第21話:アクセル行き志願
ーーーー学校ーーーー
(やっぱり、誠の言ってたこと本当だったんだ・・・・)
香奈は、昨日誠が言ったことを思い出していた。もう一つの世界、魔王の息子・・・・。
その時、チャイムが鳴った。
ガララララ
教室の大半の生徒が、開いた戸の方に目を向けた。そして、気づいた。
入ってきたのは、誠だった。しかし、雰囲気が昨日までと違うことに。
「・・・・・・ん、何だ貴様ら」
「・・・・・・・・」
誰一人何も話さなかった。否、話せなかった。そのことを、何も思わなかったのかアデルは無言で席についた。座った瞬間、前の席の雅人が恐る恐る話しかけた。
「お前、誠か?」
「ふふふ、昨日も同じことを聞かれたぞ」
「それで、どうなんだ?誠か、アデルか?」
「本当は分かっているのだろう?まぁ、しいて言うなら、誠でもありアデルでもあるってとこだな」
「そうか・・・・じゃぁ、何で今日ここに来たんだよ?」
「後少しで、アクセルに行くからな。全てが終わった後に、ここに戻ってくるかどうか見極めに来た・・・というところだ」
「なぁ・・・」
ガララララ
「授業始めるぞぉー、席に付け」
「何だ?」
「後で言うよ」
「まぁ、いいがな」
「それじゃぁ、昨日の復習をするぞ。まず、ここの問題だ。えぇ〜と、誠どうだ?」
「簡単だ。まず・・・・」
アデルの答えは、完璧だった。担当の教師も、驚きを隠せないようだった。もちろん、他の生徒も。なぜなら、昨日の誠は全然ダメだったからだ。
「・・・・・・・・おぁ、完璧だ。すごいじゃないか、誠」
「ふ・・・普通ですよ、先・生」
残りの授業も全て一緒だった。全ての教師が、唖然とした。ある教科では、先生の知らないことまでも、話したのだ。そのまま、放課後になった。雅人は、アデルを屋上に呼んだ。
ーーーー屋上ーーーー
「それで、話とは何だ?」
「俺も・・・・アクセルに連れて行ってくれないか」
「ほう・・・理由があるなら聞いてやる」
「お前は・・・・俺の親友だからだ」
「そこまで、言うということは、それなりの覚悟はあるのか?」
「うん!」
(ふん・・・・なかなか良い目をしてるじゃないか)
「いいだろう。行く前に少し特訓をしてやる」
そう言って、アデルはノアと同じように魔法で場所を作った。
「そうだな、向こうに行くということは召喚獣とは別に、お前自身の武器がいるな」
「俺の武器?」
「俺のは知っているだろう?・・・サイゼット」
そして、鎌を出して雅人に、見せた後しまった。
「お前はどんな武器がいい?」
「俺の・・・武器」
(俺の武器か・・・・何がいいだろう?)
雅人は、少しの間考えた。自分が生身で戦うには、何が扱いやすいかを。
「俺は・・・・双剣かな」
「双剣か、いいぜ」
そういって、アデルは目を閉じて両手を突き出すと、そこには少し長い剣と短い剣が握られていた。そして、それを雅人に渡す。
「まぁ、こんなもんだな」
「これも取り出したのか?」
「いや、今作った」
「そんなこともできるのかよ!?」
「簡単だ。まぁ、そんなことはいい。まず、生身でもある程度戦えるようにしないとな」
「あぁ、わかった」
「時間がないから仕方がない、試しに一回やってみるぞ」
「あぁ」
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