第39話:ジータ、イータ
マスティ姉妹が現れてもう数日がたった。その間、何もなかったと言えば嘘になるが、それは余談だ。そして、ある日の夜いつも通りに寝ようとした時だった。さて、そろそろ寝るかと思ったときだった。
「!?」
部屋の外に誰かがいる気配がする。俺は、サイゼットを出し、気配を殺して少しずつ近寄っていき、勢いよくドアを開いた。
バンッ!!
「「きゃっ!?」」
「?」
そして、そこにいたのは、例の姉妹だった。夜なので二人とも寝巻き。もちろん、お揃いだった。俺は、短いため息をして、サイゼットをしまった。この二人はある意味運がよかった。なぜなら、寝てるのを起こしていたら、問答無用で真っ二つだから。俺は、とりあえずなぜいたのかを聞いた。すると、姉のルナが、
「えへへぇ~、ちょっとねぇ」
「ちょっと、何だ?」
こいつ・・・・話をはぐらかしやがって・・・・!俺が微かな怒りを押し殺していると、今度は妹のカルビィナが、
「ちょっと話があって、入ってもいいですかぁ?」
話?寝る時間になって言うことなのか? 俺は、怪訝に思いながらも入室を許した。二人は、キョロキョロと部屋の中を見回した後、ベットの上に揃って腰掛けた。俺は、とりあえず正面にイスで座ることにした。
「それで、話とはなんだ?」
「単刀直入に聞くわ、あなたはいったい・・・・」
ここで、ルナは妙な間をおいた。俺はどんなことを言うのか、分からなかった。そして、次に放たれた言葉は耳を疑うものだった。
「いったい、誰が本命なの?」
「は?」
何を言われたのか、まったく理解できなかった。本命?何だそれは・・・・。
「なんのことだ?」
「だから、誰が好きなのかってこと」
好き?好きとはあの、恋愛感情の好きか?不意打ちのせいで、頭がよく回らない。
「麻耶?まさか、妹?私たちのどちらか?・・・・・・やっぱり、香奈?」
ドックン
俺の微かな表情の変化を読み取ったのだろう、ルナは満足した顔でカルビィナに言った。
「やっぱり、そうみたいだよ、カル」
「うん、そうだね、おねぇちゃん。やっぱり香奈ちゃんをさらって正解だったね」
ん?・・・・・待て、今聞き捨てならん言葉が聞こえたぞ。香奈を・・・さらった?ということは、まさか・・・・こいつら。
「お前たち・・・・・・デビルカウンターか?」
「「クス・・・・ご名答」」
三人同時に窓の外に飛び出した。地面に降り立ったときには、全員すでに武器を構えていた。俺はもちろん、サイゼット、ルナは鎖鎌、カルビィナは小銃が二丁。
「だから、お前たちを泊めるのに反対したんだ・・・・・」
俺はこのときになって愚痴をこぼした。二人は、俺の愚痴に少し驚いているようだった。
「気づいていたの?私たちが敵だってことに」
「いや、今知った。普通怪しく思うはず、いくら川をつたってもここには来ない」
「くっ」
ルナはもっとまともな理由を考えればよかった、と思っているようだ。俺はそんなことより、そういえば、本当の名前聞いてないなって、考えていた。
「まぁ、自己紹介でもしたらどうだ?」
「ふっ・・まぁいい。私の名は、イータ」
「私は、ジータです」
ルナがイータで、カルビィナがジータか・・・・、やっぱ偽名か。雅人たちがくるのは、もう少しかかるか。なんとしてでも、香奈を取り返さないと・・・・。
「香奈はどこだ?」
「んふふ、勝ったら教えてあげる」
ちっ、やっぱり素直に白状しないか。仕方がない、ここは強行策といくか。
俺は、一度目を閉じ、深呼吸してから開戦宣言した。
「さぁ、始めようか?」
「ジータ、行くわよ!」
「はい!」
俺は二人に向かって走り出した。二人もこっちに走ってきている。すると、始めにジータが連射してきた、俺はそれをサイゼットを回転させて全て弾いた。
「あまいな」
「そっちがね」
「!?」
銃弾の中からイータの鎖鎌の鎖が飛んできて、サイゼットに絡まった。俺はそれを思いっきり引っ張ってイータを近づかせた。
「きゃ!」
そのまま切り殺そうと思ったのだが、ジータの射撃によって防がれた。攻撃はできなかったが、鎖ははずすことができた。イータが離れ、再びにらみ合うかっこうになった。
「なかなかやるな」
「そっちもね、でもこの技で」
「やられちゃってください」
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