カレカノなつもりはない
「え」
俺と。不良三人の声が重なり、更に
視線はヒナタに集まった。
「彼女ですけどっ!!
なんか、文句ありますか??」
「いや、俺的には俺の彼女ではないけども...」
早口でそう言い、俺は
ヒナタの手を繋いで大急ぎ、そこから
走って逃げた。この辺の狭い路地は俺は熟知していて見慣れぬよそ者と思しき不良どもを巻くのは簡単だった。
不良共は途中から追ってこなかった。
ゼーゼー言いながら俺たちは
知り合いのおっさんがいとなむ喫茶店に入った。
「お、ヒナタちゃん...!!
ついに、結ばれたんだね...!!今日は
かき氷サービスしちゃおうかな!」
「え、マスター、何言ってんの?」
小さい頃から、二人してよくかき氷を
食べた店。
隣を見ると、ヒナタが顔真っ赤にしてた。
俺は大慌て、手を離す。
「...はい」
ヒナタがぼそりと呟いたあとに
マスターはかき氷を作り始めた。
カウンターの隅に。
ガキの頃はいつもそこが俺らの定位置に
なってた奥の座席。
今思えば、そこは上座で。子供ながらに
生意気なポジション取りだった。
「ヒナタちゃんはイチゴ味で、
シンジはブルーハワイだったよね?」
「はい」と返事をしたのは
ヒナタで。
俺は、
「マスター、よく覚えてるね...」
店に最後に来たのは、多分。
一年くらい前かな...。
「たった一年で忘れるわけないだろ。
ふたりの好きな味を」
「あー、そうか...。マスター何気に
記憶力いいもんね。常連客の頼むメニュー、
覚えてるもんね」
暫くしたら滅茶苦茶でかい
かき氷が出て来た。
普段の1.5倍はある。
なのに、マスターときたら、
「今日はカップル誕生のお祝いで、
大盛りサービスしちゃう...!!」
「ちょ、マスター、カップル誕生って...。俺は別に
こいつを恋人にするつもりはなくてだな。
ただ、手を繋いで走ってきただけなんだよ...」
「今日の昼休み、ヒナタに嘘告白されたんだ。だから、その恋人とかじゃなくてさ、
まだ、ただの幼馴染でさ...」
「え、そうなの...??」
もうおっさんである、マスターは目を丸くした。
「仲良く手を繋いでたから、てっきり
もう、キスとかハグとかその先も全て終えた
ものだと...。今時の子は、いろいろが早いから」
「いや、ただ、手を繋いだだけ!!
不良から逃げるために、手を繋いで走っただけ!」
「あのね、マスター!...これから、済ませる予定!!キスとかハグとか、その先も...!」
「え、おまえ、何、宣言してんの!俺は
そんなつもりは...」
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