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アスからマジで生きる!  作者: ゆる


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18/24

十八日目 長蛇の橋!ハズキ対安娜(アンナ)


そして、翌日。

俺達は劣化した木製の階段を上がり、吊り橋へ足を掛けた。歩みを進める度、ギシギシと軋む音が聴こえる。

「こ、これ…渡って大丈夫なんでしょうね…」

「そ、そりゃあそうだろう!渡るなとは書いてないからな!」

「お二方、頑張ってくだされ。」

俺とハズキは今、恐らく同じ感情を抱いている。

お前が人を乗せて飛べたらこんな苦労してないんだよ…という顔を中濃に向けている。

中濃はそっぽを向いた。

一つ目の橋を渡りきると、次は二方向に吊り橋が分かれていた。

「…何で二個あるのよ。」

「まさに運命の分かれ道的な。」

「大丈夫です!私にお任せ下さい!」

そう言うと中濃は、吊り橋の下へと回った。

中濃は吊り橋の裏側を見ながら、待ち構えていた。

「お二方から見て右側は劣化の進行が確認できます。なので左の吊り橋を渡ってください。」

「本当だろうな!」

「本当です!仮に落ちても一人なら救えます!多分…」

「ねぇ!今多分って言った!?さり気なく小声で多分て言った!?」

しかし、迷っている時間は無い。ワカバの捜索も考えたら、早く吊り橋を抜けなればいけない。それに、こんな高い所で野宿など俺はごめんだ。

「よし、俺が渡る。」

俺は躊躇せず、左側の吊り橋を渡った。

ギシギシと音は立てるものの、無事に渡り切る事が出来た。

「よおぉぉぉしッ!!」

内心ビクビクしていた俺は、思わず声を荒らげた。

その後ハズキも覚悟を決め、ゆっくりと渡りきった。


それから幾つもの吊り橋を乗り越え、俺達は漸く中間地点へと差し掛かった。

辿り着いたその崖は一番高く、中間地点という看板も設置されていた。

「さて見下ろす感じ、もう二択は無いな。後は落ちないように渡れば問題ない。」

「お二方、お疲れ様でした。」

俺達は小休憩を挟み、再び歩みを進めようとしたその時だった。


ボオォォォォォォォンンッ!!!!!


渡ろうとしていた吊り橋の向こう岸、そこで盛大な音と共に桃色の煙が辺りを包み込んだのだ。

「ちょっと何これ!」

煙が薄くなると目線の先には、全身桃色の服装をした女性が現れた。パッと見、忍者のような格好をしている。口元は紺色の布で覆っている。しかし、目が行くのは、豊満に実った果実のみだ。

「我が名は遠距離恋愛と書いて、都会に出た彼が不安と読む。」


…あぁ…そういうタイプか…うわぁ…。


沈黙に耐え切れなかったのか、桃色忍者は狼狽えた。

「じょ、冗談キツいわね。」

「いやいや、お前がな?」

いや、まあね。こんな格好してくらいですから、そりゃ性格が不思議であってもおかしくねえよ?ねぇけどさ、もうちょっと何かあったと思うよマジで。もうさ、さっきの興奮を返してくれよ。大分萎えちゃったよ、萎えなのチソチソですわ。

「では、もう一度失礼して。我が名は恋愛ソングと書いて、西野カ…」

桃色忍者は、ハズキに一発食らった。

「ごめんなさい、危ない発言な気がしたので思わず手が。」

「いや、正解だったと思う。」

すると桃色忍者は、険しい表情で起き上がった。

「親にもぶたれたことないのにぃぃぃッ!」


険しすぎたァ〜

もう顔面原型無くなっちゃってるよ〜

好青年茶髪ブルーって感じですよ〜


「なるほど、では見せてもらおうか。貴様の真の力とやらを。」


ハズキは目元を隠す程の仮面を被り、全身赤い服装へと変わっていた。


「それこそ絶対やっちゃダメだろぉッ!!!」


「其方、名前を何という?」

「…安娜(あんな)。」

「安娜…良い名だが、我々は敵対する同士。運命であっても闘わねばならない時がある。見せてみよ、この私ハズキに其方の力をッ!」

「…ハズキ。」


「…俺は何を見せられているんだろう。」


すると、互いに後方へと飛び距離を取り、ハズキは武道の構えをした。対する安娜は、鞭のようなものを取り出した。

「それがあんたの武器ってわけ?まるで茨の棘ね。」

「あんまり舐めては困ります。この茨の鞭で貴方をズタボロにするんですから。」

「おっけー、やれるものならやってみなさいよ!」

二人は劣化した吊り橋を同時に走り、振動で木のくずが舞っていた。

「ハズキッ!あんまり暴れると橋が落ちるぞッ!」

二人は空中へと飛び上がった。

「うるさいな。わかってるってば!」

ハズキの連撃に安娜は防ぎ切れず、思い切り橋へと落下した。

「そのまま橋と一緒に落ちなさいよっ!」

「そう簡単に落ちるものか!」

安娜は仰向けの状態で自在に鞭を操り、ハズキの額や四肢に茨の鞭を強くあてたのだ。

「ぐっ!」

ハズキは血を流しながら、再び吊り橋の中心付近へと降りる。

そして、再び振動が伝わり、吊り橋の寿命を更に進行させた。

舌を噛んだハズキは、血の味を感じて微笑んだ。

「この感じ、堪らないっ!」

目を輝かせたハズキは、安娜の目にはどう映っているのだろうか。少なくとも俺には、野生の虎のような脅威を感じた。

「さぁ、まだまだこれから!」

「フッ…望むところよ。」

ハズキの笑みに答えるように、安娜は苦笑いを浮かべた。


次回もお楽しみに!

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