第31話:最初の敵、パナインク
誠の開始宣言がされた。それと同時にパナインクの面々は、各々武器を構えた。アルファは、長剣。ベータは、薙刀。ガンマは、二挺の拳銃だ。誠もまた、サイゼットを出す。戦いが始まろうとした瞬間、誠のところにノアがやってきた。
「アデル様!私も」
「いや・・お前には、お前の仕事があるだろう?」
「しかし!・・・」
「俺が負けるとでも?・・・」
その言葉には、有無を言わせぬ迫力があった。ノアは、それに負けて
「・・・・わかりました、ご武運を・・・」
そう言ってノアは、部下の指揮に戻っていった。
「さて、邪魔者もいなくなったし。今度こそ始めますか」
「あぁ!」
返事をしたのは、リーダーのアルファではなくベータだったが、誰もそんなことはきにしなかった。
「スパイラルアタックを仕掛けるぞ」
「?」
アルファの指示と共に、パナインクは一直線にならんで突っ込んできた。誠は、サイゼットを構える。長剣を水平に構えて突っ込んでくるアルファ、誠はそれを横に避ける。すると、そこにベータの薙刀、これを上に跳んで避ける。今度は、ガンマの射撃、サイゼットで全て跳ね返す。
「「「!?」」」
「くくくく・・・こんなくだらない技でよく今まで生き残ってこれたな」
「次はこっちから行くぞ?」
確認のような発言と共に、今度は誠が・・・・消えた!?ように三人には見えた。次に誠が現れたのは、真後ろだった。
「なっ!?」
代表してアルファが驚きの声を上げた。誠は、サイゼットを使い流れるような動きで三人を吹っ飛ばした。
「ぐっ」「がっ」「くふっ」
「おいおい、まさかもう動けないなんてことはないよなぁ?」
誠は、サディスティックな笑みを浮かべて言った。それでも、一応三人はデビルカウンターの一員だった。立ち上がって、己が武器を構える。誠は、笑みを深めて
「そうそう、それでいい・・・」
「もう一度、スパイラルアタックを仕掛けるぞ!」
「つまらん、他に技はないのか?」
そういっている間に、三人は迫ってきていた。誠は、さっきのように避けるそぶりは見せなかった。アルファは、何をするつもりだ?と怪訝に思ったが、すぐにそのことを消して誠に挑んだ。
「あまいな・・・ほんと」
サイゼットを横に一閃、アルファの両腕が吹き飛んだ。その両手に持っていた剣が、ガンマの肩を軽く切り裂いた。
「が・・・があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」「くっ!」
アルファの悲鳴とガンマの呻き声。それを聞いたベータは、何が起こったのか分からなかった。アルファは、地面でもがき苦しんでいる。
「所詮は、この程度か・・・・」
誠は、落胆しているようだった。二つの世界の融合を始めたやつらなんだから、それなりの実力だと思っていたが、それは一部のやつだけらしい。
「まだ、続けるか?」
「・・・・・・あっ・・あたりめぇだ!このままで済むとおもうなよ!」
「行くぞ、ガンマ!」
「わかった」
二人が同時に動いた。ベータの突進、ガンマは走りながらの射撃。誠は、薙刀を受け流してサイゼットを地面に突き立てて、射撃を回避。着地と同時にガンマを真っ二つ。
「そ・・・んな・・・・・・ごふっ!」
ガンマはすぐに事切れた。ベータは、自分しか残っていないのに愕然とした。
そんな、ベータに誠は、一歩一歩近づきながら、
「最初の威勢はどこにいったんだ?」
「ひっ!・・・来るな来るな来るな来るな来るなぁ!」
でたらめに、薙刀を振るうベータ。そんな彼に誠は、
「・・・はぁ・・・殺す価値もない」
(た・・・助かったのか?)
「けど、この世界から消えてくれ」
「えっ?・・・・」
誠は、ベータに右手を向けて、
「アルカトラズへ、行ってこい」
突如、ベータの後ろにブラックホールのような穴が生まれて、ものすごい勢いで回りのものを吸い込み始めた。動けないアルファと死んだガンマも例外ではない。ベータは薙刀を突き立てて踏ん張っていた。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁ!あそこは」
「さっさと逝け」
サイゼットを一閃、薙刀を切断されたベータは悲鳴をあげながら、あっけなく穴の向こうに消えた。
「・・・運動にもならん」
誠は、香奈たちのいるところに向けて歩き出した。
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