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僕たちは戦争を知らない  作者: リョウ 戦争作家
10/11

10

その大きな爆発音の後、その場は一転して静まり返る。徹平の視界は塵埃が立ち何も見えなくなっていた。

「大丈夫か?」

 さっきまで横で話していた吉居はどうなったのか、そればかりが気になった。

「おーい、おーい」

徹平の声に反応したのか、徹平に続いて人を呼ぶ声が聞こえた。しかし、横にいたはずの吉居の反応はいまだにない。

 徐々に目の前の視界が開けてきた。横にいた吉居はどうなってる。最悪の想定が徹平の脳裏をよぎった。最悪を予想しながらも、徹平は吉居が立っていた方向を見つめる。

 視界が完全に開けて、徹平は言葉を失った。頭部が粉々になり、胴体も半分ちぎれてしまった人間の死体が転がっていた。

「吉居さん!」

思わず叫び、徹平が助けを呼ぼうと周り見渡した時、徹平はもっと衝撃的なものを目にしてしまった。

 徹平の横に転がっていた死体と同じようなものが辺り一面に転がっていた。

徹平は叫ぼうにも声が出なくなってしまった。

「爆弾を投げ込まれたぞ!敵が来る!来るぞ!」

 その声に徹平は反応する。自分が持っていた銃を構えようとした。どこかに相手がいる、テロリストがいる。来たら撃つ。そんな思いで銃を構えていたが、何かがおかしいことに気付いた。

 徹平は、恐る恐る違和感がある方向に目を向けた。

「右腕がー!!!!」

 そこは真っ赤に血が噴き出しており、右腕が無くなっていた。


 「どうした!」

徹平の異変に気付いた兵士が、徹平に近寄ろうとした。

「待ってろ、お前はすぐに助けが来るようにしてやる」

 その兵士は、けがを負った徹平を助けようとした。敵が近くにいることは明白だが、あの爆弾による不意打ちが終われば、兵器の強さは日本の方が強いと考えていた。幸いにも、爆弾の被害を受けたのは、油田の隣にいたグループだけであった。

「大丈夫だ落着け」

その兵士は、奇声を上げて、パニックに陥っている徹平を落ち着かせようとした。


 徹平は、パニックに陥り、何が何だか分からなくなっていた。痛みは感じなかったが、右腕はもうなかった。

 何か、徹平に語りかける声がしている。その声の方を向くと、銃を持って近づいてくる男がいた。その姿は、徹平から見ると明らかにテロリストであった。先ほど、敵が来るという声を聞いたばかりであった徹平は、片手だけで打てる銃を取出し、引き金を引いた。


 徹平を助けようとする兵士が近づこうとしていると、徹平がいきなり銃を向けてきた。そしてそこから放たれた弾は、兵士の胸を貫いた。

「何やってんだ!」

悲痛な雄たけびをあげ、その兵士は倒れた。

「てめえ!なにしたか分かってんのか!」

 それを目撃した、別の兵士たちは徹平に向かって銃を向けた。


 徹平は、一人のテロリストを仕留めることができたが、急に敵が増えたのを確認した。轟は、テロリストであれば必ず殺すように言っていた。それが日本のためになるならば、殺さなくてはならない。

「お前ら全員、殺してやるー!」

徹平は、もう一度引き金を引いて、撃つ構えを見せたが、何人ものテロリストから放たれた弾は、徹平の胴体を何発も貫いた。

 徹平はその場で前のめりになって崩れ落ちた。徹平は立ち上がろうとしたが、立ち上がれない、体に全く力が入らず、視界がぼやけて、耳が聞こえなくなった。

 やがて、視界が真っ黒になり、何か心地よい感覚が、徹平を包み込んでいった。


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