第35話:突然の乱入者
アデルは、サイゼットを構えてデルタたちに近づいていった。雅人たちは、香奈が出てくると思ったが、そうではなかった。彼らは、400近くの敵の一番奥に引っ込んだのだ。そして、
「さぁ、ここまで来ないと、彼女を取り返せないよ?」
こんなことを言った。雅人は、奥歯をギュッと噛み締めた。
(こいつ!?どこまでくさってるんだ!)
「さぁ、この数を相手にどこまでいけるかな?」
それが合図だった。魔法使い軍がいっせいに攻撃を開始した。誠は、単身敵軍に突貫した。そして、直前で停止。
「なんだなんだぁ!?怖気ずいたのかぁ?」
まぁ、行動で判断するならそう思うだろう。ここまでの動作ならば・・・・・。敵・・まぁ、兵Aでいきましょうか。兵Aがこう言った瞬間、突然ノアが叫んだ。
「いけません!それ以上アデル様を怒れせては!」
「あぁ?何言ってんだあいつ?まぁ、いい。死ね」
兵Aはノアの警告を無視し、アデルに対し、剣を振りかぶった。対しアデルは、サイゼットを水平に思いっきり、なぎ払った。兵Aは、
(俺の方が速いぜ!褒美はもらった!)
しかし、兵Aの攻撃がアデルに当たる事はなかった。その前に兵Aの上半身が、前に倒れたからだ。
(ごふっ!?・・・なん・・だと、見えなかった・・・)
兵Aだけではなかった。後ろの200近くの兵が同じようになっていた。たった一振りでだ。これには、デルタも顔色を変えた。雅人は、威力が予想外すぎて身動きが取れなかった。この中でノアは、いち早く衝撃から立ち直り部隊に指示を出す。
「っ・・・・アデル様を援護するんだ!」
ノアの激励によりこちらも動き出す。もちろん、雅人もだ。アデルは、敵を片っ端からかたずけていく。敵の数が少なくなったところで、アデルは一気にデルタのところに飛んでサイゼットを振り下ろした。しかし、
ガキィィィィィィン!
それを香奈が刀で受け止める。止められると同時に流れるように、鎌の刃がついてない方を振り上げる。これは、普通に避けられる。二人はいったん距離を置いた。
「誠、あなたは私が殺す・・・・」
アデルは何も言わない。ただ、香奈を見つめるだけだ。そして、二人が同時に動き出す。香奈が刀で突く、それを避けながら鎌でなぎ払う。しゃがんで避け、左手から魔弾を放つ。アデルは腕に魔力をまとわせて、それをはじく。
ーーーー雅人側ーーーー
「はぁ!」
ずばっ!
「クギャァァァァ!」
(誠たちはどうなったんだ?・・)
敵の召喚獣を倒した後、雅人は誠たちのほうに目を移した。そこでは、誠と香奈の激しい応酬
が行われていた。そして、その向こうでデルタが誠に向けて魔法を放とうとしているのが見え、雅人は焦って走り出した。
(あいつ!・・・誠はやらせない!)
場所は、戻ってアデルたちのところ。未だに、二人の攻防は続いていた。その様子を見ながら魔法を放とうとデルタが構えた。
(くくく・・・いただきますよ?)
そして、氷の塊を放った。雅人は、全力で走りながら(だめだ!間に合わない)と思った。アデルは避ける間を香奈に与えてもらえないようだった。本気ならばすべてすぐにかたがつくだろうが、相手は香奈なのだ。雅人は、思わず目を瞑ってしまった。
バゴォォォォォォン!
「くっ・・・・・」
そして、目を開けたとき。そこには、信じられない光景があった。
「大丈夫?」「グルルゥ・・」
大きな熊の召喚獣と一人の青年がいたのだった。さっきの攻撃は熊が防いだのだろう。さすがに新しいキャストが出るとは、思わなかった全ての人が驚いた。デルタが代表の感じで聞いた。
「誰です?あなた」
「うち?うちは、竜二。大岩竜二」
誰もこのときは、竜二の自分のことを「うち」と言ったことを突っ込めなかった。そして、竜二は、
「あぁ、こっちはグレン。うちの相棒」
「グルァァ!」
どうやらあの熊の召喚獣の名前はグレンというらしい。自己紹介をした竜二はアデルに向かって、
「こいつはうちが仕留めるわ。そっちは時間稼ぎしてくれん?」
「時間稼ぎだと?」
「うん。こいつを殺せばそのこの洗脳は解けるから」
「・・・・・信用できるのか?」
「それは信用してもらわないと。それにいつかは殺すんだからさ?」
(確かにこいつの言うことは一理ある。この場合は仕方がないか・・・)
「いいだろう。そいつは任せた」
「うん。じゃぁ、行くよ?」
そして、乱入者との共闘が始まった。
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