四日目 げぇむはやる専門!参加はしたくない!
俺は今、建物と建物の隙間で身を隠している。
何が起きているのか全く分からない俺は、町中を逃げている住民に話を聞いた。
どうやら時の鐘が鳴るイコール、鬼がやって来ると言うのだ。
信じてなどいないが、会いたくもない。
だからこうして隠れているのだ。
そして、この見知らぬ土地は一部街になっており、少し歩くと山々に囲まれている。山と言っても緑ではない、全て石や岩といった灰色の景色だ。
そんな灰色の景色の奥に広がるのは、天国のように美しい海だ。遠くから見ていても海面が透き通っているのがわかる。
北海道留萌市からこんな所までどうやって飛ばされたの?って話なんですがね。
「いやぁ、鬼っていつ来るんですかねぇ。というかこの後の展開全然思いつかなくて困ってるんですよね。まだこの物語始まって四日目なのにね。全く本当嫌になりますよ。」
声のする方を向くと、すぐ横で野糞をしながら見知らぬ親父が語っていた。
「いや、あの…俺の心情を語るのは勝手ですけど、人の横でう〇こしないで貰えます?ちょっと聞いてます?それに貴方のそのブラブラした息子さん、地面に付いてますよ?雑菌が付着して更に腐っちまうよ。」
すると親父は、「おおおおおおおおお」っと声を出しながら、エアーでトイレットペーパーを巻く動作をした。
「おい、冗談はそのふざけた顔面だけにしてくれよ?紙ないの?紙ないのに茶色のそいつ出したの?小説なのに破り捨てたくなるよ。破ったこのページでケツでも拭きますか?」
親父は俺の言葉には一切反応せず、そのまま下衣を履いた。
「さぁ、鬼に捕まったらおしまいだ。逃げる準備は出来てるかーい?君とはまた会える気がするよ!」
いい歳したオッサンがカッコつけてウインクをかました。決め台詞をかまし、親父はその場を去って行った。
「…嵐のような人だな。」
すると次の瞬間、親父が去って行った方向から悲鳴が聴こえた。俺は建物に隠れながら、その方向を見た。
「みいつけたァ〜!」
そこにいたのはとんでもなくデカい青色の怪物だった。極端に輪郭や顔のパーツが大きく、身体は華奢だ。親父は涙目になりながら「お願い!許して!」と懇願しているが、次第に捕食されてしまった。
ぇぇええええええええええええええええええええええええええええぇぇええええぇぇええええええええええええええええええええええええええええぇぇええええッッッッッ!!!!!!!???????
何あれぇぇええええ!青〇ってやつじゃないのぉ!?一世を風靡したホラーゲームの青〇さんじゃないのぉ!?半端ねえよ!実写半端ねえ怖いよ!鬼って節分に来るような金棒の想像してたけどまさかのこっちかよ!一気にハードル上がっちまったよ!何なのあの何とも言えない気持ち悪さと恐怖さはッ!!!
すると青〇さんはこちらをギョロッと振り返った。
俺は焦って姿を隠し、口元を手で押さえた。
無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ッ!!!!!
あんなのからどうやって逃げれってんだよ!
おい!作者!聴こえてんだろ?心の声も聴こえちゃってるんだろ!?早く何とかしろ、ここから出してくれぇ!主人公だぜ?こんな所で殺す訳ないよな?フラグじゃねぇからな?てかてめぇ人すぐ殺すなや!う〇この親父だってまだ生きたかったかもしれねぇだろう!?
心の中で叫び続けていると、左側からこちらを見つめる者のシルエットが視界に入り込んだ。
恐る恐るゆっくりとその方向を振り返ると、当然青〇さんがこちらを凝視していた。
「…あのぉ、さっきのう〇こしてた者なんですけどぉ。なんか青〇に食べられたら青〇になっちゃってて…。」
「なんでだぁぁぁぁぁああああッッ!!!!!」
俺は四日目にして、最大限の全力ツッコミをかました。
「食われたらその人の意識が乗り移るって事か?」
「…恐らく。私も別に青〇博士じゃないからよく分かんないんだけどね?ハッハッハッハッハッ!」
この姿で笑われたらツッコミもできねぇよ。額叩いたらウッカリ食べちゃいましたって言いそうで凄く怖いよ。
「まあいいや、所でこの町は一体どこなんだ?」
「この町は、美しい海と険しい山々で囲まれた小さな江戸の島。町の中にある時の鐘が鳴ると時間や意識を行き来できると言い伝えがある。まあ今となっては、鬼の来る合図に過ぎないのだが…。まあ、何にせよ鬼を上手くかわさないと故郷にも帰れやしない。」
話を聞くと、この親父はもう二年も故郷に帰れていないらしい。鬼に捕まった事はないが、駅に辿り着いたことも無いという。
島にある駅はたった一つ。そこに辿り着けば、自分の帰りたい所へ帰れるというのだ。
そして、この島の名前は【下古越島】と言う。
「なるほど。鬼に捕まったらどうなるんだ?」
「当然死ぬよ。単純な話、鬼に捕まらないように駅を目指す。命をかけたケイドロみたいなもんだよ。」
軽々と恐ろしい事言ったよこいつ?
何勝手に〇カゲーム開始しちゃってますの?
誰も参加するなんて言ってないけど。
しかし、俺は溜息を吐いてよく考えた。
どちらにせよ駅に行かなければこの島に長期滞在する事になってしまうという事に気が付いた。正直、勇敢な人物に何とかして頂きたいが、まずはあの鬼に殺されない事を最優先と掲げた。
「…なぁ親父。」
俺は青〇と化した親父にあるお願いをした。
次回へ続く。




