第6話:仲直り
香奈が帰った後、俺は一人後悔していた。どうして、冗談といってしまったのかと・・・。
すると・・・。
「やっぱ素直じゃないなぁ、誠は」
気がつくと病室に雅人が来ていた。正直、こいつ今日学校は・・・・・?
「何がだよ?」
「だからぁ、何で無事かって聞いた後に、冗談って照れ隠ししたの?」
「べつに、隠してないさ。ただ・・・」
「ただ、何さ?」
「あいつは俺よりもしっかりしているから、聞かなくても大丈夫と思っただけさ」
はたして、そうだろうか。言った後に、急に熱くなって咄嗟に冗談といってしまったが。
「はぁ・・分かってないな、誠」
「だから、何が?」
「女の子は、本心からじゃなくても、聞いてもらいたいもんじゃないかな?そういうことを。香奈ちゃんも最初は、嬉しかったんじゃない?」
そう言われてみれば、そうだった。確かに、あの時香奈は嬉しそうだった。
「そうかもしれない・・・・けど、香奈。もう、帰っちゃっただろ?言い直したくても」
「いや、香奈ちゃんなら屋上にいるはずだよ」
「なぜ?」
「さぁ?それは、僕にも分からない」
「そうか、じゃっ行ってくるとするかな」
「うん、がんばって。結果は後でちゃんと教えてくれよな」
「あぁ、わかってる」
そして、俺は屋上にむかった。
屋上に着くと、雅人の言ったように香奈が一人でいた。
「香奈・・・・」
「誠?どうしたの、そんなに慌てて・・・」
「さっきのこと謝ろうと思ってな」
「さっき?」
「香奈に無事かって言ったのは、冗談なんかじゃない。けど、何て言うのかな?言った後に急に恥ずかしくなったっていうか・・・それで、冗談なんかって言っちまったんだ」
「そうなんだ」
「だから、香奈、本当にごめん。お前が無事で本当によかったと思ってる」
「ほんとに?・・心から?」
「あぁ、本当だ。次は冗談とか言わない。心からそう思ってる」
「そう・・・じゃぁ、さっきのは水に流してあげる。でも、次はないと思いなさい」
「ああ、わかってるよ」
どうやら香奈の機嫌も戻ったようだ。それからしばらくは、二人で屋上にいた。
だんだん夜に近づいてきて、少し寒い風がふいてきた。
「・・・・クシュン」
香奈がクシャミをしたので、恥ずかしながらも上着を被せてやった。
「あっ・・ありがと」
「あぁ。せっかく無事だったのに、こんなことで風邪をひかれちゃこまるからな」
「・・・そっか」
そう言いっている、香奈の顔は少しばかり赤くなっていた。
「帰るか?」
「うん。・・・・あのね、誠」
「何?」
「手・・・つないでも良い?」
途端に二人の顔が赤くなった。
俺は咳払いをして・・・
「あぁ、いいぞ」
そして、二人は手を握り合って、病室に帰っていった・・・・。
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