第42話:香奈の決意
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「うっ・・・うぅ・・・・」
あんなに仲がよかったのに・・・敵だったなんて・・・。突然告げられた事実をすぐには、受け入れることができず、勢いに任せて飛び出してしまった。そして、少し落ち着いてきたころには、城の庭園まで来てしまっていた。
「庭園?・・・私、ここまで来ちゃったんだ・・」
その時後ろから誰かが走ってくる気がして、後ろを見ると息切れで顔を赤くしている麻耶の姿があった。
「はぁ・・・・・はぁ・・・・」
「麻耶ちゃん・・・・?」
それから、麻耶が落ち着いてから、二人はどこか座って話ができるところを探して歩き出した。数分後、小さな屋根があって中に丸いテーブルと椅子がある場所を見つけたが、そこには先客がいた。
「あら、香奈さんに麻耶さん。いらっしゃいませ」
「アリシアちゃん?」
「お二人もいかがですか?」
アリシアは二人に紅茶とお菓子を勧めてきた。香奈と麻耶は、とりあえず一緒にお茶を飲むことにした。アリシアは、香奈と麻耶が一口ずつ紅茶を口にしたのを確認してから口を開いた。
「香奈さん・・・・兄から聞いたとは思いますが・・・」
「うん・・聞いた。私・・とても信じられなくて・・飛び出しちゃったの・・・」
「香奈ちゃん・・・」
「やっぱり・・・私が間違ってるのかな・・・?」
「香奈ちゃんは、間違ってないと思う・・」
「私もそう思います。そして、それは兄たちもわかっているはずです」
そうだよね・・・。香奈は内心同意したが、本音は少し不安だった。アリシアは、また一口紅茶を飲んでから、話を続けた。
「憎いですか?兄のことが」
「えっ?・・」
「敵だったとはいえ、ルナさんとカルヴィナさんを殺した兄が・・」
「そ・・・れは・・・・」
憎いかどうかで聞かれたら、確かに憎い。けど、誠はそうしたくてしたんじゃないことぐらい香奈には、分かっていた。だからこそ、この問いには答え難かった。
「そうかもしれない・・けど、誠は殺したくてしたんじゃないことだって、ちゃんと分かってるの・・」
「なら、これからどうしますか?」
もう・・あの二人みたいに戦う存在の人たちじゃなくて、自分のような普通の子しかいないような平和な世界になってほしい。そのためには、この戦いを一刻もはやく終わらすしかないと思う。けど、何の力もない自分ができることって・・・・。
「戦いを終わらすしかないと思うの・・」
「どうやってって聞かれると、ちょっと困るけど今はそれしかないと思う」
香奈の静かな決意を聞いたアリシアは、軽く息を吐いて頷いた。麻耶も真剣に受け取ったようだった。
「・・・ふぅ、確かに今はそれしかないと思います」
「うん」
「ありがと・・二人とも」
何だかスッキリした気分だった。後で、誠に謝ってから、今のことを伝えようと、香奈が思っているとアリシアが香奈の少し後ろに目を向けて、
「・・だそうです。お兄様」
「えっ!?」
なんといつの間にか香奈の後ろに誠が立っていたのだった。その後ろに雅人もいた。二人ともいつから立っていたのか知らないが、後で言うつもりだったことを聞かれていたと思うと恥ずかしくなって、香奈の顔は少し赤くなった。
「香奈・・・本当にすまないと思っている」
「もういいよ、誠。ちゃんとわかってるから・」
わかってるから・・・・。心の中でもう一度呟いてみたが、彼女らとの思い出が不意によみがえってきて、涙が流れ出してしまった。そして、そのまま香奈は誠に抱きついて泣いた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
そんな香奈を誠は優しく抱きとめて、頭を撫でながら言った。
「わかってる。香奈の言う世界・・・きっと作ってみせる・・」
「うっ・・うぐっ・・・・」
「だから、もう泣くな。な?」
「う・・うん」
香奈が泣き止んで一件落着かとこの場の全員が思ったところに、ノアが血相変えて走ってきた。
「アッ・・アデル様!大変です!」
「そんなに慌ててどうした?」
「クゥーリャンに敵が攻めて来ました!」
「何!?」
そして、次にノアは全員を驚かすことを言った。
「しかも確証はありませんが、デビルカウンターのメンバーがいるもようです」
「誠・・・」
「っ・・・・行くぞ!クゥーリャンに・・」
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