第12話:今の世界に来た理由
気を失ってから、また夢を見ていた。
「なんなんだ、こいつら!?・・・・・邪魔だ!」
そこには、大きな館があった。魔王側のものだ。そこを今、魔法使い達が襲撃していたのだった。
「アリシア、早く逃げろ」
「いや!お兄様は!?」
「俺はお前と母さんが逃げるきるまで、時間を稼ぐ」
「アデル・・・無茶はいけませんよ」
「分かってる、母さん」
「・・・・・行きましょう、アリシア」
「さっ・・・アリシア。俺は大丈夫だから、母さんと行くんだ」
「・・・・・分かりました」
「いい子だ」
そして、アデル(誠)は、アリシアの頭を撫でた。
それから、アデルは戦闘が行われているところに走った。
「おぉぉりゃぁぁぁ!」
自分の武器「サイゼット(鎌)」で、近くにいた魔法使いたちを切り裂いた。
それから、少し時間が過ぎたころに
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
「この声は・・・・アリシア!母さん!」
声のするほうに急いで走った。そこには、護衛の死体と母さん、アリシアの姿があった。
「母さん!アリシア!」
叫んだときには、遅かった。敵の剣が母さんを切り裂いた。
「お母様ぁぁっぁぁ!」「母さん!」
その瞬間、アデルの中で何かが弾けた。
「・・・・てめえら、ここから生きて帰れると思うなよ」
「お前は魔王の息子か!」
「お前も討ち取ってやる!」
「お前らにはできない・・・・・・」
そう呟いたときには、もう一番近くにいた敵は真っ二つになっていた。
「なっ!?」
「いつのまに・・・」
「早く召喚獣を出すんだ!」
残っていた魔法使いがいっせいに召喚獣を呼び始めた。
呼び出された、召喚獣はさっそくアデルに襲い掛かってきた。だが・・・・
「ふっ・・・・ザコどもが・・・」
瞬時にすべてが真っ二つだった。
魔法使いは、唖然としていた。それが、彼らの命運を決めた。
「天国にも地獄にもいけると思うな」
その言葉が聞こえたときには、すべてが終わっていた。魔法使いの全滅で。
やっときた魔王軍の援軍は、館の様子を見て戦慄した。
「これは・・・・・」
「ノア隊長!アデル様とアリシア様を発見いたしました」
「よし、すぐに行く」
ーーーーー館裏ーーーーー
「大丈夫ですか!?アデル様!アリシア様!」
そして、裏にまわって現場を見た瞬間、さっき以上の戦慄がノアの体を襲った。
たくさんの魔法使いの死体が転がっていたのだ。そして、それ以上にアデルが血まみれなのが一番の原因だった。
「アッ・・・アデル様?」
アデルはアリシアを抱きながら泣いていた・・・・・。いっときして、ようやくノアに気づいた。
「ノア?・・・・・かっ・・・母さんが・・・・」
「なっ!?・・・・まさか・・・・・」
ノアはようやく悟った、二人の母上の姿がないことに・・・・・・。
「くっそぉぉぉぉぉ!!!私たちが来るのが遅かったばっかりにぃ!!」
ノアは、自らの拳を地面に打ち付けた。それを合図に、他の兵たちも間に合わなかったことにそれぞれ、怒っていた。
城に帰ると魔王・ジャックも怒りをあらわにしていた。
「なんということだ!なぜ、妻が死ななければならなかった!」
「も・・・・申し訳ありません。魔王様」
ノアは泣き名がら、謝罪した。魔王は怒りに我を忘れ、ノアに魔法攻撃を放とうとした。
二人の間に割って入る者がいた、アデルだ。
「アッ・・・アデル様?」
「どけぇ!アデル!」
「どきません・・・・殺すならノアじゃなくて、母さんを守れなかった俺にしてください」
「アデル様いけません」
「お前は黙ってろ」
「落ち着いてください、父上。悲しいのは、みな一緒なのです・・・・・」
そこで、ジャックはこの場にいる全員の顔を見回した。すべての顔が悲しみでいっぱいだった。
「・・・・・すまん」
「罰はどんなものでも受けます」
「・・・・・・お前の記憶と力を封印して、向こう側の世界に一時の間追放する」
「ジャック様!いくらなんでもそれは!」
「いいんだ、みんな。お互い少し頭を冷やすべきなんだ・・・・・」
「・・・・・では、やるぞ・・・」
「はい」
そうして、俺は今いる世界に来たのだった・・・・。
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