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ナイン国物語  作者: 希羅
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第二話 出会い2

ザッ

木々の間を抜け、視界が広がった。

間に合った。

朱色に波打つ水面。

反射して眩しい。

そんな美しい光景もかてないような、

信じられないような、

違うものにひかれていた。


それは一枚の羽程の重さしかないのか、水面の上に立っている。そして水色の瞳を大きく開いて驚いた顔をしてこっちを見ている。



・・・あの子は、一体・・・。



ドボン



!!

さっきまで当たり前のごとく水面にたっていたのに、泉の底へと落ちていく━━

「━━っ!おいっ!」

俺は泉に必死で走った。


ヒートは上着を走りながらバッと脱ぎ捨て、綺麗な円を描いて泉の中に飛び込んだ。隊にいるため、緊急事態に俊敏に対応できる。


泉をいつも眺めているけど、触れるのも初めてだった。中から見る泉は青白く世界を照らしていた。すべてを見渡せる青白い世界。土から飛び出した木の根の先端まではっきり見えた。

その中でヒートは懸命に一つの場所へむかっていた。

走るより遅いスピードにもどかしさを感じながら、青白く照らされた少女のもとへ急ぐ。



あと少しで手が触れる。


━━━つかんだ。


そのままぐいっと抱き寄せ、上に向かって泳ぐ。


もう息が・・・限界だっ。くそっ、もう少し。あと少しで!


ガバッ

・・・間に合った。

はっ、少女は?

少女の目を閉じたままの顔を見つめる。さっき見たときはシルバーに青みがかったような髪の色だと思ったのに、今は金色で軽いウェーブがかかっている。あれ、でも今はそんな場合じゃない。

整ったその顔から何もはっせられない。

やばいな、急いで陸に戻らないと。


ヒートは少女を気遣いながら陸まで泳ぎはじめる。


陸に上がり、少女を寝かせる。胸に耳を傾ける。

「・・・動いてる。」


そうゆうと、大の字にバタンと倒れる。安心した。

よかった。

俺が来たせいで驚かせたため、少女は落ちた。

罪悪感と不安で恐かったのだ。


そうだ。城につれていこう。城でゆっくり休ませて治療してもらおう。


ヒートは、水がしたたる髪を掻き上げ、ゆっくりと立ち上がり、まだ意識のない少女を抱き上げ白馬の後ろに乗せる。前に自分がまたがり、じぶんの上着を少女にかけた。

「ゆっくり慎重に走れよ。落とさないように。わかったか?」

ゆっくりとうなずき、走りはじめる。


早く目を覚ましてくれ。 祈りとともに手綱を握り締めた。

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