第40話:姉妹の絆
更新が遅れてすいません。
「それじゃぁ、久しぶりにアレやってみるわよ、ジータ?」
「うん、おねぇちゃん」
「・・・・・・・」
どんな技か、そんなことは見てみないと分からないが、自信があることは分かる。二人は、各々武器を構えて、同時に動き出した。イータを先頭にして一列にならんで走ってきた。俺もサイゼットを構える。不意打ちか・・・・。後ろから急に飛び出して攻撃・・そんなものだろう、と思った。けど、そんな単純な攻撃で俺を倒せると思っているのか?
「戦いの最中に考え事?」
イータが鎖鎌の鎌を振り下ろしてきた。俺はそれをサイゼットで受け止めた。受け止めた瞬間、イータの真上を飛び越えながら、ジータが射撃してきた。これは予想していたことだったので、俺は左手を突き出して盾を形成して、銃弾を防ぐ。
キンキンキンキン!
「これで終わりか?・・・そうじゃないだろう?」
「もちろん!」
イータが距離を取った。そして、瞬時に火炎弾を形成、発射。けっこう大きかった、が、サイゼットで真っ二つにした。割れた二つは当然、後ろに飛んでいくだろう。そしてそこに新たな影が飛んできていた。
「!?」
「「エクシアラスライン!!」」
それはジータが放った巨大な氷の塊だった。これと火球がぶつかって、巨大なエネルギーが生まれ、爆発した。俺は、防御することもままならず大きく飛ばされて、城の壁面にぶつかった。
「ぐふっ」
ガァーーン!
ふ・・そういうことか、最初のは言わば、囮。本命はこっちか、つくづく面白い、あちらサンは・・。
アデルは、沈黙した。二人は心底、つまらなさそうだった。
「ねぇねぇ、おねぇちゃん。もう終わりなの?」
「そうかもね」
「香奈ちゃんのことはどうするの?」
ドックン・・・
か・・・な・・・・・
「そうね、一応殺しておきましょうか」
香奈を・・・殺す・・・だと?アデルの中に香奈との思い出がよみがえって来る。あの笑顔を守りたい、ただそれだけ。そして、アデルがまた動き出した。その瞬間、ジータとイータに悪寒が走った。今までに感じたことのない強い魔力を感じたからだ。
「「!?!?」」
「くっ・・くくく、香奈を殺すだと?やってみろ、その瞬間お前たちの存在を消してやる」
イータは驚愕した。アデルの魔力がさっきよりも格段に上がっているからだ。
な・・・なんなの?さっきまでは、手加減してたってこと・・・?それとも、まだ先が・・・あるっていうの・・・・!?
二人は落ちつきながら、また武器を構えて、アデルを睨み付けた。が、今のアデルには当然効果はない。アデルのほうは、ニヤニヤしていた。まるで、二人の処分方法(殺し方)を考えているような・・。
「く・・・もう一度、アレを仕掛けるわよ」
「うん・・・」
二人はまたエクシアラスラインを仕掛けた。対して、アデルは最初と同じように動かなかった。イータが鎌で攻撃。しかし、すでにそこにアデルの姿はなかった。
「!?」
「おねぇちゃん、上!」
ジータがいち早く気づいて、上にいるアデルに射撃。アデルは盾で防御しながら、急降下してサイゼットを振り下ろした。ジータは、腕をクロスし銃でガードするも威力が強すぎて、バランスをくずしてしまった。ジータを救うためにイータは、鎖をアデルに飛ばす。しかし、サイゼットで切られてしまった。
「黙ってみてろよ」
「そんなことさせない」
イータは決死の覚悟でアデルに突貫した。アデルはサイゼットを一閃した。イータは思わず目を閉じてしまった。しかし、いつまでたっても切られた痛みが来なかった。目を開けるとそこには、代わりに切られたジータの姿。
「ジー・・・タ?」
「お・・・ねぇちゃん。役に立てなくて・・ごめん・・ね」
ジータは涙をながしながら、謝罪した。イータは必死に否定した。役に立っていないことなんてない、と。そして、ジータは息を引き取った。イータは、ジータの体を抱きしめながら泣いた。
「ジータァァァァァァァァァァァァ!!!!」
その様子をアデルはずっと見守っていた。これで、分かっただろう?大切な人を失う悲しみが!お前たちは、今までたくさんその気持ちを生み出していたんだぞ!アデルは、母のことを思い出しながら心の中で怒鳴った。そして、イータが泣き止んだころアデルは立ち去ろうとしていた。しかし、
「待ちなさいよ・・・・」
振り返る。イータが右手に自分の武器の鎌を左手にジータの銃を握っていた。イータは目を真っ赤にさせながら、
「よくも・・ジータを・・・許さない!」
叫ぶとともに銃を乱射しながら、向かってきた。アデルは、サイゼットで弾きながら、思う。
妹を失っておきながら、まだ戦うのか。そのアデルに死んだはずのジータの声が聞こえた。
(お願い。おねぇちゃんを助けてあげて。ホンとは、もう戦うのは嫌なの)
「!?」
何だ・・・ジータの声?そう思うアデルにジータはもう一度願った。
(お願い)
・・・・・・分かった。アデルは了承した。この間にイータは目の前まで来ていた。
「覚悟!」
「・・・・すまない」
小声で謝ると同時に、サイゼットの刃をイータの胸に突き刺した。イータは、振り上げていた腕を力なく垂らして、最後には倒れた。失われていく意識の中、イータはジータに謝った。
(ごめんね・・ジータ)
(そんなことはないよ、おねぇちゃん)
(!?)
ジータの・・声?イータの耳に確かにしんだはずのジータの声が聞こえた。
(でも・・私・・)
(もう、休もうよ、おねぇちゃん。私たち、今までたくさん戦ってきたでしょ?だから・・・)
(・・そうね)
(さ、行こう)
(うん)
イータは最後に笑顔で息を引き取った。その顔は、とても美しかった。
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