表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕たちは戦争を知らない  作者: リョウ 戦争作家
6/11

6

 サウジアラビアへの出撃1週間前となって、新しい軍の司令官がやってきた。徹平はその姿を見て驚いた。なんと、ゲームセンターで徹平をこの世界に送り込んだふくよかな大国の男だったのだ。

「これから、ここの陣頭指揮を執る、轟仁平次だ。私の命令にはなんでも従ってもらう」

「はい!」

男の言葉に全員が返事をする。

「一つルールを決めよう怪我をしたら足手まといだ、その瞬間において行く」

「は…」

「返事は!?」

「はい!!」

その男の驚きの命令に一同驚いた。怪我をした瞬間、足手まといだから仲間を見殺しにしろと言うのだ。


徹平は全体集会が終わった後、轟と言うその男のそばに行き、今徹平がおかれている状況の説明を求めようとした。徹平は強い口調で轟につかみかかっていったが、その場で投げ飛ばされた。

「三山徹平、ここまでよく廃人にならんで来れたものだ」

「廃人?」

徹平は、自分の五機が強まり、顔全体に力が入っていくのを確認した。

「まあ、そんなに眉間にしわを寄せなさんな、あんた性格によらずイケメンなんだから」

「何が言いたい」

徹平は、その男が自分を見下しているように感じた。

「君を見下すなんて当たり前だろう」

徹平は、その男に心まで見透かされているような感じになった。

「君は、平和ボケしていたからな」

 轟は含み笑いを浮かべながら、徹平に言った。

「平和ボケ?俺が?」

 徹平は、むしょうに顔の周りが熱くなるのを感じた。

「戦争がしたかったんだろ?」

「したかったわけじゃない、戦争は国民の義務だと思っていただけだ!」

「今もそうか?」

「ああ、国と契約を結んでいるんだから」

轟は大きくうなずく。

「契約か、それは正しい答えかもしれない、しかし、貴様はここで時田と言う男にあったな」

「ああ」

「あいつ、お前と一緒で、平和な日本から体験コーナーでこの世界にやってきたんだ」

「知ってるさ」

「あいつ狂っていただろ?」

轟の笑い顔は、もう含み笑いと言うレベルではなくなってきた。しかし、ただ不気味な笑い顔だ。

「確かに狂ってた」

「体験コーナーからここに来たやつみんな、狂う」

「みんな?」

轟は声をあげて笑い始めた。

「元来、この世界にいる軍人はみんな職業軍人。戦争に行きたい奴はいないが、戦争には慣れている。戦争をやりたくはないが、戦争を止めるために仕方なく戦っている人たちだ」

「仕方なく?」

「それに比べて、お前らは戦争に慣れていない、戦争がどんなものなのか知らない、ゲームの世界でしか経験していない。そして、死にゆく人を見て、銃弾をうける自分のいて身を感じ、人を殺す感覚を覚え、お前たち非職業軍人は精神を崩壊させる」

徹平は、握っていたこぶしをほどいた。

「平和ボケとはこのことだ」

「どういうことだ」

「戦争をどんなものかも知らず、何か起これば、対話はダメ、武力で対抗だ。戦争をしてしまえばいい、どんなひどいものかも知らないのに」

轟は、大きく息を吐き続けた。

「私があのコーナーを作った目的は、そう言った君みたいな平和ボケ野郎の精神を崩壊させることだ」

「俺を…」

徹平は、少し冷や汗をかいてきた。

「君の書いた文書を読んだ。君はもう、戦争なんてしたくないと書いていたね。しかし、それを破り捨てていた。認めたくないから」

 確かに、徹平はあの文章を書いた後、それを認めたくなくなり、破り捨ててしまった。

「認めねえよ、精神も崩壊しないからな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ