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アスからマジで生きる!  作者: ゆる


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五日目 鬼さんこちら手の鳴る方へ!


俺は今、激しい振動に揺られながら移動している。

青い背中に支えられながら、俺は自分のスマホを見た。

よく見るとアンテナが立っていないのだ。

「さっきは何でイカリに電話出来たんだ?」

俺の独り言が聞こえていたのか、青〇親父が声を掛けてきた。

「兄さん、さっきの場所が電波良かったんじゃないんですかね?時の鐘が設置されている場所ですし、何せ山の頂上だ。」

言われてみれば確かにそうとも考えられる。

しかし、他にも幾つか気になっている事がある。

一つは、やけに人が少ないという事。

二つ目は、町の外れにある通行止めの赤い架け橋。

三つ目は、アンバランスな町の作り。

俺はその三つについて、青〇親父に問い掛けた。

「まず人が少ないのはわしにも何故かは分からん。分かる事とすれば、ここは人の出入りが激しい場所でな。来たばかりと思ったらすぐに旅立ったり、長期滞在したり人それぞれなんだ。赤い架け橋については、お偉いさんのみぞ知る領域。噂ではあの世への入口で危険だから封鎖しているとか。まあそんな異様な町だからな、アンバランスな作りにもなるんだろうよ。」

確証は何も無い。何も分からないよりはマシだが、数年滞在しているこの親父ですら分からない事は、他の人に聞いても一緒だろうと思った。

しばらくすると、目の前には美しい海が広がっていた。周囲を見渡すも、ここは一つの島となっているようだ。近くに他の島はない。あるとすれば、北の方角に陽が差し込んでいる事くらいだ。

「参ったな、これじゃあ何処にも行けやしない。なあアオヤジ、ここら辺に船か飛行機はないのか?」

「アオヤジってなんだよ。青〇って言えないからって雑に扱うんじゃねえ。見てみろこの見た目、ずっとモザイクだ。何とかならねぇかって話だよおめぇ。」

「分かった分かった。船と飛行機見つけたら何とかしてやるよ。」

愛想の無い対応をしたが、アオヤジは「言ったな!よぉっし!」と張り切って西の方向へと走った。


しばらく走ると、滑走路が見えてきた。

「なんだよ!空港があるのかよ!」

「いや、空港はない。ただ、たまに飛行機が飛んでくるんだ。どこから来ているのかは分からないが…そういや兄さんが来る少し前に飛行機に乗って来た奴が二人いたな。」

「マジか!その二人はどこにいる?」

アオヤジは「知らん」と呟き、落ち着きの無い様子で辺りを見渡した。

「どうした?」と問い掛けると、町の方角を指さした。

「兄さん、町から悲鳴が聴こえた。」

人気のない町中から悲鳴が聴こえたらしいが、俺には全く聴こえていなかった。しかし、飛行機の件もある為、俺はアオヤジの背中で揺られながら町へと戻った。


悲鳴の聴こえた方角へ一直線で走ってきた俺達の視界には、赤い怪物に追い込まれている女の子を確認した。

「いた!人だよ兄さん!」

俺はアオヤジから華麗に飛び降り、腰元に据えている銃を取り出した。そして、女の子の前に入り、銃口を赤い怪物へと向けた。

「動くな。一ミリでも動けば引く。」

ひゅ〜カッコつけれたぁ〜

っと、ここで俺の銃の名を紹介しようと思う。

シグ・ザビエル F1549というオリジナルハンドガンだ。残念ながら現実には存在しない銃なので勘違いしないように。


しかし、赤い怪物は笑顔で無数の牙をこちらへ見せつけていた。見た目は大型の猫と言った所だろうか、違う点をあげるとすれば二足歩行である事くらいだ。

「早く逃げてくださいっ!私の事は気にしないでっ!」

花柄で薄い桃色の袴を着たその女性は、ショートヘアで髪を結んでいる。整った顔立ちだが、全身土で汚れている。

「今更逃げられるか。結論、殺るか殺られるかだ。それにあなたにも聴きたいことがある。」

そう告げた瞬間、俺は引き金を引いた。

パァァァンッッッ!!!と遠くの空まで響く程の大きな音が鳴り響き、弾丸は赤い怪物の額を貫通した。穴の空いた額からは、出血が見られた。

しかし、赤い怪物は笑顔のままこちらを見つめていた。

俺は再び銃を構え、心臓と首や腕の動脈を狙った。打ち込まれた弾丸はしっかりと貫通するも、赤い怪物は微動だに動かない。

「どうなってんだこれは。」

「兄さん!そいつ多分銃効かない!ただダメージは受けて動けなくなっているんだ!今の内に逃げやしょう!」

アオヤジの言葉で俺は女性を抱え、アオヤジの背中へと飛び乗った。そして、その場から離れて数秒後、とてつもない速さで赤い怪物は追い掛けて来た。

「怖い怖い怖い怖い怖いッ!もうホラーゲームだよッ!アオヤジもっと速く走れぇッ!」

「む、無茶言わないでください!これが…限界です…!」

女性は諦めたように身を縮めて目を閉じていた。

もう今にも手が届きそうな距離だ。

俺は銃を構えるも、銃弾はもう手元には無かった。

「こんな時に品切れぇぇぇえ!!!!!」

終わったと思った次の瞬間、赤い怪物が足を止めた。

それに気付いた俺はアオヤジに声を掛け、急停止した。

「何だ?どうしたんだあいつ。」

「わ、わかりやせん。」

アオヤジが呼吸を整えている間に、カチャンッという音が響く。次第に赤い怪物の首は落ち、身体がその場に倒れ込んだ。

そして、土煙の中から現れたのは、三度笠を被った緑色の服装の大柄男だった。緑色の法被の下には、黒い布の服を纏っている。腰元には日本刀があり、太く白い帯を巻いており、下衣は茶色の生地の物を履いている。

俺はアオヤジの背中から飛び降り、男にゆっくり近付いた。

「あの…助かったよ。ありがとう。」

「礼など必要無い。偶然通り掛かっただけなのでな。ところでそこに居るのは鬼だな。随分と慕っているようだが、そいつはいつ我を忘れ暴れ出すか分からない。」

そう言って男は再び刀を抜いた。

「ちょっと待って。説明するから聞いてくれないか。」

俺はこれまでの経緯を男に説明した。

「なるほど。だからと言ってそこで野糞をしていい理由にはならないぞ?」

男の言葉でアオヤジの方向を見ると、女性をおんぶした状態の中腰で踏ん張っていた。

「お前何しちゃってんの!?ねぇ!女性恥ずかしくなって目隠しちゃってるよ!青〇になってもうんこすんのかよ!てか、お前に肛門なんてあんのかよ!」

………。

「何か喋れやあぁぁぁぁぁッ!」

すると、ミチミチミチミチミチッと臭い特大ソフトクリームチョコレート味が姿を現した。

「ふぅ、危なかったぁ。」

「いや、危ないって何?野糞してんのに危ないとかないだろ。それはトイレでう〇こをする奴の訴えだから。」

するとアオヤジは何かを探していた。

女性を見ると、女性の袴を引っ張り、自身の尻を吹き始めたのだ。

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」

女性は悲鳴と同時にアオヤジの頬を思い切り殴った。

殴られたアオヤジは、遠くへ飛ばされた。


「もう最悪ッ!」

そう言って女性は袴を脱ぎ始めた。当然下着姿になった訳で、恥ずかしそうに腕で覆い隠していた。

それを見た男が自身の緑の法被を取り、女性へ渡した。

傍から見てもわかる、女性がキュンキュンしちゃっていた。


「そういえば、君達の名前をまだ聞いていなかった。俺の名はタケル。」

「…ワカバだ。」

「…ハズキです。」

俺は二人と握手を交し、飛行機について問い掛けた。


「すまないが、俺達も何処から連れて来られたのか分からないんだ。気が付いたら飛行機に乗っていて、この島で降ろされた。」

「ただ、あの飛行機には私達以外誰も乗っていなかったんです。操縦士もいなくて、自動運転でした。訳が分からないまま彷徨っていたら鬼に襲われるし。気付いたらもう三ヶ月くらい経ってました。」


結局、二人に聞いても飛行機の事は謎でしか無かった。

謎は幾つかあるが、次に飛行機が飛んできた時がチャンスだと踏んだ。

そして、新たに加わる謎として、鬼達の存在意義はなんなのか。

謎は深まる一方であった。


一方その頃、ハズキに殴り飛ばされたアオヤジは…

「…なんだぁ?こいつは。」

アオヤジの目の前には、小さな石版があり。その石版には青く光る紋章が刻まれていた。

アオヤジが石版に手を触れると全身に電気が走った。

そして、青〇は消え去り、体内から元の親父が姿を現した。そして、その親父の身体もそのまま石版に吸い込まれてしまった。


次回へ続く!

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