十日目 ゴキブリはボディビルダーのように硬いッ!
コーコッコッコッコッコッ
アーッアーッ
ジリジリジリジリッ
島全体を覆うジャングルからは、聞いた事のない野生生物の鳴き声が交差していた。
「ちょっと、ワカバさん?先頭歩きなさい?貴方が手放したせいでこうなってるんでしょ?」
「てめぇは会社の嫌な先輩か。」
ワカバは渋々前進し、俺はそれに着いて行った。
ジャングルにあるような様々な葉をかき分けて、進む度に見た事のない虫が姿を現す。
「ワカバは虫大丈夫なん?」
「…お前は駄目なのか?」
「あーもう全然ダメ。何がダメとかないから聞かないでね。理由なき拒否反応なので。」
「そうなのか。じゃあさっきから背中にゴキブリを付けてるのはなんだ?」
その言葉で全身に寒気が走り、恐る恐る背中を見ると、背中を覆い隠すほどの特大ゴキブリが張り付いていた。
俺は顔面蒼白の白黒おじさんになった。
奇声を上げて走り回る俺は、何度も背中を殴り、ゴキブリを落とそうとした。
「と、届かないッ!嫌ぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
「そもそもその大きさのゴキブリが張り付いてて何故気付かない。」
ワカバはやれやれと言わんばかりに刀を抜いた。そして瞬時に切り落とした…服とズボンを。
「てめぇ!何こんな時にふざけてんだ!素っ裸やないかい!俺のポークビッツが露わになっちゃったよ!」
「ゴキブリは落ちただろ。そいつは服に張り付いてるから殺したって無駄だぞ。」
「だったら上だけでいいだろ!ズボンをぶった斬る理由を言えよ!」
「あ、そこにもゴキブリが。」
「あ、ほんとだ、じゃねぇわッ!ち〇こだわ!排水溝並に汚ぇち〇こだわ!…言わせんなやッ!」
俺はぶった斬られたズボンを拾い、端と端を縛り何とかパンツの形にした。そして、局部を隠す事に成功したのだ。
「ワカバ、これ小説なの。モザイク処理はされないけど、局部が出たらち〇こって書かなきゃいけないの。わかります?全裸にすりゃ笑いが取れる訳じゃないの。アニメ化されたら子供にはウケるかもしれないけど、そもそも青〇とか出てきちゃってるから。子供怖くて見れない可能性も出てきちゃってるから。」
「なるほど…青〇にう〇こ乗せてみたらどうだ?」
「いや、それはもう糞まみれの青〇だよね?何も解決してないから。作者はね、ギャグ要素多くしたいからって何も決めずにテキトーに書いてるの。あーこの趣味がいつか仕事になって、家から出ずにお金稼ぎたいなとか安易な夢に浸ってるの。そんな作者の気を使いつつ、俺達は冒険に出ないといけないの。この一ページ一ページの向こう側には、多くの読者がこちらを覗いている。作者や読者に気を使って生きていかないといけない世の中なのよ。その自覚をしなさいッ!めっ!」
ワカバは不服そうな表情でこちらを見つめていた。
「…とりあえず、それも斬ろうか。」
「話聞いてたァっ!?」
タケルは、再び全裸になった。くしゃみをしながら歩き出す。時々身体に触れる冷たい葉に俺は目覚めてはいけない何かを目覚めさせてしまったような気がした。
チメタッ…アゥ…ハァーンンッ!!!
一方その頃…
「…何処これ…何これ…やだこれ…。」
ハズキは、複数の色黒ボディビルダーに囲まれていた。
次回もお楽しみに!




