1: クビネコ誕生編 1
どうも、皆さん。
ネコです。
ネコがしゃべってます。
僕は今、とある会社で働いています。
もう働き始めて二ヶ月。
あっという間でした。
給料もいいし、周りの人間も優しい。
僕だけネコだからって、差別する人もいません。
そう、僕の人生は今、薔薇色に染まって……
「ネコ君、君はクビだ」
え−と…。
状況説明します。
ついさっきまで、お昼ご飯を会社の上司と食べていたのですが、
社長が僕と話をしたがり、社長室に連れ込まれたワケで…
で、入って数秒で、この衝撃発言されたというワケです。
「なええ、いや、ちょちょちょ…」
突然の爆弾攻撃に僕の頭は真っ白。
クビ? なんで!? こんなに働いているのに!?
「ちょっと社長!! なんでですか!?」
「すまんがのぉ、ネコ君。君の毛が、その、あたりに飛び散って、それで…」
なぁぁぁ!? それだけの理由で!?
「す、すぐに荷物をまとめて出て行ってくれ…」
ああああああああああああああああ!?!?!?!?
「社長ぉ…お願いします…」
僕は必死にお願いします。
「もう毛は飛び散らせないからぁあ……ぐすん」
「……分かった、ネコ君。本当の事を言おう」
え!?
「実は私、猫アレルギーなのだ」
神よ、私が何をしたというのですか…?
猫ここここここここぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉアレルギー!? おお、のー。欧米か!
「うひゃひゃひゃ! 猫アレルギー!? そんな事聞いてねーぜ!!」
「ネコ君落ち着いて! はい! この水飲んで!」
差し出された水を大人しく飲む僕。
はぁー。少し落ち着いた。
「クビ……ですか」
「すまないが、そうだ。君はクビだ」
はぁぁ。これからどうしよ。
「ネコ君、私はそろそろ会議が…」
「あ、どうぞどうぞ。僕はもうすぐ出て行くんで」
僕はそう言って机に倒れ込みました。
マジでどうしよう…。