラを討伐するため『あおぞら』と鷹取家に助力を仰いだことのけじめとして、伯爵家の家督継承権を放棄した。

 現在は伯爵家遊撃隊指揮官として、ディアーブル討伐に専念している。永田へはメールやクリスマスカードなどで折々に気遣っているようだ。

 今作では場面転換で出番があります。


ミレーヌ・ド・ヴァイユー……

 前伯爵の次女であり、現伯爵。171cm、60kg。家業はこの国に出現する“ディアーブル”を討伐すること。

 彼女も“ディアーブル”討伐の戦士ではあるが、どちらかというと防衛向きの性格であり、バルディオールとしてもその方面に特化したスキルを持っているため、留守居役が多い。

 姉の反逆に激怒したが、後にそれが叔父による御家乗っ取りの策略であったことを知らされ、同時に家督が自分に回ってきたことにより、気楽な次女の身から一気に渦中の人となった。そのため、姉を少なからず恨んでいるという。

 今作でも名前のみ登場。


ソフィー……

 本作のヒロイン。アンヌの配下。短髪の人。アンヌのために粉骨砕身することもいとわない苦労人。アンヌとともにミシェルに拘禁されるも、ベルゾーイの手引きで脱出。『あおぞら』に主君と共に身を寄せ、ニコラ討伐に赴くこととなった。

 現在は伯爵家に創設予定の参謀部スタッフとして、鷹取家に研修のため派遣される予定。

 今作では、そこそこの出番があります。


バルディオール・レーヌ……

 伯爵配下の光線系バルディオール。その正体はボランティアスタッフの長谷川和美であったが、当初は不明であった。

 北東京支部の管轄地に突如現れ、北東京支部長や楓たち5名を殺した。その後第2次倉庫街戦闘においてエペの増援に登場し、同じく現れた鳥人たちとともに西東京支部のエンデュミオールたちに挑むが、これは成果が出ず撤退。その後日本各地に出現し、横浜支部ではブラックやブランシュと再戦した。

 スキル名は全てフランク語であるが、帰国子女の優菜曰く「棒読み」なため、日本人ではないかと推測されていた。

 その後、仙台支部襲撃の際フロントスタッフを死傷させるものの、『あおぞら』側の取った対抗手段により次第に戦果が上がらなくなり焦ったところへ、隼人が正体を推理したうえで仕掛けた罠にかかる。それでもブラックとの3戦目では追い詰めたものの、会長ことエンデュミオール・カラミティの参戦により形勢を一挙に逆転され、最期はブラックの光線によって黒水晶を破壊されて戦死した。

 実は今作、ちょっぴり出番があります。


【神谷家】


神谷なごみ<かみや なごみ>……

 隼人の義妹。20歳。なにやら特殊能力持ちらしい、整った顔立ちのふくよかさん。大学に入学したが、まだまだ家庭の苦労は耐えない。

 隼人に好意を寄せていることを隠していないが、その想いが報われる日は来るのだろうか。

 今作は、くるみともども会話内での出番となります。大丈夫、後日ちゃんと出番があるから。


神谷くるみ<かみや くるみ>……

 隼人の義妹。18歳。顔立ちは良く似ているが、姉とは対照的に細身。病気がちで、現在6か月に渡った入院を終えて復学。時折検査に病院通いをしながら勉学に励んでいた。隼人や姉と旅行に行くことを目標に体力づくりに励んでいたが、それが仇となって病気が再発。一気に重症化して、緊急手術を受ける羽目に陥った。隼人の必死の金策と、『あおぞら』スタッフたちのカンパでどうにか手術費用は捻出され、一命を取りとめたが、まだ予断を許さない状況である。生活環境を変えるよう医師からは忠告されているが、それは彼女には困難な話であ

る。今は、まだ。

 姉以上に隼人への思慕を表沙汰にしているが、全く相手にされていない。隼人の嗜好を考えると、恐らく彼女の思いがかなう日は来ないだろう。それでも彼女は想い続ける。わたしはこんなはずじゃないんだ、と。


【日本史学ゼミ】ミキマキは、【『あおぞら』関係者】の項に記載。


杉木<すぎき>……

 隼人やミキマキと同じ日本史学科のゼミ仲間の男子学生。どうにもねじの抜けている言動で他人に笑われるけど憎まれないお人。

 だが、隼人の金策に絡んで、彼はついにヤラカシてしまった。それ以来、『美紀をマヂギレさせたアホ』としての地位を確立し、つまりゼミの最下層カーストとして日々を送っている。


稚奈<わかな>……

 隼人やミキマキと同じ日本史学科のゼミ仲間の女子学生、委員長の本名。人当たりの良い仕切り屋さん。

 今作は、ごめん、コメディーパートの当て馬役です。


【OTHERS】 栗本らはほかに入れる場所がないため、ここに記載

栗本<くりもと>……

 宿怨の鬼還編のキーパーソン。年齢不詳|(推定40歳)。

 今作は、彼が実質的な主人公です。世界を動かしてもらいます。それが彼の望む場所へ落ち着くかは、分かりませんが。


長壁順次郎<おさかべ じゅんじろう>……

 宿怨の鬼還編のキーパーソン。玲瓏舎大学文学部英文学科の講師。つまり沙耶の同僚。29歳。173cm、66kg。

 穏やかで爽やかな人柄。研究者としても如才なく、学生からの人気も高い。

 今作ではラスト付近で、重要な役目を担ってもらいます。


“彼女”

 正確には、2人です。旧知の人と、旧知?の人と。


蔵之浦蒼也<くらのうら そうや>……

 社会人。鈴香の兄、木之葉の夫。沙耶を凶状持ちにした元凶。彼が鷹取家の手によって抹殺されなかったのは、それによって鈴香を暴走させないためという消極的な理由のみである。

 裕福な家庭に生まれたが、幼い頃、両親が交通事故で他界。まだ乳児だった鈴香は里子に出され、蒼也は親類の家を転々とする生活を送る。これは養育費が遺産から出ていたためで、親類一同が共謀して合法的に遺産を分割するための措置であった。したがって、蒼也にかけられる実際の養育費はお察しだろう。

 長じて玲瓏舎大学に入学し、沙耶や木之葉と知り合う。その後の展開は『Part.6』に詳しいが、6股という修羅場を乗り切って木之葉と結婚、現在1女有り。

 今作では、彼の持つ特殊能力を使ってもらいます。


ツカダ<つかだ>……

 地獄総鎮守府に勤める女性。

 蒼也の高校時代の同級生で、彼に恋心を抱いていたが、3年生の夏にトラックにはねられて死亡。彼への想いが未練となって成仏転生できず、お盆になると地獄から帰省して蒼也の部屋に出没するようになった。蒼也が結婚すれば未練が消えてめでたしめでたしだが、大好きな彼が他人のものになるのは困るという迷惑な存在ユーレイとして。

 疫病神顕現の際、地獄と現世の連絡役を務めたことが縁で総鎮守府に勤務することになる。その仕事が気に入ったため、蒼也の結婚後も成仏せず地獄に留まっている。

 蒼也にしろこのツカダにしろ、(多分)もう二度と出てこないであろうキャラに細かい設定が作ってあるのは、『悠刻』の前にしていた妄想の登場人物だからです。沙耶の友人たちと事情は同じですね。

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