貴女が私に悪意を向けるように、私も貴女を許さない。
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異世界からある日やってきた貴女は、自らを『聖女』だと言い、この国に未来で何が起こるのか予言してみせた。
そうして周りからの信頼を勝ち取った貴女は、王太子殿下の婚約者である私を『魔女』だと言った。
そのせいで婚約破棄され、家族からも勘当された私は国外追放された。もう、私に失うものなど何もない。
貴女が言った通り『魔女』となって、復讐してやる。
◇◇◇
私を追放した後、王太子殿下の婚約者に貴女は収まった。
そして王宮に自室を与えられた貴女の下に、私は来た。すやすやと呑気に寝てる貴女に冷たい水をかける。
「ちょっと、何…………ッヒ! アレンティア、なんで此処にいるのよ!」
「久しぶりね、アズキ。何って、貴女が『魔女』だと私に言ったから、その通りになってあげたのよ」
「は……? 意味わかんな、」
アズキが全て喋り終わる前に、彼女の顔を掴み力を注ぎ込む。本当にアズキに聖女の力があれば、反発があるはずだがそんな事はなく私の魔力がスルスルと馴染んでいく。
「やっぱり、嘘つき。聖女の力なんてないんじゃない」
「……っ、あ、当たり前でしょ! あれはゲームの知識で、」
「まぁ、もうどうでもいいのだけど」
力を込める手を強める。脳に直接魔力を流し込んでるから、自分の脳を守るすべがない彼女にはさぞ苦痛だろう。
「いやぁっ! 止めて、やめてよぉ、ぎゃあああ!」
暫くして、もう十分かと手を離す。もうこれで、彼女は『私が命じたことしか喋れなくなった』。筆記等も出来ない。
「うふふ、これからが楽しみね?」
まだ状況が理解できていないアズキに笑いかけて、私は帰った。
◇◇◇
それから、アズキと国は大変な事になった。アズキの口を借りて、私が『今なら、隣国に戦争を仕掛けても勝てるでしょう』と大国に喧嘩をけしかけさせ、聖女である彼女の言葉を信じた王達は実行し無惨に負けた。
彼らは今、奴隷の様な扱いを受けているらしい。アズキは異世界からやってきたとしてオークションで売られていた。好色な脂ぎった爺に買われていて、面白半分で「貴方に買っていただき、光栄ですぅ」なんて言わせたものだからひどい目にあったらしい。
もう復讐は終わったから興味は無かったのだが、旦那様が楽しそうに教えてくれた。
そう、彼は隣国の魔塔に住まう『魔塔主』で、この世界でもっとも力のある魔法使いだ。
生き倒れていた所を拾ってもらい、復讐に力を貸してくれた。魔力を、私に貸してくれたのだ。その際何故か「結婚してくれ」と熱烈に求婚されて今に至る。
「アレンティア、復讐は満足した?」
「えぇ、もう飽きてしまったくらい」
「じゃあ次は何をしようかね?」
彼はこうして私に尽くしてくれる。これは、婚約者や家族に尽くしてきた私にとっては初めてのことだった。
「それにしても、貴方って変な人ね。こんな私が好きだなんて」
「君の復讐に燃えるあの瞳に惚れちゃったんだ」
私は意地悪く笑って見せた。
「あら、じゃあ今の私は好きじゃない?」
「まさか。もっと好きになったよ」
私の額にキスを落とす彼に体を預ける。
今、すごく幸せだ。
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