第一話 ショウ王子とサガラ2
サガラはショウがからかうとおもしろくて、よくからかって遊んでいる。
「なんだよ。身長なんて関係ないよ。あの木が邪魔なだけだって。」
ちょっとふくれるショウ。
「あっ、見えた。ヒートだ。ヒートはいつも馬で楽しそうに走ってるよな。
あいつの早さにはかなわないよ。」
「そうですね。いつも元気で明るくて、笑わせてくれる。王子のいい友ですね。」
ヒートは、王子と同い年で、この城で働く用兵だ。髪はアッシュで長めのショートだ。身長はショウより少し低く、腰に剣を下げて、赤いマントがよく似合う。笑顔が可愛くて、ショウとは親友なかだ。
ヒートは剣の腕がナイン一で、普通は剣が折れてしまうような岩さえ切れる。
ヒートはその力でショウを、ナイン国を守るためにと幼くして騎士に志願してきた。もうヒートが城にきて三年たつ。
いまでは二番隊を率いる隊長になっている。
「またあそこにいくのかな。」
「あそことは、このナインに広がる水の湧き出る泉のことですか?」
「あぁ。一回俺も連れてってもらったことがあるんだ。この世とは思えない、とても綺麗なところだったよ。水がきらきら透き通ってて、深いそこまで見えるんだ。一部すごく深すぎて見えないとこがあったけど、サガラを今度連れてってあげたいよ。」
「ぜひお願いしますと言いたいところですが、あそこは神聖なところ。そこへ行くのは禁止されてるはず。王子が守らずしてどうしますか。
民がみておりますよ。ヒートにも言わなければなりませんね。」
「いや、それが、あそこは不思議なところで、他に何人か秘密に行こうとしてる人がいるらしいんだけど、辿り着かないんだ。
不思議な結界に守られているみたいなんだ。ヒートと一緒じゃなきゃいけないんだ。前に俺も一人で行こうとしたけど、真っすぐ進んだはずなのに、回って戻ってきちゃうんだ。」
「なるほど。何人かいるとゆうことは、王子が間違えたとゆうことではなさそうですね。
先代の王がほどこしたんでしょうか。」
「なんか、俺一人だと疑うようなことばが入ってたけど・・・。」
「ふふ。どうでしょうね。では、今度王子とヒートとご一緒しましょうか。」
「あぁ。ヒートにゆっとくよ。楽しみだなぁ。早くあの光景をもう一度みたいよ。」
もうヒートが過ぎ去って見えなくなったところを見つめながら話をしていたら、いつのまにか空が暮れてきていた。
まだまだ神聖水を汲む列はたえないが、夜は危険なため、汲むのを禁じている。人々に時間だ、また後日、と大きな声で呼び掛ける兵。そして二人態勢で夜は監視をつけている。
みんなの希望を守るために。
そんな光景をサガラと二人で眺めている。
「そろそろ夕飯ですよ。お部屋に一旦戻りましょう。」
夕日に少し影がさし、ますます綺麗に見えるサガラ。
「だな。お腹へったよ。」
そして二人部屋に戻っていった。