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第56話:彼女の決意



「だ・・・っ!?」


「声を出しちゃダメ」


誰、そう聞こうとする前に口をふさがれてしまい、身動きできなくされた。その見知らぬ人物は、明らかにこの城の人間ではなかった。声や体格から察するに彼は、口の周りだけが露出したような仮面を被り、マントを羽織っていた。


「もう一度言うよ、声を出しちゃだめ。いい?」


有無を言わさぬ雰囲気と、声を出せば殺すというのが十分に伝わってきた。私は慎重に頷いた。彼は私の拘束を解くと一歩下がって距離を取った。私は平静を取り戻すために胸に手を当てて深呼吸した。そして、彼を見るとわずかに口元をゆがめているのが分かった。


「状況の飲み込みが早くて助かるよ」


多分、私が声を出そうとしたり、逃げようとしないのをそう取ったようだった。実際、そうしたくて堪らなかった。<彼>に助けを求めたい。しかし、<彼>は今ここにはいない。自分で何とかするしかないのです。


「さて、さっき俺が言ったことの続きといこうか」


<彼>の役に立てる力。確かにそれは欲しい。そうすれば、<彼>が私を見てくれることがあるかもしれないから。でも、目の前の人物は信用できない。


「あ・・あなたは誰なんですか?それに、いきなり、そんなことを言われてもわかりません・・」


今これだけは、はっきりとさせておかないといけません。その質問に対して彼は、言ってなかった?みたいな態度を取ったが、やがてこう言いました。


「俺はただの通りすがりの親切な人間だよ」


「そっ!」


そんなことが信じられるわけがありませんでした。ここはエルム城の中、ただ・・の通りすがりなど通用するわけがないのです。でも、ここは頑張って彼のここにいる本当の目的を聞き出したいと思いました。


「・・・ちゃんとしたお名前はないんですか?」


「そうだね、俺はオーとでも・・」


「O・・・・?」


ちゃんとした名前とは言えませんが、私ではうまく聞き出せそうにないのでこれで終了です。さて次は本題です。


「力・・とは、具体的に何なのですか?」


すると、彼はマントの内側から見た目は、何の変哲もない小刀を取り出して私に差し出しました。もちろん、私は恐かったし、まだOを信用していなかったので、受け取ることはせず小刀を眺めるだけです。


「これはポータルと言ってね、人の想いを力にするものなんだ」


「想いを力に・・・・?」


「そう。例えば、君の愛しき人プリンスに対する想いの強さによって、こいつはその分の力を発揮するんだ」


「私の・・・想い」


私の彼に対する想いは、香奈ちゃんと同等くらいの自信はある。いや、この際だからそれ以上と言ってしまいましょう。


私、神宮麻耶じんぐうまやは、彼、新井誠あらいまこと


心から愛しています--------でも、


「・・・・でも、どうしてそれを私に?」


Oは何が面白かったのかは分かりませんが、突然笑い出しました。私は懐疑的な視線を彼に向けました。すると、Oは「フフッ、ゴメン」と一度謝ってから、こう言いました。


「それはね、君が一番・・・・彼に相応しいと思ったからだよ」


「っ!?」


どうしてこうもこの人はさっきから、私の心をこうも突いてくるのでしょう。でも、このまま彼の口車に乗せられるわけには・・・・。


「それにさ、これから現れる敵はどんどん強くなっていくわけだよ?そんな中、彼の役に立てるのが果たして君の周りに何人いるのかな?」


香奈ちゃんやアリシアちゃんは、確実に戦闘向きではないし。ティアちゃんは、戦えるみたいだけどまだ良くわからないし・・・・。こう考えている間にOは目の前まで来て、私にポータルを差し出してきます。


「さぁ」


そして、私は----------

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