表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/67

第32話:二本刀のシータ

「きゃぁぁぁぁ!!!」


「っ!?」


香奈たちのところに向かっていると、その方向から麻耶の悲鳴が聞こえた。誠は、走り出した。


ーーーー香奈たちがいる場所ーーーー


(誠・・・・大丈夫かな・・・)


後衛で待っている香奈は、ずっと誠のことが心配だった。さっきから、あちこちから戦いの音が聞こえていたからだ。ふと、隣にいた麻耶が、


「誠さんたち、大丈夫ですよね?」


「えっ?・・うん、もちろん」


麻耶も心配なのだろう、彼女も心配そうな顔で戦場のほうを見ている。この少しの会話からしばらく経って、誠たちのほうでは戦いが終わったころだった。突然、後ろから悲鳴が聞こえたのだ。


「ぎゃぁ!」「うわっ!」


「!?」「えっ・・?」


振り向けば、兵隊たちが皆死んでいるではないか。その死体の向こうに、一つの人影があった。そいつの手には、二本の刀が握られていて、兵たちの血が滴り落ちていた。そいつは、一歩一歩ゆっくりと近づいてくる。香奈は、麻耶をかばう形で後づさった。


(何なの?・・・この人はいったい・・・)


「だ・・・誰・・・なの?」


すると、そいつは刀を腰の鞘にしまって、


「私は、シータというものです」


「シータ?」


「はい。あなたたちが探しているデビルカウンターの一人です」


デビルカウンター、その言葉を聞いた瞬間、香奈の体は完全に動かなくなった。後ろの麻耶は泣きかけている。


「先ほどまで用事でいなかったのですが、帰ってきたらこんなことになってたんで」


香奈は、残った勇気を振り絞ってシータに言った。


「な・・・なら、助けにいったら?・・・」


すると、シータは考えるそぶりを見せて、頷いた。


「そうですね」


その答えを聞いて、香奈は少し安心した。自分たちはあきらかに兵隊ではない、殺されないだろうと思ったからである。しかし、


「と、その前にあなたたちにも、死んでもらいます」


「えっ?・・・・ちょっ・・ちょっと待ちなさいよ!」


「?」


「私たちはどう考えても兵隊じゃないんだから、見逃してくれたって・・」


香奈は必死に説得した。でも、シータは聞いてくれる様子ではなく、刀を抜いて近寄ってきていた。


(どうする・・・私に何が・・・・)


そう考えたところで、視界の隅に死んだ兵隊の刀が見えた。香奈は急いでそれを拾って、シータに向けた。


「やりますか?」


以前、歩みは止まらない。そのシータに向けて、死んだと思われていた兵隊が踊りかかった。が、あっけなく殺され、血が噴水のように飛んだ。それが、麻耶の視界に入った。今度こそ、麻耶は耐え切れなかった。


「きゃぁぁぁ!!」


悲鳴を上げて気絶してしまった。


「まっ・・麻耶ちゃん!?」


「おやおや、大変ですね」


「!?」


シータはすぐそこまで来ていた。香奈は、意を決して刀を振り上げた。そこに、


「香奈ぁぁ!!」


「誠ぉぉぉぉ!!」


誠の姿を確認したシータは、誠の焦りようを冷静に見て。


(ふむ・・この子は、魔王の息子にとって大切と見ました)


そう考えるやいなや、シータは香奈のお腹に拳を入れ気絶させ、担ぎあげた。


「てめぇ!誰だ!?香奈をはなせ!」


「私の名は、シータです。デビルカウンターの一人です。残念ですが、この子はお預かりいたします。では」


誠の質問に答えると、シータはそっこうで消えた。間に合わなかった、誠は地面に膝をついて、拳を叩き付けた。地面が軽く陥没するほどに・・・・。


「くっそぉぉぉぉ!!」


そこに、雅人やノア、兵隊たちが帰ってきた。


「誠!大丈夫か!?」


「これは・・・・」


「何があったんだよ!?」


「・・・香奈が・・・さらわれた」


「なっ・・・」


「俺の・・・・・・・・くそぉぉぉぉぉぉ!!!」


戦いの後の戦場に、一つの無念の叫び声が響いた。

よかったら、感想をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ