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アスからマジで生きる!  作者: ゆる


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一日目 第一話だからって第一話っぽい話なんかしないんだからねッ!


西暦一九九七年 北海道 留萌市

窓の外は雪が降っていた。

小さな粉雪が、まるで命のように舞っている。

今日、息子が生まれた。

だからだろう。世界がこんなにも優しく見えるのは。

繊細な結晶が美しさを魅せるように、世界でたった一つの生命がこの世に誕生した。

私はこの雪の結晶を傷付ける事なく、美しさを保ったまま育てる義務がある。

優しい子になるのだろうか。それとも、やんちゃで悪さばかりする子になってしまうのだろうか。

考えれば考えるほど幸せな未来が待っている。

「絶対幸せにするからね。」

私はそれから息子の為に生きた。

あっという間に月日は流れ、気付けば息子は二十五歳になっていた。

幼稚園から高校卒業まで大きな問題も起こさず、私に迷惑をかけるような事は何一つ無かった。

学業も部活も友情も恋愛もそれとなくこなしていた様子だった。

「お母様、お勤めご苦労様です。」

今、目の前でテレビに向かって横たわっているのは、二十五歳の私の息子。

お爺様のちゃんちゃんこを着て、左手で臀部を掻きむしる。その手でポテチを食べ、コーラで流し込む。

「これが世も恐れる自宅警備員…まさかウチの子に限って…。」

そう、息子は未だに何も問題を起こす事は無い。

いや、むしろ起こして欲しいくらいに何も無い。

なんせ、毎日この姿で家にいるのだから。

決して働けなんて事は言わない。


動いて?


それだけだ。

学生時代、同級生のママ友から聞いた話では、殆どのママさんが反抗期に頭を抱えていた。

私にはそれが分からなかった。


「ママ!今回のテスト中の上!無難だった!」

「ママ!今日家に彼女来る!」

「ママ!今日家に友達遊びに来る!」

「ママ!部活行ってくるね!」

「ママ!ご飯美味しいね!」

「ママ!おやすみ!」


大体これを繰り返していた。

今思えば、ママママ言い過ぎじゃない?彼女の前でもママママ言ってたな。あれ?別れたのって私が原因?いやいや、違う。ママママ言い過ぎてるからよ。せめて人前ではお母さんって呼ばせるべきだったのかしら。

いや、今更もうそんな事はどうでもいい。

今はこの自宅警備要塞を動かす事が最優先なのだ。


「ね、ねぇ武琉?今日は何してた?」

「ん?いつもと同じだよ?」


そりゃそうよね。いつもと同じだわ。

違うとすれば家の前が膝の高さ位までの雪で埋まっていた事くらい。

自宅警備員って雪掻きはしてくれないのかしら?屋根の雪下ろしとか…。いや無理か。


「あ、お母さん。」

自宅警備要塞は突然立ち上がり、鞄の中から財布を取り出した。

「これ、今月分。」

そう言って差し出したのは、一つの封筒だった。

中を見ると十万円が入っていた。


そう、自宅警備員のはずの息子だが、今年に入ってから月末に十万円を手渡しするようになった。

一度問い詰めた事がある。何か危ない仕事をしているんじゃないかと思ったからだ。

だが、本人は全否定。これまで何度も息子を見てきた。決して嘘をついているとは思えなかった。だが、働いているとも言わないのだ。

一体息子は、普段何をしているのだろうか。


私は後日、息子に仕事と嘘をついて外を出た。

向かいの喫茶店で待機し、息子が外出するまで自宅を監視する事にしたのだ。

外出したのが朝の九時。現在、午後の十三時。

断念と思ったその時、玄関の扉が開き、息子が出てきたのだ。

息子は周囲を警戒しながら、町の方へと向かった。

私達の自宅は、町まで徒歩十分程。町と言っても人口二万人の田舎、あってもスーパーやコンビニ、雑貨屋くらいしかない。反対方向に向かえば、パチンコ屋やドラッグストア、靴屋、本屋など様々な店も見えてくるのだが。

息子を尾行していると息子は近くの廃ビルへと入って行った。

「…ここって。」

廃ビルは普段閉鎖されていたはずだが、何故か鎖や立て札は撤去されていた。そして、廃ビルの各階の案内表。最上階のみ記載があった。


「…アスマジ株式会社?」


私はその場でスマホを取り出し、ネットで検索をした。

一つのホームページを見つけ、そこにはこう書かれていた。


【アスマジ株式会社!本年度オープン!】

アスマジ株式会社は、どんな会社?

アスマジ株式会社は、明日から本気で生きる!をモットーに設立した会社です。業務内容としては、今何かに困っている人をサポート、お手伝いをします。簡単に言えば、【何でも屋】です!

どんな事でもご相談ください。連絡、相談はこちらまで。


と住所や連絡先まで転載されていた。


何はともあれ、お金の出処は分かった。

それに、自分で会社を起業してお金を稼いでいたと知れて、私は涙が流れた。

そして、私は何も言わずそのまま自宅へと帰った。


十八時頃、息子が自宅に帰って来た。

「おかえり。」

この時間に私がいる事に息子は驚いていた。

「少し早く終わったのよ。たまにはゆっくり休まないとね。」

私はいつも通り自然体を装った。

私は息子の事は何も見ていないし、知らない。

今は息子のやりたいようにやらせてあげようと、見守ろうと思ったからだ。

でも、それから息子の生活は変わってしまった。

私の様子を見て、何かを悟ったのかしら。

もう今は、テレビの前で息子の姿を見る事はなくなった。

毎日顔は見ているし、元気そうにもしている。

仕事が忙しいのだと思い、私は毎日笑顔で見送っている。

私が死ぬまでは、息子の背中を押し続けようと思う。

仕事の事は、いつか話してくれる日を待つとしよう。そう胸にしまい込んだ。



【息子 留峰武琉サイド】

三ヶ月前

「えー起業するお金は無いし、事務所を借りるお金もありません。なので、此処を拠点にしようと思います。ていうかしています。」

廃ビル最上階、そこは既に自宅のようなくつろげる空間になっていた。電気や水道も使えない。だが、今の時代どうとでもなる時代だ。

百円ショップにあるキャンプ用のライトと電池を大量購入し、天井にぶらさげる。水は何本も買い込んでおく。それで充分だった。

ホームページは開設したので、あとは客を待つだけだ。


「…いや、無断で使用は駄目だろ。廃ビルだって持ち主がいるだろ?」

猪狩(いかり) 賢汰(けんた)に言われ、俺はハッとした。

「だ、だ、大丈夫大丈夫。あれだ、廃ビルとか廃ラブホに無断で入るようなもんだって。心霊スポット的なやつ。もはやお化けとでも思ってくださーい。」

猪狩(いかり) 賢汰(けんた)は溜息を吐き、「ホームページはやめとけ」とだけ言った。

ていうか、今度からルミネとイカリっ書くね?フルネームで打つの結構面倒なんですよね。

「裏社会の何でも屋?かっこいいじゃん!」

漫画を読みながら、大樽(おおたる) 俊哉(しゅんや)は言った。てか、今このタイミングで登場すんなや、フルネーム書くのダルい言うてるべ?


「…はぁ…話し合いの結果、俺達は裏で活躍する何でも屋として働いて行こうと思います。ホームページはお客が来るまでは載せておこうと思う。少しでも客が入ればそれが噂になって客が増えるかもしれないからな。安定したら削除します。それで良いか?」

二人は「異議なし!」と手を挙げた。


そんなこんなで始まった何でも屋のアスマジ株式会社は、第二話から走り始める。

第一話っぽくするつもりなかったんだけどさぁ、お母さんいい話めっちゃするやん?止められないやんそんなの。止めたら止めたで気まぢいもん。そのまま進めたら、俺達三人の出番ちょぴっとしか無くなっちゃったよ。しかも、お母さんにバレちゃったし。いや、別に隠してたわけじゃないんだけどね?もう少し安定してから言おうとかあるやん?空気読め作者コノヤロー。

思わず涙目で振り返りそうになっちゃったよ。真っ白なつなぎのスカート着て言いそうになったよ、「見つかっちゃった」って。

それにいつまでこのルミネ様に解説的な位置で語らせるの?俺主人公だぜ?今の所、ケツ掻いてその不潔な手でポテチ食べただけだよ。最低だよ…もう少しさ…


て、おいいいいいいいぃ!!!てめぇ!強制的に終わらすんじゃねえ!もう少しちゃんとまとめて終われよ!テキトーすぎんだろ作者!ベアーズロック書いてて頭おかしくなったのか?ストレス溜まってのか?おーーーーい!!!って一応言っとくか…次回もお楽しみに!

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