第13話:するべきこと
「誠ぉ〜!学校行くよ〜」
今、部屋の前には退院し、元気いっぱいの香奈がいる。でも、俺はベッドの上で、布団に包まっている。ノアに言われたことが、頭の中を占めていてとてもじゃないが、学校になんていけない。
「今日は休む・・・・」
「えっ?どうして?」
「頭が痛い・・・・・」
「大丈夫なの?熱は?」
「俺は大丈夫だから、お前は学校に行け」
「本当に大丈夫なの?」
「あぁ・・・・」
「・・・・わかったわ。しっかり休んで治すのよ。それじゃぁ、行って来るわ」
香奈がいなくなってからも、俺は考え続けた。真実はどっちなのか?今の両親は偽者なのか?今まで香奈や他のみんなと過ごした日々は何だったのか?
「これから・・・・・どうしようか・・・・・」
それからも考え続けた。けど、やはり簡単には考えはまとまらなかった。
いいかげん、お腹が空いてきた。そういえば、朝は何も食べていなかった。何か食べ物をと一階に降りて、冷蔵庫をあさっていたときだった。
ガラララ・・・・・
玄関の戸が開く音がした。(誰だ?・・・親父たちは会社のはず・・・・)そして、食卓に入ってきたのは・・・・学校に行ったのはずの香奈だった。
「香奈・・・・!?お前・・・学校は?」
「えへへ、早退しちゃった。誠どうせお昼インスタントにすると思ったから、栄養たっぷりのご飯作ってあげようと思って・・・・・迷惑・・かな?」
「いっ・・・・・いや、そんなことはない・・・・けど」
「けど?何よ?」
「学校大丈夫かな・・・・って?」
「いいの、いいの。沙穂ちゃんにノート取ってくれるように頼んできたから」
ちなみに、沙穂ちゃんというのは、香奈の親友のことだ。
「さっ、お昼作るから誠は座ってて」
「・・・・・お前料理できたっけ?」
「しっ・・・失礼な!できるわよ、ちゃんと」
「なら、いいんだけど」
そういえば、香奈の手料理をたべるのは、いつぶりだろう?昔のこと過ぎて、どんな味だったか忘れてしまった。
それから、少しして料理が運ばれてきた。来たのは、少し形の崩れたオムレツだった。
「はい、めしあがれ」
「いただきます・・・」
そして、一口・・・・。感想を一言言うとすれば、おいしい。思わず口から漏れてしまった。
「おいしい・・・・」
「でしょ?だから、言ったのよ。ちゃんとできるって」
「あぁ、そうだな」
それからは、あっという間に食べ終わってしまった。
「ごちそうさま」
そして、俺は迷った挙句、香奈に聞いて見ることにした。
「なぁ、香奈ちょっといいか?」
「何?」
「例えばの話、お前が本当は別の世界の人間で、さらに魔王の子だったとしたら、どうする?」
「えっ・・・・何それ?」
「だから、例えばと言っただろ。あまり、深く考えなくて良いからさ」
「えっ、うん・・・ん〜とね、まずその話が本当かどうか知るかな」
「それで、本当だったときは?」
「いろいろ、考えちゃうなぁ。何しにここに来たのか?とか向こうでは何をして過ごしていたのかとか」
「そっか。それで、その状態でどう行動する?」
「ん〜、なんとかして昔の記憶を全て取り戻して、それからまた、考えるよ」
「確かに・・・それしかないな」
「うん」
「香奈・・・・」
「何?・・誠」
「ありがとう」
「えっ?」
「今日はいろいろと心配かけたから・・・さ」
「いいよ、いいよ。誠が元気になったなら」
「さて・・・・明日は学校に行くか・・・行きたくないけど」
「明日来なかったら、承知しないからね」
「ふっ・・・わかったよ」
それから、なぜかしばらく笑いあった。
読んでくださって、ありがとうございました。これからも、頑張って書いていくので、この作品をもっと面白くできるアイデアなどがあったら、よろしくお願いします。