第28話:家族との再会
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扉を開けると、そこには数人の家臣と中央奥に一人の男性がいた。誠はそのひとの前に行き、片ひざをついて、一言。
「父上、ただ今帰りました」
「おぉ!アデル、久しぶりだな」
「お元気そうで何よりです」
「お前もな」
気がつけばいつの間にか、ノアも片ひざをついていた。
「魔王様、ただいまもどりました」
「ノア、よくやった」
「ありがとうございます」
「ところで、彼らは?」
そこで、ジャックは雅人たちのことを聞いてきた。途端に、雅人と香奈と麻耶は直立不動になる。
「私の向こうでの友人です」
「おぉ、そうかそうか。君たちよく来たね」
「初めまして、一ノ瀬香奈です」
「三剣雅人です」
「じ・・神宮麻耶です」
緊張気味だが、一通り自己紹介した。今度は、魔王の番。
「私が魔王のジャック・エルム、アデルの父親だ」
「それで、今どういう状態なんだ?」
「刻々と融合のときが迫っている」
「それで、デビルカウンターの居場所は?」
デビルカウンター、理由は不明だが、二つの世界の融合を始めた部隊の名だ。今のところこいつらを見つけない限りは、どうしようもない。
「偵察の者の報告では、今のところオーツォン山の基地にいるという話だ」
「あそこか・・・・・」
オーツォン山、魔法使い軍の基地だ。基地の場所を言えば、二番目にエルム帝国に近い基地だ。
「まぁ、今日はもう休め。君たちももう休みなさい」
「続きは明日だな」
そう言って、誠はそそくさと先に出て行ってしまった。残された三人の部屋の案内は、妹のアリシアがしてくれるようだ。
「それでは、皆様。お部屋へご案内いたします」
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無言。この場を表現するには、この言葉以外ない。アリシアはもちろん、誠以外の三人も何も話さないのだ。いい加減痺れをきらした香奈が、アリシアにここでの誠のことを聞こうとした。しかし、先手を取ったのはアリシアだった。
「あ・・・」「いろいろ聞いてもいいですか?」
「・・・・うん」
「向こうでのお兄様はどんな様子でした?」
しばらくの間、会っていないのだから当然の質問だろう。この問いに、香奈が答えた。
「ん〜、なんていうか・・・・バカだけど、いざってときに頼りがいがあるみたいな感じ・・・かな?」
「そうだね、僕も同じ意見だよ」
「そうですか。あなたはどうですか?」
そこで、アリシアはずっと黙っている麻耶に話を振った。麻耶は、少し俯きがちで、昔を思い出すように、
「・・・・とてもやさしい人・・・です」
と、か細い感じに答えた。それを聞いたアリシアは、軽く微笑んで、
「そうですか。記憶を失っていても、皆に優しかったのですね・・・」
「ねぇ、ちょっと聞いてもいい?」
話の切れ目を感じて、香奈がさっき聞けなかったことを聞いた。
「何ですか?」
「こっちでの誠・・・ううん、アデルはどんな感じだったの?」
「頭がよくて、とても強くて、皆に優しくて・・・・格好よかったです」
「ふ・・ふぅ〜ん、そうなんだ」
アリシアが嬉恥ずかしそうに語るものだから、香奈は少し戸惑ってしまった。雅人と麻耶は、何も聞かなかったので、会話は終了。部屋についてしまった。香奈と麻耶は、同じ部屋。雅人は、もちろん一人部屋だった。
「それでは、お休みなさい」
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