超・特化能力勇者 〜力編〜
俺の名前は、チッカー・ラマカセ。
勇者だ。
今魔王が目の前にいる。
ここまで来るのは楽勝だったぜ。
10歳の時に精霊から力を貰った。
勇者にするからなんかくれるって言うから、
「バーンって敵を倒したい!!」
って叫んだ。
そしたらこうなった。
木刀で、大木が折れる。
枝で風が舞った。
水面を叩けば、湖が干上がった。
勇者とか、よくわかんねえから、とにかく誰かに挑まれたら倒した。
村では相手がいなくなったので、城下町に行った。
幾つかの道場に出向いて力試しをしたんだ。
「奥義・千枚刃!!」
「どっせーーーーい!!!」
千枚に見えたらどうだと言うんだ。
力任せに棍棒を相手に振れば、大体倒れるか、剣が止まる。
「秘奥義・神速抜刀!!」
「ぬうん!!」
速いならもっと速く手を出せばいいだけ。
後は力任せになぎ倒す。
足が止まればもう一撃かまして、終わる。
特に暴れているわけではないので捕まる事はない。
俺の名声は登っていき、王から呼ばれた。
王は名をナントナーク2世と言うらしい。
ま、細かい事は気にしねえ。
「お前がチッカー・ラマカセか」
「そうだ。俺に何の用だ」
「なかなかの威勢だ。頼みがある。というか倒して欲しい者がいる」
「ほう」
「まあ、お前には無理かもしれん」
「なんだと。俺に倒せない相手はいない」
「魔王でもか」
「おっと、そうだった。聖霊様にも倒せって言われてた」
「聖霊にも頼まれているのか。それは頼もしい」
「そうか王様もか。仕方ねえ、行くよ」
「期待しておるぞ」
俺は棍棒片手に城からスタスタと出た。
魔族の国までは特に何もなかった。
「どっせーーーーい!」
「ふーーん!!!」
「せいやああ!」
大体二振りくらいで魔物が死ぬ。つまらん。
魔族の国に入ると、雰囲気が変わった。
なるほど、相手に不足なし、だ。
実力主義が基本な為、強いやつと戦えば戦うほど、弱いやつは挑んで来ない。
願ったりだ。
遂に五天と呼ばれる魔王配下と対峙する。
炎の男。
氷の女。
風の刀使い。
土のデカブツ。
闇のうるせえ奴だ。
細けえ事は気にしねえ。
デカブツに会った。
肉弾戦がお好みのようだ。2日ほど組み続けた後、土手っ腹に一撃食らわせた。
穴が空いてた。すまねえ。
デカブツは、いいって言って倒れた。
いい奴だ。
氷の女が来た。
いい女だったから、熱い抱擁ってやつをぶちかました。
溶けていなくなった。
抱き締めただけなのに、つまらん。
あったかい・・・とか言ってたけど、そりゃ燃える男だもんよ。
風の刀使いがきた。
なかなかの剣技だ。
精神を統一する為に一呼吸気合い入れたら、消えていなくなった。
逃げたのか?らしくねえな。
闇のうるさい奴が来た。
なんかどこかに吸われたり(強制空間転移)、止められたり(時間停止)したが、屁でもねえ。
本格的なヤツになる前に棍棒をお見舞いした。
3発で、動かなくなった。
他愛もねえ。
今でも最大ライバル、炎の男が現れた。
世界一熱い男としては、負けらんねえ。
どのくらい熱いかを披露した。
飯の食い方から寝方、屁の仕方まで全部だ。
アイツもなかなかの男だ。
2週間程互角だったが、起きたら灰になってた。
書き置きに燃え尽きた、とあった。
もうちょっと付き合えや。
というわけだ。
魔王に全部話した。
「何が、というわけだ?」
「あん?聞いてなかったのか?」
「貴様の話は擬音と端折りすぎでわからぬ」
「結構頑張ったんだがな」
「まあ良い。かかってくるか」
「そうすっか」
そういうや否や、棍棒を振る。
「どっせーーーい!!!」
「無駄だ。この多重物理結界がぐぼぉお!!」
魔王は倒れた。
なんだ、あっけねえ。
さて、帰って寝るか。
--その後勇者は強さを求めた。
相手がいなくなると知ると、息子なら、と100人ほどの子を成した。
チッカー傭兵団の始まりとなる。
この傭兵団の特徴は、如何に不利な状況から力任せに勝てるか、をモットーとしている。
報酬よりも状況。
ただそれだけで戦う為、今日の味方は明日の敵となることもしばしば。
だがこの傭兵団の存在が、戦力というものを無価値にしていった。
軍がなくなるまでの400年、解散することなく存続した傭兵団。
結果的に世界に平和が訪れた。
この勇者を長年調べ続けた研究者はこう語る。
力任せは愚かだ。ただし使い方では、千の計略も万の知略も敵うものなし、と。
スクロールご苦労様でした。
勢いで書いてます。
分析編も良ければ。