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出撃の日は、中東の乾燥地帯では珍しく雨が降っていた。次に訪れる激戦を予告しているかのような不気味な豪雨で、一般市民たちも何かにおそれている気配であった。
米軍が持つトップクラスの部隊がやってきた。徹平たちは、この部隊の指示のもと、この部隊に同行することになっている。米軍の司令官は何やら英語で話していた。
「死ぬことを恐れるなだってよ」
「そんなこと言ってんのか?」
徹平は、不意に話しかけてきた、隣にいる一等兵の言葉に反応した。
「あいつらがまいた種なのに、なぜ俺らがいかなきゃならない」
「あいつらがまいた種?」
「ああそうだよ」
その男の眼は、遠くにいる米軍の司令官、その一点を見つめていた。
「元来、今から戦うテロリスト団体はある宗教に属していた」
「宗教?」
「その宗教には、聖地と呼ばれる場所があったが、その聖地は違う宗教の聖地でもあったのさ」
「二つの宗教が、一つの聖地を巡って争っていたということか?」
男は、徹平の言葉に大きくうなずいた。
「しかし、それで大きな戦争が起こったということはない、大きな戦争が起こり始めたのは、アメリカあいつらが介入し始めてからだ」
「アメリカが…」
「アメリカは、その聖地にある石油に目を付けた。そしてそこで聖地の争いをしている二つの主教団体のうち、自分たちに言うことを聞きそうな奴らを選んだ」
「選ばれなかったやつらは?」
「その地から追い出されたまでだ、そして…」
「国を持てなくなった彼らは、テロにしか頼れなくなった?」
男は、もう一度徹平の言葉に大きくうなずく。
その時、徹平の隣で大きな銃声とともに、鮮血が飛び散った。テロリスト団体の説明をしていた男が、頭を打ちぬかれて倒れたのだ。
徹平は、その場から後ずさりをした。叫びたい気持ちでいっぱいだったが言葉が全く出なかった。
「今の機会はハイテクだね、殺すよ、うちの仲間の批判をしている奴は、謀反を起こす可能性ありだからね」
徹平は、ゆっくりとその声が聞こえた壇上の方を向く。そこには轟の姿がった。
「三山徹平少尉!貴様も死にたいか」
そういって轟が銃を徹平に向けた。ここにきて、徹平は戦争の体験をしたが、自分が銃をむけられたりしたことはなかった。
「なんだ、怖いか?お前もその怖い思いをここにきて何度も味あわせてきただろ?」
徹平の心に、死の恐怖が一気に駆け巡った。




