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第52話:迷い消え

更新が遅れてしまって、申し訳ありませんでした。



そして、今日とうとう雅人とノアの試合の日がやって来た。ノアは昨日あんなことを言っていたがはたして大丈夫だろうか?後でもう一度釘でも刺しておくべきか・・・。いや、あっちは問題ないのか。今の俺の一番の問題は・・・そう、ティアの願いのことだ。ノアが負けるとは今まで彼を見てきたからあまり思っていないが、万が一・・・ということが世の中にはある。いったいどんなことを言われるのやら。それを考えると昨日の夜は、ある種の恐怖でよく寝ることができなかった。


「お兄様、なんだか今日は体調が優れないようですけど、大丈夫ですか?」


そんな俺の不調を見抜いたのかアリシアが心配そうな声で訊ねてきた。一様、隠してつもりだったのだが、バレていたのか。俺は意識してもう一度平静を装った。


「あぁ、何でもない。大丈夫だ」


「そうですか、だったらいいのですけど。もし、悪いのでしたら無理しないで下さいね。お兄様はいつもいつもいつもいつも(以下、略)無茶ばっかりするのですから」


アリシアは表面上はニコニコなのだが、目が・・・・。ん~、俺ってそんなに無茶したか?まぁ、高熱なのにいつも通りすごしたり、凶暴なハグレ召喚獣を小さいときにたった一人で狩ったことはあったが、あれらのことだろうか。べつに大したことじゃないと思うのだが。


「えっ?誠ってアリシアちゃんがそこまで言うほどの無茶してきたの?」


と、俺とアリシアの話を聞いていたのか香奈が入ってきた。よくみればその向こうの麻耶も聞き耳を立てているようだった。


「えぇ。もう心配ばかりで気苦労が絶えません」


「誠ぉ~、アリシアちゃんに心配かけてばかりじゃダメじゃない」


この言葉には少しムッとした。


「それじゃぁ、いかにも俺がしっかりしていないみたいじゃないか」


「そっ・・・そこまでは言ってないけど、心配のかけ過ぎは良くないわよ?」


まぁ、確かにその通りかもしれないが。でも、アリシアの心配は少し過保護的だと思うのだが。とりあえず、ここは頷いておくことにした。


「まぁ・・・・そうだな」


「分かればよろしい」


急に偉そうになったな・・・。俺はちょっと苦笑いを浮かべて訓練場を見た。そこには4メートルくらい開けて、雅人とノアが対峙していた。そろそろ試合が始まるようだった。


「ノアさん。今日はよろしくお願いします」


雅人はいつも通りに雰囲気でノアに試合前の挨拶をした。対してノアはいつもとは違って元気がないというか、悩み事があるような暗い雰囲気だった。そして、ノアは意を決したように口を開いてこういった。


「雅人様・・・・・やはりおやめになりませんか?」


「えっ?」


ノアの言葉が以外だったのだろう。雅人は唖然とした表情をした。今ノアはなんと言った?やめませんかと聞こえた気がする。けど、自分よりももっと強いはずのノアからそんなことを言うわけがない。雅人は無意識にそう思った。


「どう・・して・・・?」


「これは、昨日アデル様にも申し上げたことなのですが・・」


ノアは昨日アデルに言ったことと同じことを話した。べつに、逃げたとか臆病者と思われてもいいと思った。もし、なにかあってアデル様が傷つくぐらいなら、と。しかし、雅人の反応はノアの予想外のものだった。


「確かに、ちょっとは絶望するかもしれません。でも、そうなったら多分・・次は勝つって気持ちのほうが大きいと思います」


話しながら雅人は、ツインカリバを弓を引くように構えた。そして、しっかりとノアを睨みつけた。今まで数々の戦場をかけて来たノアが少し怯むほどに。


「それに、ノアさんが簡単に負けちゃったりしたら、誠本気で怒りますよ・・・きっと」


ここで、雅人はニコリと笑った。その顔を見てノアは突然吹き出した。近くの人たちが驚いた顔でノアを見ている。


「ど・・・どうしたんですか?」


「いっ・・いえ、何も・・・」


何とか笑いを抑えながら、ノアは思った。雅人を見ながら思っていたこと、それは年齢は違うが今の雅人は小さい頃のアデルに・・・・・・・・・そっくりなのだ。

アデル様・・・私はどこかで雅人様を恐れていたのかも知れません。でも・・いや、だからこそ本気で戦わなくてはあなた様に失礼ですね。

ここで、ノアは一度目を閉じて深呼吸をして、開いた。その顔にはもう迷いの表情はなかった。


「雅人様、私が間違っていました。失礼しました」


「じゃっ・・じゃぁ?」


「はい。そろそろ始めましょう」


「はい!!」


待っていたこのときを。雅人は元気一杯の返事をして、それが試合開始の合図となった。

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