第一話 ショウ王子とサガラ
ここはナインとゆう国。隣には大きくて栄えているジュエルとゆう国がある。
ナインは小さいけど水が、自然がきれいな国でいつも風に緩やかに擦れ合う木々の音、川のゆっくり流れる音が心地よく響いていた。
ナインのもう一つの魅力は、水にある。ナインの水は万病にきくとゆう。いつも病気で悩み、苦しむ人や家族が水をはるばるナインまで汲みに来ていた。
水は神聖水として、世界に知られていた。水汲み場はナイン国を囲む塀の、腰程の高さに空いている小さな穴からちょろちょろ流れている所だ。
そこから水を汲む人々の列を城の塔の上から見下ろしている姿があった。
「なぁ、サガラ」
「なんですか?ショウ王子。ご飯ならさっき食べましたよ?」
顔が赤くなり、今までみていた水汲み場から一瞬顔をあげてサガラを見る。
「サガラ、俺はお腹へってないよ!そうじゃなくて・・・。最近、水汲み場にくる人、増えた気がするんだ。」
水汲み場を眺めるまだ幼さの残る灰色に少し緑がかった大きな綺麗な目の王子。髪のいろは綺麗な金色。女の子のように見える整った顔とすらりとした容姿。身長は170センチ位だ。
そんな城のみんなに愛される王子。その横ではほほ笑み、王子を見つめる男。サガラがいる。
サガラはショウ王子の執事だ。とても仲がよく、よくショウ王子の他愛ない相談にのったりしている。
「そうですね。言われてみれば。ジュエル国とゼット国が今争いを起こしてますからね。
ここは、平和ですね。ショウ王子がみんなを愛してますから。みんなもとても尊敬していますよ。」
ほほ笑みサガラが言う。それをきいて恥ずかしそうに少し赤くなるショウ王子。
サガラは綺麗な中性的な魅力のある男性だ。片方の目は斜めにたれた前髪から少しかいま見える。紫色に少し黄色が交ざったような瞳と高い鼻をした色白の端正に整った顔。
黒い細目に作られた服が良く似合っている。
「民が国だ。俺は戦なんてしたくない。小さい、大きいの問題じゃないんだ。幸せに生きてほしい。みんなを守ってゆくんだ。」
サガラの目を真っすぐに見つめながら言った。
「ショウ王子の執事になれて、私は幸せですよ。」
「なっ、なんだょ。突然。あっありがとう、サガラ。」
みるみる赤くなるショウ王子に静かに笑う。
いつまでも続いて欲しい。でもそんなに簡単には行かない。でも、歩くしかないから。親父が死んで、俺しかいない。守るんだ。みんなを。大切な友達を。
「王子、あそこ、白馬で走るのはヒートじゃないですか?」
午後の暖かいゆるやかな空気に感慨ふけってると、サガラが何かに気付いたようでサガラが指す方へと視線を代える。
「え?ヒート?どこ?見えない」
「あぁ、王子。背がもう少しのびたら見えるかもしれませんね。」
確かに。サガラはショウより15センチ位高い。