悪魔の話
わたしと悪魔の悪魔をイメージして書いたものです。
僕は生まれた時から僕だったし、気づいた時には悪魔だった。そのことになんの不満もない。
「俺は人間になりたいのだ。」
そう言ってきたのはだれだったっけ。人間に生まれたのに人間になりたいって面白いなぁと思ったのを覚えてる。
「人間なのに人間になりたいって面白いね。」
僕は笑ってしまった。彼はとても若くて、力のある人間だった。彼は黒い瞳で僕をみていた。
「悪魔よ、あなたに魂を捧げれば人間になれるだろうか。」
あぁ、そうだ。僕は気付いたら悪魔になってたんじゃなかったや。
「さあ、僕にはわからないや。」
僕は肩をすくめたけれど、彼は僕の話なんか聞いてなかった。
「俺の魂をあなたに捧げよう。だから俺を人間に。」
なんて無理やりなひとなんだろうって思った。この時僕はまだ僕が何なのかわかってなかった。けれど、人間になりたい人間の彼を見ていたらもう悪魔でもいいやって思った。彼はとても面白そうだった。だから僕は悪魔として後ろから彼の歩みをみることにした。
彼の最後の時に僕は聞いたんだ
「君は人間になれた?」
彼はただ笑って、
「魂をあなたに。」
と言って死んでいった。
彼が人間になれたのか僕にはわからない。でも、僕はこの時悪魔になった。
彼の魂が僕の所にきたかなんてわからない。でも彼が魂を僕にと言っていたからきっとあるんだろうと思う。
魂を取るのが悪魔なら僕はこのとき彼の魂をもらって悪魔になったのだ。
僕はとても昔のことをおもいだして少しわらってしまった。
「やぁ、僕は悪魔、君の魂くれない?」
食べるなら彼のような面白い魂がいい。
読んでいただきありがとうございました。