第六話 リーアの正体
コンコン
誰かが戸をたたいてる。
ヒートかな?
ベット横の窓辺に、小鳥のヒッピーの姿がある。
泉に落ち、その後人間の世界に連れ出されたリーアを心配していつも出てこない泉の森の外へと飛び出てきたらしい。
「見舞ってくれてありがとう。早くお戻り。見つかってしまいます。」
まだ不安そうに、窓辺に止まりくびをかしげるヒッピー。
「私なら大丈夫。すぐに泉にかえるから。」
その言葉を聞いて、
「約束だよ」と、ピッと短く鳴いて泉の森へと飛び立っていった。
ヒッピーの黄色い羽に光が反射して眩しい。
ヒッピーが飛び立ったのを確認して、どうぞと、なかへ戸口の方を見て言った。
「はいるぞ。」 見たことのない、長身の黒髪の男性が入ってきた。
その後ろからヒートが入ってきた。
感情が感じられない切れ長の目に黒い瞳。白肌にくっきりと見える。
とまどってヒートの方をむく。
「心配しなくて大丈夫だよ。無愛想な顔してるけど、やさしいんだ。」
私のとまどってる姿を見てほほえむヒート。
ゴホンと咳払いをして、
「悪かったな無愛想で。」
とヒートをにらむ黒い瞳の男。
「俺の名はジトラ。おまえはリーアだな?」
「そうです。昨日はありがとうごさいます。」
ジトラはつかつかと私のベットの横の椅子まで歩き、腰をおろす。足を組ながら、
「礼はいらん。ヒートの頼みで運んだまでだ。」
「運んでくださったんですか!?重くてごめんなさい」
この方に運んでもらったのは知らなかった。
はずかしくて、顔に熱があがってくる。
「いや、おまえを運ぶくらい、造作ないことだ。」
「リーアは軽いよ。な?ジトラ。」
ヒートがジトラの隣でジトラの椅子の背もたれに手をかけながら言った。
「おまえはまだ黙ってろ、バカ。そうゆう話をしにきたわけじゃない。だんらんして、どうすんだよ。」
ヒートの方をにらみながらジトラがいう。
「ばかっていったな!まぁいいけど。」
ちょっとふてくされるヒート。
仲のよさそうな二人に、くすっと笑うと、二人でこっちをむいた。
「仲いいんですね。兄弟みたい。」
「まぁ、同志だからな。俺はこの城に使える兵だ。隊全部の総指揮をとる。あと、ナイン国の全体の治安を見ている。」
「俺は二番隊の指揮をとってるんだ。」
少し誇りを胸にいうヒート。
急にジトラは真剣な面持ちで私を見つめる。
「ところで、俺はおまえを知らない。おまえはどこから来た?」