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第58話:タウの襲来



「なっ・・・・!?」


これは俺と竜二、どちらが言ったものか分からなかった。いきなり何が起こったのか理解できなかったからだろう。そして、竜二が倒れその向こうには


「初めましてだね、アデル!」


満面の笑みの、いかにも天真爛漫という言葉が似合いそうな女の子がいた。下ろせば肩口までありそうな真っ赤な髪を頭の上で一つに結ばれていた。そして、手にはさっき竜二を斬ったであろうコンバットナイフ系の武器。


「誰だ?お前・・・」


サイゼットを出して、相手の様子を伺いながら尋ねる。すると、そいつは頭を片手で掻きながら、


「あはは、自己紹介がまだだったね。私の名前は、タウって言うんだ」


「タウ・・・」


相手の名前を憎憎しげに呟きながら、チラリとまだ倒れている竜二を見る。すると、突然


「私の話をちゃんと聞いてよ!そんなにこいつが気になるの?私より?」


タウが勢いよく竜二の背を踏みつけ、まるでタバコの火を消すかのように足を動かした。竜二の悲鳴が上がるが、タウはそんなこと気にしない。それどころか逆に力を加え、最終的には遠くに蹴り飛ばした。


「竜二君!?」


今気づいたのか動けなかったのか分からないが、後ろから香奈たちが走ってきていた。飛ばされた竜二は、一緒に来ていたノアにキャッチされてすぐに回復が行われていた。香奈の声が聞こえた瞬間、タウの雰囲気が変わった。それを感じた瞬間、俺の体は反応していた。


「馬鹿、こっちに来るな!」


間一髪、香奈たちに行こうとしたタウを止めることができた。そして、そのまま香奈たちとは反対方向に力任せに吹き飛ばし、すぐに追撃する。俺が向かってくるのをタウは初めに見せたような笑顔で迎えた。


「あはっ!やっと私を見てくれたね、アデル!」


「黙れ!お前の目的は一体何だ!?」


「もちろん、君だよ。アデル」


心の中でやっぱりか、と思った。今までだってそうだったからだ。しかし、タウの言葉には続きがあった。


「えへへ、君を私のモノ・・にするんだぁ」


「なっ・・・!?」


何を言われたのか分からなかった。俺を自分のモノにする?てっきり、今まで通り俺を殺しにきた・・・・・と思っていただけに、この言葉はショックが大きかった。そのせいで俺の動きが止まってしまった。もちろん、タウはその隙を見逃さなかった。


「チャーンス!」


「しまっ」


その瞬間、俺とタウの間に誰かが・・・割り込んだ。その誰かは手にした小刀をすぐにタウに突き出したが、タウはすばやく自分のナイフで受け止めた。その数秒間のできごとに俺は目を見張った。いや、正確にはその人物に・・。俺は、驚きを隠せない声で呼んだ。


「ま・・・・や・・・?」


「彼に・・手出しはさせません」


タウの刃を押しとどめながら、麻耶はそう言った。離れた香奈たちも何がなんだかという顔をしている。麻耶の言葉を聞きながらタウは、楽しみの邪魔をされたと怒り深深の表情をしていた。


「私の・・・私の邪魔をしないで!!」


タウが俺がしたように麻耶を力任せに吹き飛ばした。飛ばされた麻耶はきれいに一回転して着地した。そして、再び両者はにらみ合った。

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