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第34話:香奈の本心

ここは、この間奪取し、香奈がさらわれた基地。今、ここでは、デルタ・香奈・その他魔法使い(召喚獣を含む)が、基地を奪い返しに来ていた。


ドゴォォォォン  


「なんだ!?あの召喚獣の数はぁ!?」


基地にいた一人の兵隊が叫んだ。他の兵隊も驚愕した。召喚獣の数が、300近くもいるのだ。全体の数で言えば、400近くになるだろう。対してこちらは、召喚獣をだしてもせいぜい100ちょっと、あきらかに分が悪かった。


「早く、応援を呼ぶんだ!」


「はっ・はい!」


ーーーーエルム城ーーーー


ドタドタドタドタ!


「早く、応援を向かわせろ!」


さっきから兵たちが騒がしい・・・・しかし、誠はあまり気にしなかった。そんな誠のいる部屋のドアを叩く者がいた。


ドンドン!


「誠、大変だ!この間の基地が敵に攻撃されててやばいって」


「それで?」


興味はない・・・いや、なかったというべきだろう。雅人のこの言葉を聞くまでは、


「敵の部隊の中に、香奈ちゃんがいたって!」


「なんだと?」


バン


やっと誠が部屋から出てきた。そして、雅人の肩をつかんで、


「それは本当か!?」


「うん・・・でも」


「でも・・・何だ?」


雅人はこれより後は、語りたくないようだったが、ようやく言った。


「その・・・攻撃・・香奈ちゃんもやってるらしい・・・」


「な・・・・!?」


(なん・・・・だと?あの香奈が・・・・)


そんな馬鹿な。誠はそう思った、あの優しい香奈にそんなことができるとは、思っていないからだ。でも、それは香奈が正気だったらの話だ。


「だから、俺たちで止めに行って・・・そして、取り戻そう!」


「あぁ・・・・・!」


ーーーー基地ーーーー


「何だこれは?・・・」


誠たちが着いた時には、ほとんどかたがついているようだった。今、誠たちの前にあるのは、基地から逃げようとして殺されたのだろう魔王軍の兵隊の死体だ。見事に、バラバラにされていた。誠たちが先に進もうとした時だった。


「ぎゃぁぁぁぁ!」


遠くから誰かの悲鳴が聞こえたのだ。誠たちは、すぐに声のしたほうに向かった、そしてそこで見たのは、


「か・・な・・・?」


香奈が一本の刀で、こちらの兵の心臓を一突きした状態で立っていた。先ほどの悲鳴はその兵だろう。香奈の後ろには400近くの敵がいた。そのうちの指揮官らしき男が、出てきて自己紹介をした。


「初めまして、魔王の息子くん。俺の名は、デルタだ」


そして、香奈に「そろそろそれを抜いたらどうだ?」と、ニヤニヤしながら言った。香奈は、というと


「はい、デルタ様」


デルタは、香奈の肩に手を置いて、


「かわいい人形だろう?」


置かれた香奈は、ただ無表情に、そして、身動き一つ取らずに立っていた。


「貴様・・・香奈になにをした?」


「ん〜、簡単に言ったら、洗脳ってやつかな」


「お前・・・なんてことを!」


「何てこと?これは戦争なんだよ?」


「でも・・・」


尚も雅人が食いつこうとすると、


「なぁ、君も言ってやってよ」


「香奈ちゃん?・・・・」


「戦争ならば、仕方がないことだと思う」


「なっ・・・」


「本心か?香奈」


「えぇ、そうよ。でも、私がこんなことになっても何とも思わないでしょ?」


「そんなことはない」


誠は、心から否定した。しかし、


「嘘よ、誠はこっちに来てから私のことなんて、気にも留めていなかったじゃない」


「寂しかったのなら、そういえばいいだろう?」


「そんな暇なかったじゃない。ねぇ?私のこと本当はどうでもいいんでしょ?」


「お前!香奈ちゃんに何言わせてんだよ!」


洗脳されているのなら、この言葉はデルタのものだと雅人はふんだ。しかし、


「いいや、これは彼女の本音だよ」


「もう誠のことなんか嫌いよ」


「そうか・・・」


「私はこれから、こっち側で戦うわ」


「そうか・・・」


「だから、さようなら・・」


ブチッ!


その場にいたもの全員が何かが切れる音を聞いた。そして、その瞬間急に気圧が上がった気がした。


「!?」


(なんだこの圧迫感は!?)


雅人は周囲を見て、すぐに元凶を見つけた・・・・・・。誠だった。


(誠だ!?・・・・)


そこで、ノアがおびえる声で言った。


「大変ですよ、雅人。アデル様完全にぶち切れてらっしゃる」


他の人のことなど眼中にない誠は、一人前に一歩踏み出した。

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