主人公考察・男
もう少し詰めたいがとりあえず投稿。
主人公の作り方:男
問題になってくる主人公の作り方。
ライトノベルを中心に、サブカル全般で良くある主人公のタイプをパターン化しつつ考察してみます。
☆主人公用テンプレ
【性別】男か、女か。トランスジェンダーなのか、半陰陽なのか。
【誕生日】安易な気持ちで元旦、ひな祭り、クリスマスなどに設定しない。
【身長】作品の時代や年代別の平均身長をよく考えて。
【体重】筋肉質な場合はプラスするべき。単純にBMIだけで決めるのは良くない。
【年齢】精神年齢とのバランスを取るのは重要だが、サブカルは高過ぎる・低すぎるのをある程度許容してくれる。
【学年】鉄板は高校二年生。
【性格(外面)】ラノベでは外も内も一致しているタイプが多い。
【性格(内面)】アダルトゲームなどではこちらが重要になってくる。
【欠点】性格的な欠点でも、苦手な技能でも。一つはないと人間らしさを喪失する。
【周囲に認知されている特技】『家事』『パソコン』などが一般的。ここを尖らせるとキャラも尖る。
【認知されていないが得意なこと】実はオレ、○○もできるんだぜ――。突発的にではなく、どこかで仄めかしておくこと。
【癖】あきれるとため息をつく、悩むと肩をすくめる、焦ると目が泳ぐetc
【家族構成】両親が死去、あるいは旅行中などの場合でも人物像・名前くらいは明確にしておくこと。
【過去にあった大きな出来事】ヒロインと昔なじみ、家族の死別etc
【クラスでの立ち位置】ムードメーカーなのか。窓際族なのか。
【恋人(好きな相手)】少年漫画などではスタート時点で意中の相手がいる場合が多い。ラノベはいない場合と半々程度。
【洞察力】鈍感キャラなのか、敏感なのか。「恋愛感情以外なら人並みに洞察力がある」キャラは矛盾を抱えている。
【性別】
【誕生日】
【身長】
【体重】
【年齢】
【学年】
【性格(外面)】
【性格(【欠点】内面)】
【周囲に認知されている特技】
【認知されていないが得意なこと】
【癖】
【家族構成】
【クラスでの立ち位置】
【恋人(好きな相手)】
【洞察力】
☆そのほか主人公について
Q・「癖」って必要ですか?
A・必須ではないです。
ただし主人公に限らずキャラクターごとに「癖」を意識しておくことは非常に重要。
・溜息を多用しない――
○○は深いため息をついた。という表現、連発していませんか?
呆れたとき、疲れたときの記号化された動作として役に立つのは確かですが、冷静に考えてみると実際にやっている方はそう多くないと思います。
少なくとも登場人物の全キャラのクセとしてはややリアリティに欠けるでしょう。
これと同じような「実際の人間は全員がやるわけではないのに、ついつい多様してしまう表現」をまとめてみます。
・頷く
・唇を噛む
・欠伸をする
・伸びをする
・歯軋りする
・俯く
・立ち止まる
・首を振る
・腕組みする
・首を傾げる
・肩をすくめる
主人公だけではないですが、キャラクターの動きに気をつけること。
Q・
最強系主人公は駄目か?
A・
諸刃の剣です。
「そういうのしか読まない」層がかなりの数いるのも事実ですが、「絶対に読まない」という層もいます。そもそも主人公が最強で何がいけないのか――?
1.物理的なピンチを書きにくい
作中最強のキャラが戦闘で追い詰められるわけもなく、逆にピンチになるととってつけたようなわざとらしい展開になりがち。
2.心理的な葛藤を書きにくい
「強い力を持っているがそれについて思い悩む」パターンは……
→作者は気づいていないがわりとうざったい。
力を背景にした悩みは、
「俺、東大とハーバードとどっち行くか迷ってるんだよね」とか
「陸上種目ならどれやってもメダルが取れるだろうなぁ」みたいな聞こえ方をすることを意識すること。
『地獄のミサワ』のようにウザさを強調して笑いを取りに行く最強主人公はありかもしれない。
あるいはもう、敵サイドにそういうキャラクターをおいてしまうとか。
始まった時点から強いパターン
・レイフォン・アルセイフ(鋼殻のレギオス)
・司波達也(魔法科高校の劣等生)
始まった時点では力がないが、なんかいろいろ適正とか持ってたパターン
・有田春雪
・坂井悠二(灼眼のシャナ)
・平賀才人(ゼロの使い魔)
スタート時点でのスペックを「普通の男子高校生」に設定することでやや緩和可能。
やり尽くされているパターンではあるが……。
Q・鈍感はうざい?
A・度が過ぎないように。
ライトノベルでは五万といる鈍感キャラですが、当然やり過ぎればウザいことこの上ないです。
「え? 何か言った?」という唐突な難聴も考えもの。これに関して言えばヒロインの声が小さいのも悪いですが……。
回避の仕方は幾つかありますが、成功例としては『To LOVEる -とらぶる-』の結城梨斗。本人は鈍感でありつつも、ヒロイン一人への恋愛感情を明確にした上で、他キャラとそういうイベントが起こってもきちんと回避できている好例です。
かといって多キャラからの恋愛感情を肉体関係に発展させまくると伊藤誠(School Days)のようなクズ主人公になるので要注意。
【才能の方向性】
・血族型
……実は○○の血を引いていたパターン。
最近のジャンプに多い。ネタバレを含むのでキャラクター名を挙げるのは控えます。
親父が強いから息子も強い、というのはやりつくされて飽きられているので特段の理由がない場合はやめたほうが良いと思います。
・天才型
・偽努力型
……「もともと持っていた才能」が開花するタイプ。
・努力型
……純然に努力のみで強くなるタイプ。今はあまりいない。
○熱血タイプ
戦闘ものに多い。
説教臭く、よく叫ぶ。身体的には一般人レベルでありながらも、どれだけボロボロになっても立ち上がるタフネスを誇る。
恋愛面は割と鈍感。だが、向けられた思いには真っ直ぐに答える。
【年齢】中二~高二
【容姿】身長はやや高め。ラフな服装。無造作な髪型が多い。
【特技】ピンキリ
【趣味】
【向いている作品】
現代異能
【向いていない作品】
ハードボイルド……作品の雰囲気をぶちこわす
ギャンブル……熱くなりすぎる
任侠……同じく
・長所
こいつが来てくれれば何とかしてくれそう、という感じがある。ハードボイルドタイプと比べても犠牲者なしで切り抜けられる可能性が高い。
ぐずぐず悩まずスパッと行動するため爽快感は高い。
読者の年齢層を選ばない。行動原理も友情や愛、正義、平和と非常に明快で分かりやすい。
・短所
説教の鬱陶しさをどう受け止めるかは読者次第。
度が過ぎれば愛されるネタキャラに昇華するが、比例して嫌う読者も増えていく。
主人公補正が大きく入るタイプのキャラクター。
たとえばこんなキャラクター
高嶺清麿(金色のガッシュべル!!)
上条当麻(とある魔術の禁書目録)
○鈍感タイプ
舞台設定が現代、恋愛もの、かつ多ヒロイン(ハーレム)ものに多い主人公。
他人から向けられている恋愛感情に疎い。
「やればできる」タイプが多く、ほぼ全ての能力が平凡だが何かしら特化した能力(家事など)を持つ。
両親は旅行に出かけている場合が多く、一人暮らしをしている。
ラノベではバカみたいに見かけるタイプ。書きやすいしウケも悪くない。一方で辟易している読者がそれなりの数いることを理解することが必要。
→ステレオタイプ
【年齢】中二~高二。
【容姿】ミドルヘア。寝癖ついてたり。わりと髪型は適当。容姿は普通~ちょっとカッコイイ(かわいい)と言われるくらい。
【特技】家事。自炊してる場合が多い。
【趣味】ゲームとかパソコンとか。だがオタクではない。さしたる趣味はない。帰りにゲーセンに行ったりする程度。
・長所
多くの女の子との恋愛を育てられる。(フラグ建築)
・短所
あまりにも鈍感過ぎて読者が苛つく、ということが起こりうる。
単に不誠実なキャラクター、あるいはバカに映ることも。
特に嫌う要素もない一方で、好きになる要素もない。ここぞという場面での活躍は必要。一巻の時点で「やればできる」シーンは盛り込んでおきたいところ。
たとえばこんなキャラクター
・吉井明久
・レイフォン
・
●個人的な雑感
魅力に欠ける。あまりの鈍感さに不誠実さを感じることが多い。
強さの理由が不明で目的意識も希薄。流されがちで何を為したいのかという意思が伝わってこないのもマイナス点。
逆に言えばそのあたりをきちんと書き込めば、より万人受けする主人公になるのではないか。
○へたれタイプ
流されやすく意思が弱い。特に優れた技能を有する訳でもない。
ここぞという場面では行動するものの、後悔を伴うことが多く、常に葛藤を抱いている。
長所
良くも悪くも読者の等身大。一般人。
その行動はおおよそ「主人公」と呼べるものではないが、共感を覚えることも多い。
このタイプの主人公が採用される作品では、そもそも環境そのものが凄絶で耐えがたい状況のことが多く、精神を平常状態で保てと言うのが難しい話である。
主人公が地味で凡庸な分、ヒロインを尖らせやすい。というか活路はそこにしかないので思う存分尖らせるべき。
短所
『最強主人公』の真逆をいく。
駄目な読者は全く受け付けない。一方で、無条件に好かれるタイプでもないため、ストーリーとヒロインをきちんと練る必要がある。
シリアスでシビアな話に限定されがち。書く前から読者層は想定しておくのが吉。
・天野雪輝(未来日記)
・碇シンジ(新世紀エヴァンゲリオン)
○トラウマタイプ
過去のトラウマからネガティブな思考を持つに至ったタイプ。
「昔はヒーロー的気質を持っていた」パターンが多い。多くは大切な人(家族)を失っていて、また主人公の過去の姿を知る幼馴染みがいる場合が多い。
その構造から現代学園異能の主人公に抜擢されることが多く、大概は女の子(メインヒロインか幼馴染み)がピンチに陥ったことによって熱い心を取り戻す。
長所
シニカルで斜に構えたキャラクターになるため、中二病心をくすぐる。
短所
ハマれなければただの鬱陶しい奴に映るだけ。物語の序盤、ネガティブな間は消極的でやる気のないクズと取られる場合が多く、初っ端で読み進める気をなくす可能性がある。
たとえばこんなキャラクター
「11eyes」「AYAKASHI」「Diesirae」の主人公、皐月駆、久坂悠、藤井蓮の三人を分析。
三作品とも「日常に回帰するために戦う現代異能物」です。
共通項
・幼馴染がいる
・幼馴染からは好意を寄せられているが気づく事がない
・幼馴染は料理がうまい。
・なんらかの理由で両親ともにいない
・過去に「身内の人間が死ぬ」トラウマがある
・基本的に脱力していてやる気に欠ける。虐めの現場を目撃しても、「首を突っ込むことはない」スタンスでスルーするのようなタイプ。
・勉強はできなくはないがしない
・容姿は「女っぽい」
・髪は青く、長さは耳にかかる程度の長髪
・悠と連の武器はともに腕から形成されるもの。駆は剣。(三者とも近接武器)
・最終戦での覚醒あり。尋常じゃないほどに強くなる
最近はラノベ・エロゲともに減りつつあるタイプの主人公。
大量生産で飽きられてきたという部分が大きいと思われる。
●個人的な雑感
序盤のウザさは群を抜く。献身的な幼馴染みは見てて痛々しいほど。
過去のトラウマが半端なものではない――が、それが判明するタイミングは中盤~終盤なため、意味不明な中二病を見せつけられることになる。
不機嫌そうな感じをもう少し抑えることで、序盤の牽引力に繋げたいところ。
○軍人タイプ
広義には「軍人っぽい」キャラクターを差すが、ライトノベルやアダルトゲームにおいては、実際に「ロボットのパイロット」であったり、「特殊部隊の構成員」であることが多い。
感情の起伏に乏しく、生真面目で常に冷静。精神年齢は高く見えるが、常識が欠如している場合も多い。
容姿は
→ステレオタイプ
【年齢】十五歳~二十歳。
【容姿】中~長髪、黒髪。筋肉質、高身長。ファッションセンスには乏しい。
【特技】爆弾、銃器、コンピューター関連。戦場で役立ちそうなもの。
【趣味】ない。進められれば大体何でもこなす。
【恋愛】一途。うじうじしない。
長所:
こと戦闘面においては無敵。見せ場を作りやすい。
誠実で頼りがいのあるキャラクターになりやすいことから、恋愛面でも好かれる理由が明快で納得できる。
精神年齢が高く冗談は軽妙。
短所:
精神年齢や思考回路は一般人とかけ離れている場合が多く、感情移入しにくい。
たとえばこんなキャラクター
・相良宗介
・風見雄二(グリザイアの果実)→彼はやや『超人タイプ』寄りか。
・ヒイロ・ユイ(新機動戦記ガンダムW)
○超人タイプ
学問、容姿、戦闘技術、女性への対応までありとあらゆるステータスがぶっちぎっているタイプ。(個人差あり)
ライトノベルには少なく、アダルトゲームに多い主人公の傾向。
長所
・純粋に格好いい
短所
・読み手やプレイヤーのスペックを意図も簡単に上回るため、劣等感を覚えやすい
○ハードボイルドタイプ
手が早くスケベ。圧倒的な戦闘能力を誇る。
二枚目半~三枚目の容姿をしており、遊び心を忘れない。タフで粋。
【年齢】十九歳~三十歳
【容姿】二枚目半~三枚目
【特技】格闘
【趣味】特にない。わりと何でも出来る。
長所
・まず批判的に受け止められることはないキャラクターになりやすい。
短所
・草食系男子が謳われている(?)現代社会においてはやや浮き気味か。
・ライトノベルの主人公の年齢帯(中高生)で考えると精神年齢が高すぎて違和感を生むかもしれない。
また、圧倒的な強さから主人公のピンチは描きにくく、結果としてスペックの劣る周囲の人間がわりを喰う展開になりがち。
たとえばこんなキャラクター
・コブラ(コブラ)
・冴羽リョウ(シティハンター)
・前田慶次(花の慶次)
向いている作品
・SF
・肉弾戦の多い探偵もの
・ウエスタン
向いていない作品
・ラブコメ(手が早すぎる。一巻でハーレムエンドになりかねない。そういう意味ではコメディか)
○ストイックタイプ
目的に向かってただ邁進していくタイプ。
感情表現に乏しく、無駄がない。凄まじい忍耐力と、自ら危険に踏み込んでゆける蛮勇を兼ね備える。
何があってもその思考回路は絶対にブレることがない。
自尊心は強いが優越感はゼロ。
【年齢】十代~?
【容姿】鋭い目つき
【特技】相手を威圧すること
【趣味】何一つとしてない
長所
キャラクターの方向性が明快で、かつ分かりやすく強い。
まず読者から嫌われることはない。目的が小説のテーマと一致していることがほとんどで、ストーリーにも無駄がない。
短所
このタイプを主人公にできる作品はかなり限られてくる。
向いている作品
・ギャンブル
・戦争系統
向いていない作品
・それ以外ほぼ全て
たとえばこんなキャラクター
・赤木しげる(アカギ)
・デューク・東郷(ゴルゴ13)